女性演奏家を悩ませる“音大おじさん”。卑猥なDMが来たり、個人情報を聞かれたりといった迷惑行為が相次いでいる一方で、された側も強く嫌とは言いづらい現状がある。
【映像】“音大おじさん”が演奏会でまさかの行動 ニュース番組『わたしとニュース』では、この“音大おじさん”の実態とモヤモヤの構造について、コラムニストの月岡ツキ氏とともに深掘りした。
ピアニストとして多くのファンを集める栗原麻樹氏。華やかな世界に見えるが、音楽とは無関係のメッセージが送られてくることがあるという。
「演奏会の前日にメッセージが来て、『ノースリーブのドレスを着てください』とか、『ピンヒールを履いている写真を送ってほしい』『どういう靴を履いているか、靴の写真を見せてください』『靴の動画を送ってください』とかおっしゃる人もいた」(栗原氏、以下同) 時には「興奮します」などの言葉が添えられていることもあるそうだ。
「ベアトップやノースリーブのドレスは機能的だと感じていて、エロチックに見せているとか、そういうのでは全くない。何を言っているんだと」 栗原氏は、性的なダイレクトメールや付きまといなど、女性演奏家が迷惑行為に困っている様子を何度も見聞きしてきたという。
「(自分が)物言いも割とパッと言ってしまう性格なので、私の場合は自然淘汰していなくなっていったが、音大卒くらいの方たちは、そういう話はすごくよく聞く」
特に狙われるのは、音大生や卒業したばかりの若手。そうしたことから、通称“音大おじさん”と言われているこの問題。被害の現状について、現役の音大生にも話を聞いた。
「おじさんたちがSNSでDMをめちゃくちゃしつこく送ってくるのは自分も何度かあった。距離が近くても拒否しない・できない女の子と交流したいと思うおじさんも中にはいるのでは」(東京藝大生・Aさん、以下同) 音大おじさんは学内の演奏会にも姿を見せるという。
「50代くらいの男性がホールに入ってきて、急に話しかけられて。『名前なんですか?』『何年生ですか?』『先生は誰ですか?』『高校はどこですか?』と質問攻めにされて。急にポケットの中からアメとみかんが出てきて、『これ食べてください』と言われた。さすがに怖すぎた」 また、音大生仲間にはさらに危険な目にあったという人も…。
「すれ違いざまにちょっと触られたり、自撮り棒をすごく長くステージまで伸ばして、盗撮しようとして問題になった」 さらに、ターゲットは大学生にとどまらない。
「(音大おじさんが)コンクールを見に来たりする。中学生の時から、例えば(コンクールの)結果発表で待っていると話しかけられたりというのはある。一人でいる子に声をかけているのを何度も見たことがある」 しかし、Aさんら音大生には要求を拒否するなど強い姿勢に出られない事情がある。
「実名も顔も学校・学年も、小学校・中学校の時からコンクールを受けているので、小学校・中学校もバレる。名前を検索するだけで。(どこに)住んでいるかもバレるので、少しでも冷たい対応を取ったらネガキャンされるのではと。なので、イヤでも仲良くする必要がある」 そこには、クラシック業界ならではの厳しい現実もある。
「クラシックはお客さんがすごく少ないので、最近はコンクールだけでなく、『顔がかわいい』とか、そういうところで勝負しないとお客さんも来ない。音大おじさんたちも言ってしまえばお客さんだから、いい対応をして我慢して稼ぐしかない現状がある」 ただ、Aさんはこうした現状に納得しているわけではない。
「変な話だが、音大おじさんは次から出てくる若い子を狙うので、またかわいくてうまい子が出てくると、そっちに鞍替えしていく傾向がある。『終わりのない悪夢』というか、結局今もどこかで被害者がいる。『なんでこんなことが当たり前になっているんだろう』と思う」 今回は取材した被害者が女性だったため、中高年男性からの被害を訴える声が多く、“音大おじさん”としている。これに限らず、男子音大生が中高年女性から迷惑行為を受けるなど、別のパターンもあるかもしれない。
ABEMA TIMES – 2026/05/23 10:00