学校で世間を騒がすような問題や不祥事が起きると、文部科学省も教育委員会も、何かと手を打とうとする。だが、本当に効果はあるのか、意味はあるのか、怪しいものも少なくない。
【グラフ】精神疾患で休職する教員が増加する問題でも「場当たり対応」?精神疾患で1カ月以上休んでいる教員は20代、30代での増加が顕著 「対策は取っています」というポーズは取るものの、効果の薄い施策なら、問題を先送りするだけだし、学校現場はいっそう疲弊する。以下、いくつか典型的な事案をとりあげて、教育行政がやりがちな癖、問題を検討する。
学校で生徒が暴行を受けている動画がSNSで拡散される事案が相次いでいることを受け、文科省は1月14日、全国の都道府県・政令市の教育長を対象に緊急オンライン会議を開いた。
報道によると、文科省は、暴力行為・いじめの見過ごしがないか速やかにアンケート調査などを通して確認を求めるとともに、3学期中に情報モラル教育を実施することなどを要請したという。
文科省の幹部と全国の都道府県・政令市の教育長を集めたすごく「高コスト」な会議で決めたことが、こうした対策だけなのだとしたら、残念だ。
というのも、文科省に言われなくても、全国各地の学校ではいじめ等に関するアンケート調査はやっている。また、これまで教科化までして道徳教育を推進してきたのに、国が用意する動画を視聴するといった多少の情報モラル教育で防ぐことができるのかも疑問だ。
こんな疑問、反論は、教育長等なら多くが思いつくはずなのに、異論は出なかったのだろうか?子どもたちには主体的・対話的に学べとか言っているわりには、大人は実践できていないのでは? 単に会議や要請をするのが文科省の仕事ではない。各地の教育委員会だけでは限界があること、困っていることについて、動くことだ。例えば、SNSなどに投稿されても、教育委員会・学校は常時監視しているわけではないので、発見は遅れがちで、広がってからの対応になりがちだ。
だとしたら、専門事業者への委託など全国共同で監視、問題を早期発見する仕組みをつくることも検討課題ではないだろうか。
あるいは、刑事罰にもなりかねないほどの暴行事案やSNS等への名誉棄損の投稿があった場合は、高校入試や大学入試で不利益処分を受ける可能性があるとなれば、一定の抑止になるかもしれない(生徒への制裁措置は賛否があるだろうし、慎重な検討が必要だが)。
東洋経済education×ICT – 2026/01/25 08:00