盗撮被害者の深刻なダメージはどれだけ理解されているだろうか。
同僚から盗撮されていたような場合、その職場は従業員にとって信頼できる場所ではなくなり、不安が広がっていく。企業が不誠実な対応をとれば、“二次被害”も生じさせるおそれがある。
【写真】実際の女子更衣室 従業員間の盗撮や従業員による客の盗撮がわかったら、企業はどこまでの対応をとるべきだろうか。被害者のケアや事態の公表について考えたい。
子どもも教わるスポーツスクールの女子更衣室で、同僚による盗撮の問題が生じた。被害者であり発見者でもある女性は「会社を信じられなくなった」と退社した。
ただ、刑事処分が下されたかどうかもわかっておらず、自分が確実に被害者であるともわからない不安定な状況にも悩まされ続けることになった。(弁護士ドットコムニュース編集部・塚田賢慎)
20代の須藤愛夏さん(仮名)は関東にあるフットサル施設で働いていた。2023年3月、同僚による女子更衣室での盗撮が発覚したと話す。
須藤さんは被害者でもあり、カメラに気づいた第一発見者でもあるという。
「ロッカーの側面に空いた穴からスマホのレンズを見つけました。すぐに店長に報告しました」 マスターキーが所在不明でロッカーを開けられず、スマホを調べることはできなかった。その後、出勤した時には何者かによってすでに取り外されていた。しかし、それでは終わらなかった。
それからおよそ10日後には、男性店長もカメラの存在を把握している。
〈カメラあったわ〉 〈というかレンズみたいなのが穴に塞がってて明らかにカメラがあるね〉(店長から須藤さんへのLINEメッセージ) 当初から怪しまれていたのは女子更衣室への出入りが頻繁だった男性スタッフだった。男性客が多くて男性更衣室が満員になるような日は、男性スタッフも女子更衣室を使うことが許されていたという。
4月になると、企業側のヒアリングに対し自らの関与を企業に認めたため、男性スタッフは警察に連行されていき、そのまま退職していったという。しかし、その後どのような刑事処分を受けたのか須藤さんは知らされていない。
カメラのレンズを見つけたときから、須藤さんは自らが被写体になった可能性だけでなく、同僚や利用客の女性(女児)らも映されていた可能性を疑っている。
「今でも更衣室やトイレを使うと、どこかにカメラがあるかもしれないと探すようになりました」 2年たった今でも須藤さんのなかで「事件」は終わっておらず、傷は全く癒えていない。
弁護士ドットコムニュース - 2025/08/26 10:22