文部科学省は15日、盗撮を含む性暴力で教員免許を失効した人物の情報を掲載したデータベース(DB)の活用状況について、全国の都道府県・政令市教育委員会と私立学校を運営する学校法人を対象に調査する方針を明らかにした。各地で教員による性暴力事件が相次ぐ中、法律に基づくDBの活用を怠っていたケースも発覚しており、対応が急務となっていた。
【図解】教員グループによる盗撮事件の構図 阿部俊子文科相が15日の閣議後記者会見で「全国の国公私立学校で(DBへの)登録を改めて徹底するとともに、実際に適切に活用されているかを調査するよう事務方に指示した」と述べた。正規の教員だけでなく、非常勤教員らを含めて任命時のDB活用状況を調べる。
DBは2022年施行の「教員による児童生徒性暴力防止法」に基づき国が23年度から運用している。性暴力による免許失効者の情報を記載しており、教委や学校法人はユーザー登録をした上で、正規か非正規かを問わず教員を採用する際に処分歴の有無を確認することが義務付けられている。
市立小教員による児童盗撮事件が発覚した名古屋市は、教委がDB確認を怠っていたことが発覚。正規教員の任命時にはDBではなく「官報情報検索ツール」を利用していたが、検索ツールは更新頻度が低いなどの課題があった。また、非常勤教員の任命時には検索ツールも使っていなかった。
阿部氏は記者会見で「法律で義務付けられた手続きを実行できていなかったという事実は誠に遺憾。二度とこのようなことがないよう、名古屋市教委には猛省してもらいたい」と述べた。
一方、私立学校を巡っては、文科省が24年5~8月に幼稚園や学校を運営する法人を対象に実施した調査で、回答した7258法人のうち75%が「ユーザー登録をしていない」または「活用できていない」とし、多くの学校が違法状態となっていることが判明。理由としては「パスワードなどが不明でログインできない」「活用義務を知らなかった」といった点が多く挙がっていた。【西本紗保美、斎藤文太郎】
毎日新聞 - 2025/07/15 13:19