宿泊施設の脱衣場で裸の男児を盗撮したなどとして、大阪府警は、児童買春・ポルノ禁止法違反(提供目的製造)の疑いで、徳島県美馬市の元幼稚園職員、鎌田裕樹容疑者(38)を逮捕した。交流サイト(SNS)を通じて小児性愛者に動画を販売していたとみられる容疑者。数千人が被害に遭ったとの見方もある中、容疑者は「高値」となる条件を念頭に宿泊施設を物色していた可能性がある。
【高い依存性】まさか同級生が…高校生に増える「校内盗撮」 府警少年課によると、容疑者は調べに対し、「性欲を満たし、金を稼ぐためにやった」と容疑を認め、「約5年前から盗撮を始めた。500~600人に販売し、200万~300万円を受け取った」と供述。SNSで隠語を使って販売先を募っており、すでに全国各地の30~40代の男性6人に動画を渡していたことが確認された。
逮捕容疑は昨年2~11月、香川県内の宿泊施設にある大浴場の脱衣場で、当時9~14歳の男児ら3人の全裸を撮影。販売する目的で児童ポルノを製造したとしている。
宿泊施設が現場となったのには訳があった。容疑者は府警に対し、高校生より小学生のほうが販売価格が高くなると説明。さらに、卑劣な行為のターゲットとなったのは「体格の良い子供」で、動画が高く売れたとも供述しているという。
このため、週末になると香川県や徳島県の宿泊施設を訪れ、駐車中のバスや子供たちが着ているユニホーム、施設の利用者向け掲示板を参照しながら、「高値条件」に合致する対象を物色。タブレット端末をかばんや脱衣場のかごに隠して撮影していたとみられる。
実際に香川県で盗撮された3人はいずれも運動クラブに所属し、強化合宿や大会のために宿泊施設を利用していた。
四国を拠点としていた容疑者だが、府警が大阪市内で発生した別の盗撮事件を調べる中で、鎌田容疑者も盗撮していた疑いが浮上した。
逮捕に先立つ今年1月に自宅を捜索した際には、SDカード25枚など102点を押収。記録されていたのは、男子小学生や中学高校の男子生徒の裸が写った400~500点の動画だった。1つの動画には複数の児童や生徒が写っているため、府警幹部は「数千人が盗撮された疑いがある」とする。
徳島県美馬市教育委員会によると、容疑者は同市立幼稚園で助教諭として勤務。市教委の聞き取りにも「数年間にわたり男児を盗撮した」と話したため、懲戒免職処分とした。市教委は「教育公務員としてあってはならない行為であり、大変遺憾でおわび申し上げる」としている。勤務先での盗撮は確認されていないという。
5月12日に逮捕され、府警浪速署に身柄が移された容疑者。車の後部座席でうつむくようにして駐車場へ入っていった。 府警は実態解明を進めている。
産経新聞 - 2025/05/19 19:00