盗撮などの性犯罪での逮捕やその前後に関する情報を配信してまいります。

盗撮で逮捕される日

ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(1月13日~1月19日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

「盗撮のスリル味わいたかった」介護施設の女性用更衣室にカメラ仕込まれた時計設置…52歳会社役員逮捕

自ら経営する介護施設の女性用更衣室に、盗撮目的でカメラを設置したとして、北海道室蘭市の会社役員の男(52)が2020年1月15日、道迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されました。

男は、室蘭市の介護施設の女性更衣室に小型カメラを置き、女性が着替える姿を盗撮しようとした疑いが持たれています。

1月14日午後5時ごろ、従業員の女性が着替えようとした際、スマートフォンほどのデジタル時計が棚に不自然に置かれていることに気づき、調べたところカメラが内蔵されていました。女性は「盗撮機を設置した者がいるかもしれない」と警察に通報。警察が男に話を聞いたところ、「自分が設置した」と認めたため逮捕しました。

調べに対し男は「盗撮するスリルを味わいたかった」と話していて、警察で詳しく調べています。
引用元 : UHB北海道放送 2020年1月15日 8時25分配信

介護施設の経営者による更衣室での着替え盗撮事件です。ただ、女性従業員に対する盗撮に至る前にバレてしまったようで逮捕容疑は盗撮目的で更衣室にカメラを設置した疑いというまでに留まっています。

得物はデジタル時計を模したカモフラージュカメラだったようで、おそらくそれまでには無かった時計が置かれていた上に設置した場所や角度などが不自然だったことですぐに不審に思われたのでしょう。施錠されていても経営者なら鍵を持っているでしょうから立ち入ることは容易だったと思われますが詰めが甘かったようです。

警察は勿論実際に盗撮に至っている余罪も無いか調べているでしょうが、如何にも素人が使いそうなカモフラージュカメラを不自然に置いてしまうお粗末さからはこれまでに盗撮した余罪があるような印象はあまり受けません。興味からの出来心といったところでしょうか。

北海道の迷惑防止条例では盗撮目的でカメラを向けたり設置したりするだけでアウトになる規定がありますのでこの事件においても処罰の対象となります。

北海道 迷惑行為防止条例 第2条の2

何人も、正当な理由がないのに、次に掲げる行為をしてはならない。
第1号
公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
  1. 衣服等の上から、又は直接身体に触れること。
  2. 衣服等で覆われている身体若しくは下着をのぞき見し、又は映像面に衣服等を透かして身体若しくは下着の映像を表示する機能を有する機器を使用して当該映像を見ること。
  3. ア及びイに掲げるもののほか、卑わいな言動をすること(次号に掲げる行為を除く。)。
第2号
公共の場所若しくは公共の乗物又は集会場等(集会場、事務所、教室、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所及び乗物をいい、公共の場所及び公共の乗物を除く。第4号において同じ。)にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
  1. 衣服等で覆われている身体又は下着を撮影すること(次号に規定する状態の他人に対して行う場合を除く。)。
  2. アに掲げる行為をするため、写真機、ビデオカメラその他の撮影する機能を有する機器(次号及び第4号において「写真機等」という。)を向けること。
第3号
住居、浴場、便所、更衣室その他の人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(以下この号及び次号において「住居等」という。)における当該状態の他人の姿態を撮影し、又はこれを撮影するため写真機等を住居等における当該状態の他人に向けること。
第4号
公共の場所若しくは公共の乗物若しくは集会場等にいる者の衣服等で覆われている身体若しくは下着又は住居等における前号に規定する状態の他人の姿態を撮影するため、写真機等を設置すること。

この事件の現場は更衣室ですので第3号に該当していると考えられます。

実際に盗撮している余罪があってそれが裏付けられれば話は違いますが、この事件だけであれば盗撮目的でカメラを設置しただけということになりますので厳しくても20万円までの罰金で済むのではないでしょうか。

同僚の更衣室盗撮、平塚市消防士長が停職 「仕事で緊張、ストレス発散に」

神奈川県平塚市は16日、庁舎内で盗撮をしたとして、市消防本部の男性消防士長(37)を停職6カ月の懲戒処分とした。消防士長は同日付で依願退職した。

市消防本部によると、消防士長は昨年11月3日午前8時ごろ、消防庁舎内の女性用更衣室兼仮眠室に侵入。ハンガーに掛けてあった救急用作業着のポケットにスマートフォンを仕掛け盗撮したという。同8時半ごろ、当直勤務を終えた女性職員が発見し発覚した。

消防士長は救急隊所属で、市の聞き取りに「仕事の緊張感からストレスがたまっていて発散する目的だった」と説明しているという。更衣室は通常施錠されており鍵は女性職員らが管理していたが、当日は施錠されていなかった。平塚署は県迷惑防止条例違反(盗撮)の疑いで調べている。
引用元 : 神奈川新聞 2020年1月16日 21時0分配信

同じく更衣室での着替え盗撮事件でこちらは消防士によるものです。既に懲戒処分が出て依願退職もしているようですが、警察が捜査に入ってはいるもののまだ逮捕には至っていないように見られます。

更衣室での盗撮ではありますがハンガー型のカモフラージュカメラなどの特殊な得物を使ったわけではないようで、更衣室に掛けてあった作業着のポケットにスマホを入れて盗撮したとのことです。注意散漫な人などにはもしかすると気付かれなかったかもしれませんが、8時頃に仕掛けてバレたのが8時半頃、結局30分程で気付かれてしまっているのでほとんど即バレと言って良いでしょう。

消防本部からの発表では盗撮したとされており警察も盗撮の疑いで調べているとのことですが、仕掛けてからバレるまでがあまりに短時間なので果たして実際に盗撮できていたのか、盗撮する前にバレていわゆる盗撮準備行為というまでに留まっているのではないかと気になるところもあります。

神奈川県の迷惑防止条例では公共の場所ではない更衣室における盗撮行為、盗撮目的でカメラ等を設置する盗撮準備行為のいずれも処罰の対象となりますので、この事件で実際には盗撮に至っていなかったとしてもアウトということになります。

神奈川県 迷惑行為防止条例 第3条

何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接に人の身体に触れること。
  2. 人の下着若しくは身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)を見、又は人の下着等を見、若しくはその映像を記録する目的で写真機その他これに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、若しくは人に向けること。
  3. 前各号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
第2項
何人も、人を著しく羞恥させ、若しくは人に不安を覚えさせるような方法で住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服等の全部若しくは一部を着けないでいるような場所にいる人の姿態を見、又は、正当な理由がないのに、衣服等の全部若しくは一部を着けないで当該場所にいる人の姿態を見、若しくはその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、若しくは人に向けてはならない。

今回は現場が消防庁舎内の更衣室で、かつ、盗撮する目的でスマホを仕掛けていますので盗撮できていてもできていなくても第2項に該当すると考えられます。

盗撮準備行為に留まっていると見られる表現も無く、スマホを発見した女性職員自身が盗撮されていた(その最中に気付いた)などの可能性もありますが、スマホを仕掛けただけで盗撮できていなかったのであれば10万円から20万円程度の罰金、実際に盗撮にまで至っていたのであれば30万円からの罰金といったところではないでしょうか。

警部補 女性を無断撮影 海水浴場で水着姿を

県内の海水浴場で水着姿の女性を無断で撮影したとして、県警が50歳代の男性警部補を戒告の懲戒処分としていたことがわかった。処分は昨年12月24日付で、警部補は同日依願退職した。

県警監察官室によると、警部補は同7月下旬、海水浴場近くに車を止めて、車内からビデオカメラで水着姿の女性を撮影。気がついた女性が警部補を問い詰め、警察に通報した。動画は警察官が現場に駆けつけた時には削除されていたという。

また、県警はその後の調べで、警部補のスマートフォンなどから別の複数の女性が映った動画を確認。警部補は「好みの女性を撮りたかった」と話していて、以前から商業施設などでビデオカメラやスマホを使い、見ず知らずの女性の撮影を繰り返していたという。

監察官室は「犯罪行為には該当しないが、警察官としてモラルに欠け、信頼を失墜させる行為で、誠に遺憾。全職員に指導を徹底して再発防止に努める」とした。

県警では昨年7月、県警本部の30歳代男性巡査(当時)が、女性のスカート内をスマホで盗撮するなどしたとして懲戒処分(減給)され、罰金などの略式命令を受けた。
引用元 : 読売新聞 2020年1月17日 5時0分配信

警察官による盗撮事案で本人は懲戒処分の後に依願退職していますが事件にはなっていません。これまでにも海水浴場やプールで水着姿の女性を盗撮して逮捕されている事件をいくつか取り上げていますが、何故か警察官という事例が目立ちます(大阪府警の警察官による事件埼玉県警の警察官による事件)。

なお、記事の見出しでも本文でもどこの話かわかりづらいですが山口県における事案です。

以前に取り上げている先の記事のような事件でも逮捕はされているもののすぐに釈放されており、続報はありませんがおそらく不起訴で罰金等の刑事処分も受けていないのではと思われます。執拗に股間や臀部などを狙って撮っていたというような内容でない限りは警察官の身内裁定は抜きにしても実質はお咎め無しというケースが多いのではないでしょうか。

この事件でも逮捕されておらず犯罪行為には該当しないと発表もされていますが、通報を受けた警察官が駆け付けた時には既に盗撮した動画が削除されていたことや、海水浴場やプールで水着姿の人を盗撮する行為が元々微妙な事案であることなどからそうした判断に至ったのかもしれません。

ただ、山口県の迷惑防止条例では「卑わいな言動」として包括的に(悪く言えば曖昧に)検挙できる規定が無かったので単に迷惑防止条例違反に当たらない事案だったという可能性もあります。

山口県 迷惑行為防止条例 第3条

何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に著しく嫌悪の情を催させるような方法で、次の各号の一に該当する行為をしてはならない。
  1. みだりに他人の身体に接触する行為(衣服等の上から接触する行為を含む。)
  2. 他人の身体又は下着(これらのうち現に衣服等で覆われている部分に限る。以下同じ。)を見る目的で行う、手鏡を他人のスカートの下に差し出す行為、他人のスカートの下からのぞき込む行為、他人のスカートをまくり上げる行為その他の周囲の状況からみて著しく異常な行為
  3. 他人の身体又は下着を撮影し、又は録画する目的で行う、撮影機器を他人のスカートの下に差し出す行為その他の周囲の状況からみて著しく異常な行為
  4. 他人の身体又は下着を見る目的で行う、赤外線を利用して衣服等を透かして身体又は下着を見ること(以下「透視すること」という。)ができる機器を透視することができる状態で使用して、他人の身体又は下着の映像を当該機器の映像面に表示させ、又はこれらを撮影し、若しくは録画するような行為

それぞれ痴漢行為、手鏡を使ったり直接覗き込んだりする行為、スカート内等の盗撮行為、赤外線等を利用した透視による盗撮行為に限定されていてこれら以外を処罰することが難しくなっています。

しかし、山口県でも迷惑防止条例が改正されて盗撮行為に関する規制が強化されており、今年1月1日から施行されているので今後は同様の事案でも逮捕されるケースは出てくるかもしれません(ただし処罰が必要な程の事案かどうかは相変わらず微妙なので罰金等の刑事処分は依然として無いままかもしれません)。

山口県 迷惑行為防止条例(改正後) 第3条

何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に著しく嫌悪の情を催させるような方法で、次の各号のいずれかに該当する行為をしてはならない。
  1. みだりに他人の身体に接触すること(衣服等の上から接触することを含む。)。
  2. 他人の身体又は下着(これらのうち現に衣服等で覆われている部分に限る。以下「身体等」という。)を見る目的で、手鏡その他の人の姿態を映すことができる器具を他人のスカートの下に差し出し、他人のスカートの下からのぞき込み、又は他人のスカートをまくり上げること。
  3. 他人の身体等を撮影し、又は録画する目的で、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を他人の身体等に向け、又は設置すること。
  4. 写真機等を使用して他人の身体等を撮影し、又は録画すること。
  5. 他人の身体等を見、又は撮影し、若しくは録画する目的で、赤外線を利用して衣服等を透かして身体等を見ることができる機器(以下「透視機器」という。)を他人の姿態に向け、又は設置すること。
  6. 透視機器を使用して他人の身体等を撮影し、又は録画すること。
  7. 前各号に掲げるもののほか、他人に対し、みだりに卑わいな言動をすること。
第2項
何人も、事務所、教室、貸切バスその他の特定かつ多数の者の利用に供されている場所若しくは乗物又はタクシーその他の不特定の者の利用に供されている乗物( 公共の乗物を除く。)において、前項に規定する方法で、同項第2号から第6号までのいずれかに該当する行為をしてはならない。
第3項
何人も、正当な理由がなく、第1項に規定する方法で、次の各号のいずれかに該当する行為をしてはならない。
  1. 衣服の全部又は一部を着けない状態にある他人(住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常当該状態でいるような場所にいる者に限る。以下この項において同じ。)の姿態をのぞき見ること。
  2. 前号の状態にある他人の姿態を撮影し、又は録画する目的で、写真機等を他人の姿態に向け、又は設置すること。
  3. 写真機等を使用して第1号の状態にある他人の姿態を撮影し、又は録画すること。
  4. 他人の身体等を見、又は撮影し、若しくは録画する目的で、透視機器を他人の姿態に向け、又は設置すること。
  5. 透視機器を使用して他人の身体等を撮影し、又は録画すること。

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