盗撮などの性犯罪での逮捕やその前後に関する情報を配信してまいります。

盗撮で逮捕される日

ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(3月16日~3月22日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

園児の裸盗撮 元職員に懲役2年|NHK 北海道のニュース

勤務先の保育園児の裸を盗撮したとして、児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた元保育園職員の男に対し、釧路地方裁判所帯広支部は「児童を守るべき立場を利用した卑劣で背信的な犯行だ」として懲役2年の判決を言い渡しました。

帯広市の元保育園職員(45)は、平成29年から2年あまりにわたって、勤務先の保育園の女の子の園児18人の裸をメガネに内蔵したカメラなどで盗撮したとして児童ポルノ禁止法違反の罪に問われています。

17日の判決で釧路地方裁判所帯広支部の小西慶一裁判官は「児童を守るべき立場を利用した卑劣で背信的な犯行だ」と指摘しました。その上で、「自己の性的欲求を満たす目的で犯行に及んでいて、身勝手な動機に酌むべき事情は全くない」として懲役2年の判決を言い渡しました。
引用元 : NHK 2020年3月17日 19時32分配信
※被告人の氏名部分を修正しております。

以前の記事で取り上げていた保育園の事務職員による盗撮事件の続報です。やはり罰金では済まされなかったようで、公判請求されて判決は執行猶予も付かない実刑となりました。被告人の前科の有無等は明らかにされていませんが児童ポルノ絡みということもあり厳しい判決になっています。

最初に逮捕された事件では被害者はおそらく1人、その後再逮捕された事件では被害者がさらに4人とされていましたが、この記事によると被害者が18人となっていて他にも余罪があったことが窺われます。

被害者多数の児童ポルノ盗撮製造事件としては今月取り上げていたNPO法人代表理事による盗撮事件で同じように実刑判決となっています。NPO法人代表理事による事件ではフック型、この事件ではメガネ型などカモフラージュカメラを用いていた悪質な手口ということに加えて被害者が数人程度ではなく2桁に上っていて被害の規模が大きく、常習性も顕著ということでの厳罰なのでしょう。

被害者が多く別の事件として立件されていればシンプルに罰が重くなっていくものですが、全員と示談をするのも困難になってきますので被告人に有利な情状を積み上げることができず執行猶予は遠ざかっていきます。

尤も、盗撮では特に、捕まることを想定してセーブする人など皆無に等しいでしょうからいざ捕まったという時に現に逮捕された事件以外の余罪がどれだけめくられるかによって判決は大きく変わってきます。この事件でも一番最初に逮捕された分だけなら罰金で済んでいたかもしれません。

しかし何度も繰り返していますが、同じ盗撮と言っても18歳未満の児童の風呂やトイレ、着替えなどはそれだけで児童ポルノということになる可能性があり、児童ポルノというだけで適用される法令も罰則も全く違ってくることは覚えておかなければなりません。

盗撮目的で侵入疑い 自衛官逮捕|NHK 福島県のニュース

去年12月、盗撮のため、福島市内にあるコンビニエンスストアのトイレに侵入し、小型カメラで撮影したとして、陸上自衛隊福島駐屯地に所属する24歳の自衛官が建造物侵入などの疑いで逮捕されました。

逮捕されたのは、陸上自衛隊福島駐屯地の第44普通科連隊の3等陸曹(24)です。

警察によりますと、容疑者は、去年12月14日午後11時ごろ、盗撮をする目的で福島市内にあるコンビニエンスストアのトイレに侵入し、設置した小型カメラで利用客を撮影したとして、建造物侵入と県の迷惑行為等防止条例違反の疑いがもたれています。

清掃中の従業員が小型カメラに気づき、翌日、店の関係者が警察に届け出ていました。警察によりますと、調べに対し、容疑者は「間違いありません」と容疑を認めていて、当時は勤務時間外だったということです。

福島駐屯地司令の土肥直人1等陸佐は「誠に遺憾であり、地域の信頼を失墜させ、深くお詫び申し上げる。これまで以上に指導を徹底して再発防止に努める」とコメントしています。
引用元 : NHK 2020年3月19日 12時43分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

自衛官によるコンビニのトイレ盗撮事件です。盗撮による迷惑防止条例違反に加えて盗撮目的でコンビニのトイレに立ち入ったという建造物侵入の疑いでも逮捕されています。見たところ盗撮目的でのカメラ設置という盗撮準備行為には留まっておらず仕掛けたカメラで実際に盗撮するまでに至っているようです。

トイレに仕掛けられた小型カメラについては清掃に入ったコンビニ従業員が発見しておりその後警察に届け出ていたようですが、被疑者を特定するまでの経緯には触れられていないもののおそらく仕掛けたカメラに本人が映り込んでいたか、又はコンビニ内の防犯カメラの記録がきっかけになっているでしょうか。

なお、福島県の迷惑防止条例では現場がトイレの場合、盗撮目的でカメラを設置する盗撮準備行為だけで処罰の対象になる規定がありますのでこの事件においては盗撮には至っていなかったとしてもアウトになります。

ただし都道府県によって異なる部分ではありますが、福島県では盗撮準備行為への規制は公共の場所以外の場所に限られているようですので逆に公共の場所において盗撮目的でカメラを向けたり設置したりする行為は迷惑防止条例違反として処罰できない可能性があります。

福島県 迷惑行為等防止条例 第6条

何人も、公共の場所又は公共の乗物における他人に対し、みだりに、著しい羞恥心又は不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 着衣等の上から、又は直接他人の身体に触れること。
  2. 着衣等で覆われている他人の下着又は身体(以下「下着等」という。)をのぞき見し、又は撮影すること。
  3. その他卑わいな言動をすること。
第2項
何人も、公共の場所又は公共の乗物における他人に対し、みだりに、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を使用して着衣で覆われている他人の身体を透視する方法により、裸体(その一部を含む。以下この項において同じ。) の映像を見、又は裸体を撮影してはならない。
第3項
何人も、みだりに、住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所において、当該状態でいる他人の姿をのぞき見し、若しくは撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
第4項
何人も、みだりに、集会場、事務所、教室、貸切バスその他特定かつ多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、下着等を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。

この事件では現場がトイレということで第3項に該当していると考えられます。覗き見や撮影の他、撮影する目的でカメラ等を向ける、設置するといった行為を禁止することも明記されていますが、今回はおそらく押収したカメラに利用客を盗撮した映像が記録されていたと思われ、盗撮準備行為に留まらず盗撮したということまで本人も認めているようです。

迷惑防止条例違反以外に建造物侵入も加えられているので公判請求されるなら判決に多少影響してくるかもしれませんが、おそらく初犯で罰金までだと思われますので罰金の上限が10万円の建造物侵入はそこまで大きく影響しないのではないでしょうか。概ね30万円から50万円程度の罰金といったところではないでしょうか。

「警察官が盗撮行為」 奈良県警の巡査長が現行犯逮捕

女性のスカートの中をスマートフォンで盗撮しようとした奈良県警の男性巡査長が現行犯逮捕されました。

迷惑防止条例違反で現行犯逮捕されたのは、奈良県内の警察署に勤務する男性巡査長(50代)です。

警察によると男性巡査長は3月21日午後5時半ごろ、奈良・香芝市にある近鉄五位堂駅のエスカレーターで、専門学校生の女性(10代)に対し、ワンピースの下からスマートフォンを差し入れて盗撮しようとした疑いがもたれています。男性巡査長の動きを不審に思った目撃者の男性が、その場で取り押さえたということです。

警察によると、男性巡査長は精神疾患を患い、去年12月から特別休暇を取っていたということです。

男性巡査長は「女性のスカートの中に自分のスマートフォンを差し入れたことに間違いない」と容疑を認めています。
引用元 : 関西テレビ 2020年3月19日 1時47分配信

警察官によるスカート内盗撮事件です。逮捕容疑が「ワンピースの下からスマートフォンを差し入れて盗撮しようとした疑い」とされていて実際に盗撮に及んだのか、その手前までなのかがちょっとハッキリしません。スマホを差し入れることはしたがボタンを押して撮影する前に取り押さえられたということでしょうか。

というのも、奈良県の迷惑防止条例では盗撮目的でスカート内にカメラを差し入れる盗撮準備行為への規制が明記されておらず実際に盗撮するまでに至っていないと処罰の対象にならないのではないかとも考えられます。

奈良県 迷惑防止条例 第12条

何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しくしゆう恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、みだりに次の各号に掲げる行為をしてはならない。
  1. 他人の胸部、臀部、下腹部、大腿部等(以下「胸部等」という。)の身体に触れる行為(着衣その他の身に着ける物(以下「着衣等」という。)の上から触れる行為を含む。)であつて卑わいなもの
  2. 着衣等の全部若しくは一部を着けないでいる他人の姿態若しくは着衣で覆われている他人の下着若しくは胸部等の身体をのぞき見し、又は写真機等を使用して、その映像を記録する行為であつて卑わいなもの
  3. 前二号に掲げるもののほか、卑わいな言動
第2項
何人も、みだりに卑わいな行為であつて次の各号に掲げるものをしてはならない。
  1. 公共の場所及び公共の乗物以外の場所から、写真機等を使用して、透視する方法により、公共の場所にいる他人若しくは公共の乗物に乗つている他人の下着若しくは胸部等の身体を見、又はその映像を記録すること。
  2. 写真機等を使用して、住居、浴場、更衣室、便所その他の人が着衣等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(公共の場所及び公共の乗物を除く。)に当該状態でいる他人の姿態の映像を記録すること。

現場は駅構内のエスカレーターですので公共の場所ということで関係してくるのは第1項ですが、第1号は痴漢行為に関する規定なので関係無いとして、第2号では撮影することを禁止しているだけで撮影の目的でカメラ等を向けたりすることまでを禁止する規定にはなっていません。

第3号の卑わいな言動に該当するということで逮捕したのかもしれませんが、実際に撮っていたなら別として盗撮を実行する前に取り押さえられて未遂に終わっているのであれば精神疾患を患っていたという事情や身内の警察官ということを考えると不起訴となる可能性が十分あるのではと思えます。

特別休暇を取る程なのに盗撮はできる精神疾患とは何なのかという気もしますが、曲がりなりにもお役所ですので特別休暇を許すからには医師の診断書なども出ているでしょうしそうした証明はそれなりの効果を発揮するものです。悪くても免職と引き換えに不起訴を得ることはできるのではないでしょうか。

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