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盗撮犯のステレオタイプ化をするべからず

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盗撮はもはや「非リア」だけのものではない

痴漢の再犯防止への取り組みに関する記事を掲載していた東洋経済オンラインのウェブサイトにて、同じライターによる非接触型の性犯罪に関する新しい記事が掲載されていました。

注意!あなたも盗撮されているかもしれない
非接触犯罪(盗撮、のぞき、下着窃盗)が増加中

これまでに取り上げている記事同様にいくつか突っ込みどころがあるように感じてしまいましたが、下着窃盗を一緒くたにしている点や盗撮犯のステレオタイプ化には疑問を覚えましたのでこれらについて見てまいります。

被害に気づく余地があるかどうかは大きな違い

これまでの記事では痴漢にフォーカスしていたところ、今度は非接触型の性犯罪ということでなるべく大きく括りたい意図が感じられますが、盗撮やのぞきと下着窃盗を同じ非接触型として括るのは無理があるだろうと感じます。

では、非接触型の性犯罪とは? 答えは、「盗撮」「下着窃盗」「のぞき」といったたぐいの行為だ。

(中略)

レイプや痴漢行為をされて、気づかない女性はいない。しかし、盗撮やのぞきは加害者にとって、女性に気づかれないまま行うことに意義がある。下着の窃盗も、被害に遭ったことに気づくのは犯人が逃げおおせた後である。

盗撮の再犯状況に関する記事で触れたように被害者に気づかれないことが前提になっている点が問題の要因になっていますが、被害に遭った後であってもそれに気づくことができるかどうかには大きな違いがあります。

それは被害者が自衛の対策を講じることができる点ではないでしょうか。

下着の窃盗となると屋外に洗濯物として干していたものを盗まれるケースが多いですが、盗まれたことがわかればそれ以降は部屋干しするなどして対策することができます。上記にあるように強姦や痴漢の被害においては気づかないはずはありませんので、同様にして対策を講じる余地があります。

一方で盗撮やのぞきでは、ネット上に公開されたものをたまたま目にするといったような極めてレアなケースを除いては被害に遭ったことには通常気づかず、表向き被害者本人の生活が直接脅かされているわけではないので、そんな中である日突然対策しようなどとはあまり考えません。

窃盗犯または盗撮犯が複数の被害者に対して次々と犯行に及んでいるとすれば被害に遭うまで対策できないという点では同じですが、仮に1人の被害者が狙われているとしたら、下着窃盗においては盗まれたことがわかれば部屋干しするなどしてそれ以上の被害を食い止めることができる一方、盗撮においては撮られていることに気づかないので被害が続くことでしょう。

記事の内容が概ね盗撮に関することなので、無理に間口を広げずに盗撮に絞った方がよかったのではないかと感じます。

盗撮犯=非リアの印象付けは危険

犯罪白書で報告されている性犯罪者類型別の属性から居住状況や婚姻状況などを見ても、盗撮型の性犯罪者の傾向としていわゆる「非リア」が多いであろうと推察はされますが、こういった盗撮犯のステレオタイプ化はもはや危険と考えています。

国立社会保障・人口問題研究所の「2015年出生動向基本調査」によると、性交経験のない若者は増加傾向にある。18~19歳では72.8%、20~24歳では47%の未婚男性がいわゆる“童貞”で、いずれも2010年の前回調査より5ポイント以上アップしている。性交経験がない=交際経験がないとはならないが、「交際相手を持たない未婚者」「交際を望んでいない未婚者」の割合も男女とも、全年代にわたって増えている。

「性犯罪とはいえ、他人と物理的、精神的に接するとなると、どうしても心理的な葛藤や対立が相手との間に生まれます。それを避けつつ、かつ自分の欲求を満たせるのが盗撮であり、下着窃盗やのぞきであるというわけです」

(中略)

「実は彼らも、できることなら女性とリアルな恋愛、セックスがしたいと思っています。でもそのために行動するスキルや勇気がなく、嫌われるんじゃないかという気持ちが先行する。そして、替わりとなる性的逸脱行動で自分は満足していると思い込む。これを“すり替え充足”といいますが、依存症のひとつの特徴です。一方で、一度やれば満足する、つまりこれを最後にしようと思って始めた性的逸脱行動が次の行動への渇望の引き金になる場合も多く、これを“充足パラドックス”と言います。このような特徴をみると、非接触型の性犯罪のほうが、接触型と比べて嗜癖行動としての側面が強いのかもしれません」

明らかにいわゆる草食系男子というレッテル貼りに絡めて「盗撮犯」像を作り上げていますが、そういった盗撮犯が多いだろうということは窺えるとしても「こういう人が盗撮をしている」というイメージが定着すると、そうではない盗撮犯に目が向かなくなってしまいます。

例えば、イケメン男性や女性が盗撮するというケースでしょうか。

上記の分析から一般的にイメージされる男性に対しては駅や電車、商業施設などで不自然に近づかれたら警戒して避けるといった女性はもともと多いと考えられますが、爽やかなイケメン男性や増しては女性ともなればまさか盗撮しているとはなかなか考えられません。それは周囲にいる人たちにとっても同じことです。

また、ステレオタイプな盗撮犯においては自らの性的欲求が動機になっているとまず考えられるところ、そうではない盗撮犯では自身の性欲のためではなく、昨今では金銭的な欲求、つまり販売する目的で盗撮に及んでいる可能性もあるでしょう。

女性が女性のスカート内を盗撮するというのはよほど特殊な性的嗜好がない限りは販売目的と考えるのが普通で、実際に女性が盗撮した映像が販売されて事件化している例があります。ネット上で公開または販売されたときの被害は、そうではない場合と比べると大きな違いがあると言えます。

もちろんステレオタイプな盗撮犯がそれをしないとは限りませんが、特定のイメージの定着によってそのイメージから外れる盗撮犯に目が向かなくなる状況というのは大変危険に感じます。

まとめ

以前の痴漢に関する記事と同じように、治療が必要と思われる性犯罪者に向いた上でのインタビュー内容と記事内容になっているのでコメントでも突っ込まれるような傾向になってしまうのは仕方ないような気がしてきました。

性犯罪防止のための治療については否定するところではありませんが、即座に効果が上げられるわけではないものにフォーカスするだけではなく、今まさに起きている被害を食い止め、拡大しないようにする面にも触れてほしいと感じます。

中途半端なプロファイリングもどきによる犯人像を先入観として持つことが危険なのは盗撮に限ったことではありませんが、もはや盗撮は非リア男性だけのものではなく、そのすそ野はイケメン男性や女性にも広がっていると考えなければなりません。

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