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【なぜ?】盗撮の量刑分ける“二つの物差し”…尻や下着を撮影した警察官2人は「不安防止条例」違反疑い――なぜ、より重い「性的姿態撮影処罰法」は適用されなかったのか

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 鹿児島県警は2024年8月以降、不祥事再発防止策に取り組んでいるが、25年も処分者が相次いだ。最近では、他人の尻を撮影した巡査部長が8月に、下着を撮影した巡査長が10月に県不安防止条例違反の疑いで減給処分を受けた。県警は発表基準に満たないとして詳細を公表していない。そもそも、条例違反ではなく、近年施行された性的姿態撮影処罰法は適用されないのか。専門家は「判別は難しい」と指摘する。

【写真】不祥事再発防止策の進捗状況を説明する鹿児島県警定例会見=県警本部

 県警によると、巡査部長は25年、正当な理由なく、服を着た他人の全身や臀部(でんぶ)付近を背後から撮影した。巡査長は同年7~8月、私物のハンディカメラで衣服から見えている他人の下着を撮影したり、レンズ越しに下着をのぞき見ようとしたりした。

 県警は私的な行為のため、原則停職以上とする発表基準に満たないとして、いずれも所属や性別、認否を明らかにしていない。

■□■  県不安防止条例は1999年、それまで軽犯罪法に該当した盗撮や、法律がなかったストーカー行為などを取り締まるために施行された。条例が定める「卑わいな行為」では、公共の場や交通機関で、衣服で覆われている人の下着や体の映像を正当な理由なく記録することを処罰する。

 ただ、適用できる犯行場所が自治体によってばらつきがある上、スマートフォンの普及で盗撮が増えたため、全国一律で運用できる性的姿態撮影処罰法が2023年に施行された。

 同法の撮影罪は人の性的姿態をひそかに、または同意なく撮影する行為を処罰する。罰則は3年以下の拘禁刑または300万円以下。1年以下、100万円以下である条例に比べて量刑は重い。

 志學館大学の淵脇千寿保准教授(刑法)は、「条例は社会の平穏を守る目的で犯罪行為を広くカバーできる。一方、個人の性的自由を守る撮影罪は刑法の位置づけで、認定のハードルも高い」と説明する。

■□■  今回、尻や下着を撮った警察官2人は撮影罪に該当しないのか。淵脇准教授は「被害者の年齢や処罰感情など事案の詳細が分からない以上、県警の判断を分析するのは難しい」と話す。

 撮影罪は性的姿態について「下着の現に性的な部位を覆っている部分」などと具体的に定義づけている。淵脇准教授は「単に下着と言っても、撮影箇所によっては撮影罪を適用できない法解釈も考えられる。被害者が関わりたくない一心で処罰を望まない場合や、写真が不鮮明であれば立証が難しいこともある」という。

 ただ今回、私的行為を理由に事案の詳細を非公表とした県警の姿勢には疑問を呈する。「警察官職務執行法で、警察官は目の前に犯罪を認め急を要する場合はいつでも制止できるとされ、職責に公私は関係ない」と断じる。「県民に『非違事案は許さない』という姿勢を示すためにも、速やかかつ具体的な公表が望ましかった。まじめに働く大多数の警察官にまで無用な疑念を持たれかねない」と指摘した。

南日本新聞 - 2025/12/25 05:52


 

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