盗撮で捕まるのは非行少年ではなく、実は「成績優秀な子」でした。勉強と違い努力ゼロで達成感が得られる「コスパの良さ」の罠とは? 斉藤章佳氏の著書『校内盗撮』にて、現代っ子の歪んだ心理をわかりやすく解説しています。今回は、そんな興味深い研究結果を同書よりご紹介します。
【データ】盗撮データの使用方法 ※本稿は、斉藤章佳著『校内盗撮』(集英社インターナショナル)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
性加害少年たちにとって、盗撮の魅力はその「手軽さ」です。『NHKスペシャル』の番組取材では、高校生の頃に加害を始めた19歳の少年が次のような主旨の発言をしていました。
「部活で結果を残したり、学校のテストでいい点数を取ったりするのは、努力が必要だし、それってどれもつらいんですよ。でも盗撮って、努力なんていらないんです。ただ(女性の)後ろについていって、カメラを起動して、録画ボタンを押して、スマホをスカートの中に差し込めば、それでオッケー。簡単なんです」 少年は盗撮を、努力が不要でスリルを味わえる「アトラクション感覚」で行っている、と表現していました。依存症が進行するプロセスとして、①報酬の即時性、②アクセスのしやすさ、③自己効力感の肯定的変化の3点があげられますが、彼の発言もまさにこれに当てはまっています。
現代の若者は、費やした時間や労力に対する満足度、タイパ(タイムパフォーマンス)やコスパ(コストパフォーマンス)を非常に重視する傾向にあります。動画を倍速で視聴する、本を読まずに要約サイトで内容を把握する……無駄を省いて効率良くリターンを得ることを是とする価値観は、若い世代に支持されています。彼らにとって、さしたる労力をかけずに優越感や達成感を手に入れられる盗撮は、文字どおりローリスク&ハイリターンな犯罪でありタイパとコスパが良く見えてしまうのでしょう。
本来、確かな達成感は努力の積み重ねの末に得られるものです。しかし、彼らにとって盗撮は、最短ルートで自分を強者に仕立て上げる、まやかしの成功体験となっているのです。
大人からみれば合理性を重んじるはずの若者が、ともすれば社会的な死を招く性加害を、なぜ「タイパとコスパがいい」と誤認するのか。この論理破綻こそが、性加害者が抱える認知の歪みなのです。
PHPオンライン – 2026/08/18 11:52