盗撮などの性犯罪での逮捕やその前後に関する情報を配信してまいります。

盗撮で逮捕される日

ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(2月19日~2月25日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

盗撮規制強化、学校などにも拡大 改正「佐賀県迷惑防止条例」施行 ~ 体育館で着替え中の女子生徒7人盗撮 30代男を逮捕 条例改正後初 佐賀

盗撮行為の規制強化を柱に改正された佐賀県迷惑防止条例が19日、施行された。公共スペースを対象にしてきた規制を、学校や会社など「特定多数の人が利用する場所」にも拡大し、盗撮機器の設置行為なども取り締まりの対象とする。

旧条例は商業施設や駅、公共交通機関など「不特定多数の人が利用する場所」での盗撮を禁止してきた。これに学校や会社、貸し切りバスなど「特定多数の人が利用する場所」を追加し、撮影機器をスカート内などに差し向ける行為も禁止事項として明文化した。

盗撮や機器設置のいずれの行為も3条の「ひわいな行為」に当たり、罰則は従来通り「6カ月以下の懲役か50万円以下の罰金」、常習のケースは「1年以下の懲役か100万円以下の罰金」と定めている。

(中略)

全国盗撮犯罪防止ネットワーク(事務局・和歌山県)の平松直哉代表の話 盗撮の手口は年々、巧妙化し、使用される機器も小型化や高性能化が進んでいる。充電器など家電製品を装ったものをはじめ、ネクタイや靴の先に仕込むものなど多岐にわたり、無線LANでデータを転送するものもある。カメラのレンズは小さいもので1ミリ。機器自体は誰でも買うことができ、どんなものにでも偽装できると思った方がいい。

発覚している盗撮行為は氷山の一角。動画がインターネット上に流出してしまうと、完全に消去するのは難しい。気を付けることで防げる被害もあり、エスカレーターで横向きに立ったり、公衆トイレや浴場に不審物がないか目を光らせたりして自衛してほしい。
引用元 : 佐賀新聞 2018年2月20日 9時45分配信

佐賀県でも盗撮の規制強化を含む改正条例が施行されたようです。以前の記事で長崎県の事情に触れていましたが、その記事によれば残るは長崎県と熊本県、大分県となります。

それらの県でも改正に向けた作業が進んでいるようですので、九州地方では全ての県で盗撮への規制が強化された条例が施行されるのも時間の問題と言えるでしょう。

なお、盗撮に関して改正された規定は以下のようになっています。旧条例では規制が及ばなかった場所にも規制の範囲を拡大させ、また、盗撮目的でカメラ等を向けたり設置したりするだけでもアウトになるように改正されています。

佐賀県 迷惑行為防止条例 第3条

何人も、公共の場所等において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 衣服その他身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。
  2. 衣服等で覆われている人の下着又は人の身体をのぞき見すること。
  3. 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
第2項
何人も、公共の場所等又は特定多数の者が使用する場所等(事業所、学校その他の特定かつ多数の者が使用する場所又は貸切バスその他の特定かつ多数の者が使用する乗物をいう。次項において同じ。)において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 衣服等で覆われている人の下着又は人の身体を写真機、ビデオカメラ、携帯電話その他の機器(以下「写真機等」という。)を使用して撮影すること。
  2. 衣服等で覆われている人の下着又は人の身体を撮影する目的で写真機等を向け、又は設置すること。
第3項
何人も、正当な理由がないのに、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所であって、次に掲げる要件のいずれかに該当するものにおいて、当該状態でいる人の姿態を写真機等を使用して撮影し、又は当該姿態を撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
  1. 公衆が利用することができること。
  2. 特定多数の者が使用する場所等にあること。

後段の注意喚起についてはこちらの記事などでも触れている通りです。

痴漢などのように被害を受ける側が自衛を強いられるということに納得できない考えもあると思いますが、使おうと思えば盗撮に使える機材がネットショッピング等で安価かつ容易に購入できる現代においてはできるだけ自衛に努めて被害を防止するしかありません。

そして、改正条例の施行から1週間も経たない内にちょうど改正された箇所に引っかかるような事件が起きたようです。

佐賀市内の学校の体育館で、高校生女子を盗撮したとして、佐賀北署は22日、佐賀県迷惑行為防止条例違反(盗撮)の疑いで、唐津市相知町、自称会社員の容疑者(33)を逮捕した。盗撮行為の規制強化を柱に改正された条例が19日に施行されてから初めての摘発となった。

逮捕容疑は21日午後7時半ごろ、体育館で、部活を終えて着替えていた女子生徒7人の動画をスマートフォンで撮影した疑い。生徒の1人が撮影に気づき、学校関係者が110番した。

条例はこれまで、商業施設や駅など公共スペースが規制の対象だったが、改正後は、学校や会社など「特定多数の人が利用する場所」にも拡大された。
引用元 : 佐賀新聞 2018年2月23日 10時12分配信

高校の体育館とのことなので迷惑防止条例が改正されていなくても建造物侵入などで捕まっていたのではと思われますが、これまでは条例の規制が及ばなかった場所での盗撮ということで第1号として報道されています。

被害者が高校の女子生徒で着替え中とのことなので後述の事件のように児童ポルノの製造の可能性もあるのではと思います。条例改正後初の摘発という部分が強調された記事になっていますが、衣服を脱いでいる場面などが記録されていて児童ポルノと判断されればまた続報されるかもしれません。

盗撮などで県職員を懲戒処分

新潟県は、女性のスカートの中を盗撮するなどした30代の係長級の男性職員を停職4か月の懲戒処分にしたと発表しました。

懲戒処分を受けたのは、県の土木部に勤務する30代の係長級の男性職員です。
県によりますと、男性職員は、おととし2月に新潟市西区のバス停で、女性のスカートの中をスマートフォンで盗撮したほか、多くの乗客がいる高速バスの中で自分の下腹部を露出するなどの行為をしたということです。

また、スマートフォンにダウンロードした児童ポルノの動画を所持していたとして去年10月、児童ポルノ禁止法違反の罪で罰金80万円の略式命令を受けたということです。

県は、これらが地方公務員法が禁じている信用失墜行為にあたるとしてこの職員を23日付けで停職4か月の懲戒処分としました。
引用元 : NHK 2018年2月23日 18時17分配信

見出しでは盗撮などで懲戒処分とされていますが、盗撮以外に公然わいせつや児童ポルノの所持など盗撮と直接結びつかないものがあり、盗撮犯の枠には収まりきらない印象を受けます。

刑法 第174条

公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

単に盗撮にハマって繰り返していたというものでもなさそうで、より大きく性的に逸脱した嗜好があるように思われますので果たしてこの程度の罰で懲りるだろうかという思いがしてしまうところです。

なお、児童ポルノの所持については略式命令から罰金まで顛末が報道されているところ、盗撮や公然わいせつの方はどのような刑事処分だったのか触れられていないのが気になります。

いずれかがきっかけで芋づる式に発覚したのか、あるいは別個に発覚したのかわかりませんが、そちらでも罰金を食らっていてもおかしくない行為と思われるところ、それが報道されていないのは単に処分が一番厳しかった児童ポルノの所持だけ取り上げたなどの理由なのでしょうか。

個人的にはなんとなく、今は懲りているように見えるかもしれませんが、喉元が過ぎたらまたぞろ虫が騒ぎ出してくるタイプなのではないかと感じてしまいます…。

勤務先小学校で女児盗撮容疑…34歳講師の男を再逮捕 奈良県警

勤務先の小学校で女子児童を盗撮したとして、奈良県警奈良西署は23日、児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで、奈良市立小学校の常勤講師の男(34)=同市=を再逮捕した。

再逮捕容疑は昨年9月7日、小学校の敷地内に設置した小型のカメラで女子児童を動画撮影し、データを自宅のパソコンに保存したとしている。

同署によると「撮影はしたが児童ポルノになる認識はなかった」という趣旨の供述をしている。

講師は今月15日、女子トイレに設置したカメラで児童を盗撮したとして県迷惑防止条例違反などの疑いで逮捕され、23日付で児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)罪で起訴された。
引用元 : 産経新聞 2018年2月23日 20時24分配信

前回の記事で取り上げていた事件の続報ですが、児童ポルノの製造に当たるのではないか、児童ポルノ禁止法違反での再逮捕はあり得るかもと述べていたところ、まさしくその通りになりました。

女子トイレでの盗撮で被害者が小学生の女子児童と来れば児童ポルノの製造となっても当然と言えるでしょう。同様の事例で迷惑防止条例違反や建造物侵入での逮捕に留まっているニュースも割とありますが、この事件のように続報されないだけで児童ポルノ禁止法違反が追加されているケースは少なくないのかもしれません。

「児童ポルノになる認識はなかった」との供述について、児童買春の場合は18歳未満とは知らなかったと言い訳するケースがありますが、被害者が小学生の女子児童となるとそうした言い訳が通用する余地はありません。

となるとこの被疑者においては何が児童ポルノなのか認識していなかった可能性があるといったところでしょうか。

児童ポルノ禁止法 第2条 第3項

この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
  1. 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
  2. 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
  3. 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

現行法ではこれが児童ポルノの定義となりますが、この事件ではいわゆる絡みの相手方がいる1号ポルノと2号ポルノではなく、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態」を記録した3号ポルノとして検挙に至っていると見られます。

これの製造という、迷惑防止条例違反などより重い罪を犯している認識は無かったという程度の意味なのかもしれませんが、故意が無かったという否認として捉えられかねないとも言えます。

もっとも、児童ポルノを製造しているという故意が本当はあったにしても無かったにしても、今後の取り調べの中で刑事が詰めていって故意を認めることになるのではないでしょうか。既に起訴もされているようですのでおそらく罰金では済まされず、判決は執行猶予付きの懲役刑になるのではと思われます。

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