「スマホで写真を撮ったら知らない人が写りこんでしまった」「バイト先で勝手にスマホを充電」……もはや生活必需品、スマホを使う際に、意識せずにしがちなこれらの行為は犯罪になるのだろうか。
【画像】スマホを勝手に充電した時に抵触する法律 「お嬢様」の素朴な法律の疑問に松井浩一郎弁護士が明快に答える書籍『それ犯罪です! 知らないとヤバい刑法の話』から抜粋・再構成して、スマホの犯罪について解説する。あなたも知らず知らずのうちに罪を犯しているかもしれない……。
お嬢様 新しいバッグを買ったのよ。可愛いでしょう。王子、ちょっと写真撮ってちょうだい。
松井弁護士 お嬢様、さすがゴージャスだね。じゃあ撮るね。ハイ、ブルーチーズ。
お嬢様 ちょっと通りすがりの方が写っているわよ。あなた盗撮で捕まるんじゃない。
松井弁護士 ……持ちネタのブルーチーズをスルーされた……お嬢様、心配いらないよ。盗撮になるかはきちんと条件があるんだ。
よく駅のエスカレーターで、盗撮は犯罪ですという貼り紙があるよね。エスカレーターでスカートの下からこっそりカメラをしのばせて撮影をする行為が、盗撮にあたることは明らかで、誰もがいけないことだとわかっていると思う。
しかし、どこからが盗撮なのか、わからないという声が多くて、法律相談でも、普通に写真を撮っていたら、他人が写り込んでしまって、これが盗撮にあたるのではないかという質問をよくいただく。
まず、普通に写真を撮っていて、たまたま誰かが写り込んでしまうのは、盗撮ではないから安心してほしい。というのも、公の場所においては、ある程度プライバシーが放棄されているというのが法律の考え方なんだ。誰かの写真に写り込んでしまうのは、ある程度仕方がないこととして許容されている。
とはいえ、プライバシーが放棄されたとしても、「写り込んでしまった」では済まされないものもあると思う。その代表例がスカートの中だよね。ざっくりいうと、性的な部位や性的な部位を覆っている部分が、禁止される盗撮行為の対象となる。
盗撮行為は毎日のように起きていて、知らない間に被害を受けている女性が多いのが現状だ。令和5年の法改正で、新しく「性的姿態等撮影罪」という法律(正式名称は、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の映像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」)ができて、これまで以上に処罰が厳しくなったが、みんなも十分に気を付けてほしい。
まとめ たまたま誰かが写り込んでしまうのは犯罪ではない 要点1 公共の場ではプライバシーはある程度放棄されている 要点2 性的な部位や性的な部位を覆っている部分が写り込むのは盗撮 要点3 新しい法律ができて、盗撮に対する処罰が厳しくなった
集英社オンライン - 2025/12/22 17:00