警視庁によると、中高生が同級生らを盗撮したとして摘発された人数が、2023年7月に性的姿態撮影処罰法(以下、撮影罪)が施行されてから今年5月までに計550人に上ることが、先月、東京新聞によって報じられた。そのうち校内で撮影したのは219人と4割近い。
【写真】凶悪犯罪と闘ってきた、通称「リーゼント刑事」秋山博康さん 「軽い気持ちで着替え中の同級生の姿をこっそり撮ったり、それを子ども同士で共有したりする『学校内での盗撮』が深刻化している」と語るのは、31年間にわたり、“凶悪犯罪の最前線”と言われる捜査第一課を中心に刑事として活動してきた、通称「リーゼント刑事」秋山博康さん。
子どもにとって身近な犯罪のひとつになった「盗撮」に関して、秋山さんに注意すべきポイントを教えてもらった。
秋山博康さん プロフィール 通称「リーゼント刑事」。元・徳島県警捜査第一課警部。1979年徳島県警拝命。1984年、23歳で刑事になると、殺人など凶悪犯罪の最前線の捜査第一課と所轄刑事課を中心に31年間刑事として捜査を担当。「おい、小池!」で有名な殺人指名手配事件に長らく携わった。警察人生42年、2021年3月に定年退職し、現在は犯罪コメンテーターとしてメディア出演やYouTube配信、講演会活動を精力的に行っている。
※本記事は、秋山博康さんの新刊『元刑事が国民全員に伝えたい シン・防犯対策図鑑』(KADOKAWA)の内容を著者の許可のもと、一部抜粋・再構成したものです。
盗撮は撮影罪や各都道府県の迷惑防止条例にあたるれっきとした犯罪や。軽犯罪法違反や住居侵入罪(刑法第130条)により逮捕されることもある。
撮影罪は2023年にできた新しい法律や。スカートの中を隠し撮りするような性的な姿を撮影したら、それだけでアウト。3年以下の拘禁刑か、300万円以下の罰金。未遂に終わった場合も処罰の対象になる(刑法第2条2項)。
ワシが現職の頃、まだ撮影罪がない時代には、悔しい思いをしたこともある。大阪から徳島に向かう高速バスの中で女性が盗撮されたんや。その女性は果敢にも犯人を引き連れ、徳島市内の交番に駆け込んでくれた。
ワシも急いで女性に話を聞いたが、バスは高速で走っているため、盗撮されたのが大阪か、兵庫か、徳島か、わからんのや。そうなると、どの県の条例で処罰するべきかわからず、結局は「嫌疑不十分」で起訴できんかった。
けれど今は違う。この「撮影罪」という法律ができたおかげで、全国どこで盗撮が起きても一律に処罰できる。これは、被害者の味方になってくれる大きな法改正だと思う。
FRaU – 2025/08/08 12:01