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盗撮速報

「もはや、生徒にレンズを向けられない雰囲気」。後絶たない教員による盗撮、現場に波紋――運動会や修学旅行控え、先生が萎縮するワケ

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 教員による盗撮事件が全国で相次ぐ中、文部科学省は7月、私的な端末で児童生徒を撮影しないよう全国の教育委員会に通知した。2学期は運動会や文化祭など、写真や動画を撮る機会が増える。鹿児島県内の現場からは「やりづらい」「機材が足りない」など萎縮する声が上がる。

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 「以前のようには撮影しづらくなった」。鹿児島南高校(鹿児島市)の谷兼太郎教諭(38)は、担任するクラスの授業や行事を撮影し、連絡アプリで保護者と共有してきた。学校での子どもの様子を知りたい保護者のニーズに応えるためだった。

 中村亨教諭(35)も顧問を務めるバドミントン部で、選手の動きを写真や動画を撮影して分析し、指導に生かしてきた。学校のカメラやタブレット端末でも撮影は可能だが、台数が少なく、いつでも気軽には使えない。「そもそも、今は生徒を撮ること自体を控える雰囲気になっている」  鹿児島大付属小学校(同)は研究校であるため、資料として授業を撮影する機会が多い。橋元忠史校長は「学校のカメラは1台しかなく、これまでは教員個人のスマートフォンを使うこともあった」と話す。

 今後は、全教員分の撮影用の端末を購入する方針だ。それまでは授業用の端末でしのぐしかないが、画質や容量には不安がある。

 ある自治体の教育委員会職員は「『もうすぐ修学旅行なのに』と悩む声を現場の教員から聞く」と明かす。

 予算節減のため、修学旅行や体育祭の撮影を業者に依頼せず、教職員が担当する学校は珍しくないという。スライドにまとめて学級PTAなどで紹介する教員も多く、写真を卒業アルバムに使う学校もある。

 写真や動画は、学校の活動を保護者や地域に発信する役割を果たしてきただけに、安心安全とどう両立するかが問われる。

 愛知県日進市は今月から、教育現場で使う全端末に、裸や下着姿などの画像を感知すると削除を促すアプリを全国で初めて導入した。学校や市教委のメールアドレスにも通知が届く仕組みだ。

 市教委の担当者は「撮る方も撮られる方も安心。子どもだけでなく先生も守れる」と意義を語り「自治体単位でなく、国が標準アプリとして入れてくれれば助かる」と漏らす。

 鹿児島県教委も「実効性があるものであれば検討する」としているが、当面は不審なカメラがないか校内の点検の徹底や、教職員の倫理観を養う研修などで対応する。

 教職員課の中島靖治課長は、公的な端末を使い、データ管理がしっかりされていれば、撮影自体を禁じるものではないと前置きをした上で「必要な撮影であれば、萎縮せず従来通りやってほしい」と強調した。

南日本新聞 – 2025/09/16 11:13


 

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