7月8日、ディスプレイ搭載AIグラス市場で世界首位とされる中国「Rokid」が発表会を開き、日本市場への本格参入を表明した。クラウドファンディングの「Makuake」にて歴代ランキング1位となる6億3600万円以上を達成したことを受け、今後1年以内に日本市場へ少なくとも10億円規模の投資(マーケティング、研究開発、開発者エコシステム支援など)を行うという。
【画像7枚あり】名刺を撮影すると、「次の一言」に必要な情報を探してくる 「Rokid Card」 昨今、AIグラスは、そのありかたが問題視されている。AIグラスに搭載されているカメラで、本人の同意なく撮影され、その動画や写真がSNSに投稿されるといったことが、世界各国で反発を招いている。つまり、「盗撮」の道具となるのは時間の問題だというわけだ。
こうした指摘は、2013年から15年まで販売されていた「Google Glass」でも起こっていた。当時からすでに、公共空間で「誰かに見られる」ことと、「撮影・保存・拡散される」ことは別問題であるという議論が起こった。
Rokidの発表会では、当然ながらAIグラスを装着したスタッフが我々を出迎え、登壇者も全員AIグラスを装着していた。
そういう人たちに囲まれてしまうと、確かに一般の女性は不安になるだろう。突然たくさんの報道陣に囲まれるようなものだ。容姿が撮影され、気軽にSNSに投稿されたら、どんな誹謗中傷を受けることになるのか分からない。
一方で筆者はいい歳をしたオッサンであり、その姿形には価値がない。意外と足が短いとか言われたら多少傷つく程度だ。よって自分の姿が撮影されていても、あまり気にしていない。
しかしそのことよりも、もっと別のことに対して不安になった。
AIグラスは、AIをウェアラブルにするという目的で作られている。AIは人間から何らかの指示なり質問なりを与えることで回答を返すわけだが、人間が直接的に指示を与えるなら音声入力ということになる。つまりAIグラス内蔵のマイクで利用者の音声を聞き取るわけだ。
ディスプレイ非搭載のAIグラスは、結果を音声で返す。ディスプレイ付きAIグラスは、音声に加えて視覚情報、すなわち文字や図形などで返す。
この中で重要なのが、AIに対する視覚的情報入力だ。カメラで捉えられたものをAIが判別して、何らかの処理を行う。例えば外国語の看板であれば翻訳文を表示するだろうし、同じ商品の数を瞬時にカウントさせるなど、商品在庫管理などにも利用できる。
Rokidの発表会では「Rokid Card」というサービスが紹介された。これはビジネス時の名刺交換の際、大抵は名刺から読み取れる情報は少ないが、名刺を撮影することでAIが関連情報を検索して要約し、AIグラスに表示してくれるというものだ。これにより、会話につながる「次の一言」の情報が得られるようになる。
こうした機能を使う際に、カメラでの「撮影」という行為が必要になる。カメラに写ったあらゆる情報を読み取ってしまうと、動作が煩雑すぎる。よって撮影というトリガーを通じて、この機能が起動するわけだ。
例えば筆者などは、顔は覚えているが名前が出てこないケースが多くて困る。顔認識してその人の名前がすぐ出てくるようなアプリがあればずいぶん助かる。すでにFacebookなどでも、アップした写真に写っている人物をFacebookユーザーから探し出す機能がある。AIグラスでも、過去撮影した写真や、SNSやメディアに公開されている写真から該当人物を探し出すのは、難しいことではないだろう。
ただ、こうした機能が実際に動き始めることを想像すると、多くの人は途端に不安になるのではないだろうか。
顔を合わせただけで、AIグラスをかけている相手側は、こちらからは分からない情報を得ているかもしれないのだ。例えば3年前にXが炎上したとか、昨日は息子と喧嘩したとか、もちろんどこかで公開している情報ではあるのだが、本人はネタにしてほしくない情報が、その場で瞬時に相手側に知られるかもしれない。
ITmedia NEWS – 2026/07/13 11:20