先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
女子トイレに侵入、大学生逮捕 盗撮目的か (愛知県)
6日、愛知県安城市のショッピングセンターの女子トイレに侵入したとして、岡崎市に住む大学生(20)が、建造物侵入の疑いで逮捕された。
警察によると6日午後2時ごろ、トイレの個室にいた女性が、携帯電話のようなものを向けられているのに気づき警備員に通報、駆けつけた警察官が隣の個室にいた容疑者を逮捕した。
調べに対し容疑者は「男子トイレと間違えて入った」と容疑を否認しているが、警察は、盗撮目的で侵入していたとみて調べを進めている。
引用元 : 中京テレビ 2017年3月7日 8時43分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
携帯電話のようなもの、とのことなのでスマホなどでトイレの仕切りと床の間から盗撮していたか、上部から空爆していたかのいずれかでしょうか。前々回の記事で取り上げていたようなカメラ設置型の盗撮ではなく、リアルタイムでカメラを向けていたタイプのようです。
記事では余罪の有無の可能性などに触れられていませんが、殺人や銀行強盗などの重大なものを除いて犯罪というものは(特にこうした小悪党レベルのものは)1回目でのっけから捕まるよりは何度も繰り返した末に捕まることが少なくないものです。
被害者女性が気づくまでの経緯が記事に無いので推測ではありますが、今回に限って盗撮中に物音を立ててしまったとかそういった凡ミスがあっただけで初めてのトイレ盗撮ではなかったのではないかと感じます。初めてリアルタイムでトイレ盗撮をするにあたってショッピングセンターの女子トイレというチョイスはなかなかハードルが高いように思われます。
もっとも、盗撮しておきながら「男子トイレと間違えて入った」という非常に苦しい言い訳をしたことも含めて、初めてやって捕まったのであれば少なくともトイレ盗撮という犯罪への適性は無いと見られますのでこれっきりで足を洗うべきでしょう。
被害者女性に気づかれて警備員を呼ばれ、そこから警察官が駆け付けるまでの間、公表されることはないでしょうがどういったやり取りがあったのか気になるところです。自業自得と言えばそれまでですが、被疑者は生きた心地がしなかったことでしょう。
「反省の様子見られない」列車内で女性の胸など盗撮の県職員に罰金30万円 宮崎地裁の差し戻し審判決
列車内で携帯電話のカメラを使って女性を盗撮したとして、宮崎県迷惑行為防止条例違反の罪に問われた県職員の男性被告(49)の差し戻し審で、宮崎地裁(岡崎忠之裁判長)は9日、罰金30万円(求刑罰金50万円)の判決を言い渡した。
被告は「身に覚えがない」と無罪を主張していた。
差し戻し前の一審宮崎地裁判決は「被告が動画を撮影し、削除した」と認定した。だが二審福岡高裁宮崎支部判決は、検察側が示した復元データについて「具体的な復元処理の内容や信頼性の立証が不十分だ」と判断。一審判決を破棄し、審理を地裁に差し戻した。
岡崎裁判長は判決理由で、復元や解析の措置は適切だったとした上で「被害者が感じた不快感は軽視できない。不合理に否認を貫いており、反省の様子が見られない」と述べた。
判決によると、被告は平成24年5月18日、走行中の車内で当時18歳の女性の胸や太ももなどを約15分間、動画撮影した。
引用元 : 産経新聞 2017年3月9日 13時33分配信
事件自体は約5年前のものですが、無罪主張の否認事件ということに加えて一審判決後に控訴、二審判決で一審判決が破棄されたものの審理が差し戻されているので長期化しているようです。
携帯電話で盗撮したデータが削除されたので復元して証拠にしたというからには、検察官が削除されたデータの復元手順なども含め客観的に見て疑いの余地が無い程度まで証拠固めする必要があるわけです。例えば「そもそもこれは被告人のケータイじゃなくね?」「よそからコピーしてきたデータじゃね?」となっては話にならないので、そのような疑問が出ないような証拠資料が必要です。
二審ではその点が不十分と指摘されており、差し戻し審の判決では「復元や解析の措置は適切だった」とされているところを見ると検察官が追加の立証をしたのかもしれませんが、記事の内容を見る限りでは無罪を主張するのは苦しいように感じられ、なぜここまで突っ張るのか気になります。
復元されたデータの是非だけで争っているわけではなく被害者や目撃者の証言だとか事件に至るまでの当日の経緯だとか状況証拠等も出ているでしょうから、データが無くても疑わしいという状況ではあろうと思われます。
盗撮したのかしていないのかといったことについて動画を見ればわかる点もあります。本当に盗撮していないのに事件当時の状況がトレースできる動画を他からコピーまたはダウンロードしたというのは通常考えられないので、この事件の場合は復元手順等が証拠として適切に示されていれば被告人が嘘を言っていると考えるのが自然でしょう。
復元手順等まで適切に立証されたと見られる物的証拠が出てもなお否認するのは厳しいように感じられますが、復元に関する立証が当初不十分だった点に弁護人が目を付けてそれに乗っかった結果引けなくなったといったことなのかもしれません。