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性犯罪の再犯防止への取り組み

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再犯防止への取り組みにはどのようなものがあるか

こちらの記事で示しているように盗撮や、同じく都道府県の迷惑防止条例違反が適用される場合がある痴漢については再犯者が多いとされていますが、これらを含めた性犯罪の再犯を防ぐための取り組みについて触れてまいります。

性犯罪者処遇プログラム

法務省では、所管する刑務所および保護観察所において、性犯罪の受刑者を対象として性犯罪者処遇プログラムという教育・指導を行っています。これは事件名(強姦や強制わいせつなど)や前科前歴を含む事件内容などからわいせつ目的が窺えるなどの「性犯罪受刑者」に該当する受刑者に対して、通常の刑務作業とは別に性犯罪の再犯防止指導を行うものです。

平成27年版犯罪白書で処遇プログラムの受講と再犯状況が報告されており、処遇プログラム受講群別再犯状況を見ると受講しなかった人より受講した人の方が再犯率が低くなっていることがわかります。
(赤は刑務所でも保護観察所でも受講しなかった満期釈放者、緑は刑務所でも保護観察所でも受講しなかった仮釈放者、青はいずれも受講した仮釈放者)

上記グラフはその後に性犯罪再犯者が対象になっていますが、性犯罪に限らない全再犯者の再犯状況でも同様の傾向です。

処遇プログラムの問題点

上述のように性犯罪の再犯防止に関して一定の効果が見られる性犯罪者処遇プログラムですが、刑務所などで無為に過ごすくらいならそれなりの効果が見込まれる処遇プログラムを今後もぜひ推進していってほしいと感じるところ、これについてはいくつか問題点があります。

明治から平成まで続いていた監獄法が廃止され、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律ができてから性犯罪者に対するものを含めた改善指導の受講が義務化されたことで、刑務作業の時間帯に指導を実施できるようになるなど再犯防止指導の体制は改善されています。

しかし、これらの改善指導は刑務官や保護観察官、または指導者など現場の努力に依る部分が大きいもので、体制が改善されたとは言ってもいまだ不十分な面もあります。性犯罪受刑者すべてを対象にできる余裕がなく、強姦や強制わいせつなど重い罪の受刑者から性犯罪者処遇プログラムに回されがちな状況になっています。

また、性犯罪者処遇プログラムには、受講をすべて終えない中途半端な状態で出所しないように受講に必要な刑期が定められており、比較的短期の刑では対象にならない場合も多々あります。

都道府県の迷惑防止条例違反を繰り返して刑務所へ入ることになっても数か月から長くても1年前後の短期刑となる場合が多く、上述したように再犯率が高いとされる盗撮や痴漢の受刑者にこそ性犯罪者処遇プログラムが必要と考えられるところ、盗撮や痴漢の受刑者は刑が短くて受講の対象になりにくいという状況になっています。

医療機関による治療

民間でも性犯罪の再犯防止の取り組みは行われており、性犯罪を繰り返すことを「性依存症」と捉えて治療や処遇プログラムを行っている医療機関が存在しています。

こういった医療機関で主に行われているものとしては認知行動療法が挙げられますが、これは臨床心理士などのセラピストと患者が共同で行う心理療法で、グループで行われている場合もあります。この中で自分の認知の歪みを見つけ出し、それを見直していくことによって性犯罪につながりかねない行動も修正していくというものです。

また、一部の医療機関では性欲を抑制するための薬物療法も行っているようです。性犯罪の動機は概ね性欲に起因するものですので、その抑制効果が認められるのであれば(副作用次第ですが)義務化してもいいくらいなのではないかと思います。

一部の医療機関の問題点

一方、性犯罪の再犯防止のための治療を謳う一部のクリニックにおいて貧困ビジネスとの結びつきをメディアによって指摘されています。ただ、これについては対象が性犯罪に限られておらず、薬物依存やギャンブル依存、アルコール依存なども含めて手広く扱っている中に「性依存症」が含まれているというものです。

おおまかな流れとしては、クリニックが福祉事務所を通して患者に生活保護を受けさせ、その生活保護費はすべてクリニック側で管理した上でドヤのような住居を指定し、通院を義務付けて囲い込むといった内容です。福祉事務所側では特定の医療機関との結びつきは否定しますが、生活保護受給の条件として特定のクリニックへの通院を指定されたり、逆にクリニック側が生活保護の受給を強く求めます。

薬物依存やギャンブル依存などの治療を行っている医療機関は少なくないのですが、性犯罪の再犯防止のための治療を行っているとしている医療機関はそれほど多くなく、その一部がこういったクリニックだとされています。

それでも本当に治療が行われていれば良いのですが、デイナイトケアと称した実態は朝から晩まで将棋や囲碁、トランプやウノ、ボクシングやダンスなどで遊んでおり、最初と最後に少しだけグループワークというトークタイムが用意されているだけのものです。当然ながら再犯防止の効果が得られることはないでしょう。

クリニックの名指しは避けますが、フジテレビなどでも放送されていたことですので「メンタルヘルス 貧困ビジネス」などで検索してみてください。

まとめ

刑務所や保護観察所で性犯罪者処遇プログラムの受講が最も必要と思われる痴漢や盗撮の受刑者に受講が回らなかったり、民間でも一部の医療機関に問題があったりするなど性犯罪の再犯防止への取り組みはまだ十分とは言えない状況です。

ですが、処遇プログラムや薬物療法については、報告されている限りではそれなりに効果が認められており、捕まってから「もう再犯しない」と誓うだけの根性論や精神論よりはだいぶ良いと感じます。

そのためにはまず「もう再犯し(て捕まり)たくない」と自分自身が思わなければ受講も治療もありません。心の中で誓うだけではそのうち風化しかねませんので、実際に再犯防止のための具体的な行動に移すことが重要です。

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