先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
教え子の女子生徒を盗撮、元コーチに懲役4年の実刑
指導していた女子生徒らの着替えを盗撮した罪に問われたサッカークラブの元コーチに、懲役4年の実刑判決が言い渡されました。
東京・荒川区のサッカークラブの元コーチ(29)はおととし4月ごろ、指導していた女子生徒と性行為に及んだほか、去年8月まで1年間にわたって事務所や合宿先の浴室などで生徒らの着替えの様子を盗撮するなどした罪に問われました。
2日の判決で東京地裁は「被害者を指導する立場を悪用した相当卑劣で悪質な犯行」「30人を超える被害者と親御さんの多くが厳罰を求めている」として、被告に懲役4年の実刑を言い渡しました。
判決の最後に裁判長は「自分のしたことの重大さについて刑務所の中で理解を深めるようにしてください」と説諭しました。
引用元 : TBS 2020年3月2日 19時45分配信
※被告人の氏名部分を修正しております。
以前の記事で取り上げていたNPO法人代表理事による盗撮事件の続報ですが、何と懲役4年もの実刑が科されたようです。先の記事では児童ポルノの盗撮製造での再逮捕が報じられており、それだけならば罰金か公判請求かと見ていたところそんな程度では済まされず実刑、しかも4年という割と長めの判決となりました。
やはりというか何と言うか再逮捕された件以外にも盗撮の余罪が出てきているようで、「30人を超える被害者」とされているからには立件された分だけでも結構な数に上るのでしょう。女子サッカークラブで中学生を指導していたとのことなので被害者はおそらく全員女子中学生、その着替えの様子を盗撮していたとなればいずれも児童ポルノの盗撮製造となります。
女子生徒と性行為にも及んでいたとされていますが、それを撮影していたり強姦のような性行為だったりでなければ青少年健全育成条例違反に留まるでしょうからこれについては量刑にそこまで影響していないのかもしれません。
「1年間にわたって」とされているように常習性が見られ、「指導する立場を悪用した」と言われているように悪質でもあり、それでいて被害者が特定されて裏付けもできている児童ポルノの盗撮製造が多数あればトータルでこれくらいの判決になるのもあり得ることでしょう。
一口に盗撮と言っても18歳未満の児童の風呂やトイレ、着替えを盗撮する行為はこれだけ重くなるということがわかります。
服役後に同じ立場に戻って再出発することは困難でしょうが、ここで足を洗わないと再犯に及んでしまってまた刑務所に戻る未来が待っているかもしれません。
浴室侵入させ自衛官免職 女性空士長は停職、岐阜
航空自衛隊岐阜基地(岐阜県各務原市)は3日、空士長の女性自衛官(24)を盗撮目的で同基地内の女子浴室に侵入させたなどとして、建造物侵入などの罪で執行猶予付きの判決を受けた2等空曹(35)を懲戒免職とした。女性自衛官も停職5カ月の懲戒処分とした。
同基地によると、被告は女性自衛官に指示し、2017年11月~18年3月ごろ、女子浴室の脱衣所に侵入させた。また昨年10月には、各務原市の商業施設で女性のスカート内を盗撮した。
岐阜地裁が2月21日、懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い渡した。女性自衛官は昨年12月17日、建造物侵入の罪で略式起訴され、罰金10万円の略式命令を受けた。
引用元 : 日刊スポーツ 2020年3月3日 12時1分配信
※被告人の氏名部分を修正しております。
こちらも以前の記事で取り上げていた自衛官による盗撮目的での建造物侵入事件の続報です。先の記事で述べていた通り盗撮を指示した男性自衛官の方は執行猶予付きの懲役刑、女性自衛官の方は罰金となったようで、それぞれ免職と停職の懲戒処分も受けています。
なお、当初は明らかにされていませんでしたが男性自衛官の方は昨年10月の別件の盗撮もあったようで、公判請求までされていた理由としては最初に逮捕された邸宅侵入と女性自衛官との共謀による隊舎浴室への建造物侵入だけだったわけではなく、その盗撮による迷惑防止条例違反もあったためではないかと思われます。
また、他の報道によると男性自衛官と女性自衛官の関係については同僚又は上官部下という関係以外にも不倫関係にあったとされています。上官かつ不倫相手からの指示だったため隊舎浴室での盗撮に手を染めたといったところでしょうか。
懲戒免職の処分を受けた2等空曹は、2017年から18年にかけ、当時不倫関係にあった女性隊員(24)に指示し、女性宿舎の風呂場で盗撮させたということです。
空曹は、建造物侵入などの罪で先月、有罪判決を受けています。また、女性隊員も罰金刑を言い渡されていて3日、停職5か月の処分を受けました。
引用元 : 中京テレビ 2020年3月3日 16時58分配信
※被告人の氏名部分を修正しております。
先の記事でも指摘しているように岐阜県の迷惑防止条例では風呂やトイレ、更衣室等での盗撮行為や盗撮準備行為はその場所が公共の場所でないと処罰の対象外なので自衛隊の隊舎浴室における盗撮は迷惑防止条例違反に当たらないと思われ、そのため盗撮実行犯の女性自衛官は建造物侵入のみで罰金刑になっていると考えられます。
岐阜県 迷惑防止条例 第3条
- 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接人の身体に触れること。
- 衣服等で覆われている人の下着又は身体(以下「下着等」という。)を見ること。
- 衣服等で覆われている人の下着等の映像を見、又は記録する目的で、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、又は衣服等で覆われている人の下着等に向けること。
- 前3号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、正当な理由がないのに、公共の場所又は公共の乗物において、衣服等を透かして見る方法により衣服等で覆われている人の下着等の映像を見、又は記録する目的で、衣服等を透かして見ることができる写真機等を設置し、又は人に向けてはならない。
何人も、正当な理由がないのに、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所において、当該状態でいる人の姿態の映像を見、又は記録する目的で、写真機等を設置し、又は当該状態でいる人に向けてはならない。
条例の定めから外れているとは言え盗撮を実行した女性自衛官が罰金10万円、一方で盗撮を指示した男性自衛官は盗撮1件と建造物侵入2件で公判請求されて懲役1年6月に執行猶予3年と明暗が分かれており、これはやはり2人の関係を踏まえると指示役の方が責任が大きいといった判断もあったのかもしれません。
自衛官でなくとも男性が女性に指示して風呂や着替えなどを盗撮させるといった例はありますが、同じように実行役より指示役の方が重い罰を科されることになるのではないでしょうか。
民家ガレージなど放火か 無職の男逮捕
去年12月、千葉県松戸市で民家のガレージなどに放火したとして、無職の男が逮捕された。
警察によると、放火の疑いで逮捕された無職の容疑者は去年12月、千葉県松戸市の民家の簡易ガレージに侵入し、火をつけてガレージやオートバイなどを焼損させた疑いがもたれている。
容疑者は今年1月、盗撮目的で松戸市の商業施設の女子トイレに侵入したとして逮捕、起訴されていて、その取り調べの中で放火について自供したという。
松戸市では去年12月以降、不審火が10件ほど相次いでいて、警察は容疑者の関与も視野に慎重に捜査する方針。
引用元 : 日本テレビ 2020年3月6日 14時17分配信
※被告人の氏名部分を修正しております。
本筋は盗撮事件ではありませんが、盗撮目的での女子トイレ侵入により逮捕された被疑者の余罪として放火が出てきたというニュースです。別件での逮捕から盗撮が発覚したり、逆に盗撮での逮捕から別の事件が発覚することは珍しくありませんが、それで出てきた余罪が放火という重罪なのは珍しいかもしれません。
盗撮に絡んで発覚する事件はやはり性犯罪が多く見られ、勿論一番多いのは他の盗撮行為というケースでしょうが、建造物や住居への侵入という盗撮に関連した行為から痴漢や強制わいせつ、下着窃盗といった他の性犯罪がよく見られるように思います。性犯罪の性質や動機などを考えると盗撮以外の事に発展したり、逆に他の事から盗撮に発展したりという流れは不思議な事ではないでしょう。
しかし稀に盗撮や他の性犯罪ではない余罪が発覚するケースもあり、この事件が正にそうしたケースですが、よりにもよって放火という非常に重い罪というのはあまり見ません。今回の逮捕のきっかけとなった女子トイレへの侵入での検挙が無ければさらに放火による被害が増えていた可能性もあります。
刑法 第108条
刑法 第109条
前項の物が自己の所有に係るときは、6月以上7年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
前者の現住建造物等放火の場合は死刑や無期懲役もある極めて重い罪で、この事件で放火したのは簡易ガレージとのことですので後者の非現住建造物等放火となるかもしれませんがそれでも下限でも2年という罪です。また、松戸市内で相次いでいたという他の不審火もこの被疑者による放火だとすればその中には前者に該当する放火があるかもしれません。
盗撮では常習だったり児童ポルノ絡みだったりで服役するとしても長くて3,4年といったところでしょうが、この事件ではその3,4年を下回らないと思われ長期の服役となることが見込まれます。盗撮目的での女子トイレ侵入からとんだ事件が出てきたものですが、これはもう被疑者においては長い刑務所暮らしを覚悟するしかないでしょう。