先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
盗撮疑いで白バイ巡査逮捕 千葉県警、減給処分で退職
女性のスカートの中を盗撮したとして、千葉県警が県迷惑防止条例違反の疑いで、交通機動隊の白バイ隊員の男性巡査(29)を3月に現行犯逮捕していたことが2日、県警への取材で分かった。県警は3月28日付で減給100分の10(6カ月)の懲戒処分とし、巡査は依願退職した。
逮捕容疑は3月上旬、県内の飲食店で、女性のスカート内をスマートフォンで撮影した疑い。千葉地検は既に不起訴とした。捜査関係者によると、起訴猶予とみられる。容疑を認めていたという。
目撃した男性が取り押さえ、警察官に引き渡した。県警は女性の要望を受け、被害者保護のために逮捕を公表しなかったとしている。
引用元 : サンケイスポーツ 2019年4月2日 13時22分配信
白バイ隊員の警察官による盗撮事件を報じたニュースです。刑事処分も懲戒処分も既に済んでいるようで、前者では不起訴、後者では減給処分の末、依願退職となったようです。
事件の内容によっては一般人による盗撮事件でも不起訴になることは往々にしてあることなのでこの事件が不起訴だから身内裁決だとは言えませんが、「女性の要望」「被害者保護のため」というのはどうにも臭いものを感じます。
この事件で示談が成立しているのかどうか定かではありませんが、元々示談の成否や被害者の処罰感情などは事件を担当する刑事や検察官の働きかけによって左右される面も大きいものです。
被害者と被疑者が元々知り合いだったなどのケースを除いては、被害者の連絡先がわからないことが多いので謝罪や示談など被疑者やその弁護人からのコンタクトは担当の刑事や検察官を通して行う他ありません(仮に連絡先がわかっていたとしても被疑者側から突然コンタクトを取るのは良い結果に繋がらないでしょう)。
そうした場合、被疑者側からの申し出を受けて刑事や検察官がまずは被害者の意向を尋ねるわけですが、厳罰に処したいという思いが彼ら自身にあるような事件では被疑者側からの謝罪や示談などに否定的な文脈で被害者に働きかけを行うことがあります。
逆に、被疑者の態度から反省の思いが伝わったりして謝罪や示談などに対して否定的に感じていない場合は「話だけでも聞いてみてはどうか」といった具合で、被疑者やその弁護人にとって良い結果に繋がりやすいような働きかけをしたりもします。
もちろん被害者の意向が第一ではありますが、刑事さんや検事さんがそう言うんだからということで被害者に与える影響は大きいものです。そして、この事件においては後者のような働きかけを行っているようにも思えます。
こればかりは担当者の胸三寸であって違法なことをしているわけでもないので何とも言えませんが、身内であればなるべく穏便に事が運ぶように被害者と会話していることは想像に難くありません。
刑事処分としてはお咎め無しということになっていますが、最終的には依願退職により職を失う結果にもなっており、盗撮の代償は決して小さいものではなかったようです。
パチンコ店で「パチンコしない不審男が」 岐阜・海津市の臨時職員が店員を盗撮か
岐阜県瑞穂市内のパチンコ店で、女性従業員のスカート内を盗撮しようとしたとして、同県海津市の「道の駅」に勤務する臨時職員が3日、警察に逮捕されました。
県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕された、海津市の臨時職員(56)は2月22日、瑞穂市内のパチンコ店で、20代の女性店員のスカート内をデジタルカメラで撮影しようとした疑いがもたれています。
警察によりますと、店にいた客が「パチンコをしない不審な男がいる」と店員に告げ、見張っていましたが、車で逃げたということです。防犯カメラの映像などから容疑者が浮上し、容疑が固まったため、3日に逮捕しました。
警察の調べに対して容疑者は「間違いありません」と容疑を認めているということです。容疑者は、海津市の臨時職員として市内の「道の駅」で駅長の補助をしているということです。同市の松永清彦市長は「誠に遺憾」とし、「心より深くお詫び申し上げます」とコメントしています。
引用元 : メ~テレ 2019年4月3日 19時0分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
道の駅に勤務する職員による盗撮事件とのことですが、逮捕容疑はデジカメでスカート内を盗撮「しようと」した疑いとされているので実際に撮ったかどうか以前の行為で逮捕されているようです。
以下に示すように、岐阜県の迷惑防止条例では盗撮目的でカメラをスカート内に向けるだけでアウトですので「盗撮しようとした」というだけでもそれが確認できれば処罰の対象となります。この事件の場合は第1項第3号に該当するでしょうか。
岐阜県 迷惑防止条例 第3条
- 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接人の身体に触れること。
- 衣服等で覆われている人の下着又は身体(以下「下着等」という。)を見ること。
- 衣服等で覆われている人の下着等の映像を見、又は記録する目的で、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、又は衣服等で覆われている人の下着等に向けること。
- 前3号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、正当な理由がないのに、公共の場所又は公共の乗物において、衣服等を透かして見る方法により衣服等で覆われている人の下着等の映像を見、又は記録する目的で、衣服等を透かして見ることができる写真機等を設置し、又は人に向けてはならない。
何人も、正当な理由がないのに、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所において、当該状態でいる人の姿態の映像を見、又は記録する目的で、写真機等を設置し、又は当該状態でいる人に向けてはならない。
また、発覚した経緯が何とも間抜けな話でして、パチンコ店でパチンコをしていなかったことから店員が不審に感じたのがきっかけのようです。
若年層向けの雑貨店などでおっさんが1人でウロウロしていると思ったら盗撮していたという例もあり、パチンコ店に限った話ではなく場違いな客というのは目立つものです。況してやパチンコ店では不正行為などへの警戒も厳しく、そんな中でパチンコせずにいた被疑者は店員の目には相当不審に映ったことでしょう。
さらに、現場から車で逃げたというのも間抜けな話です。盗難車などの特殊なケースを除くと車の所有者等を調べることなど警察にとっては造作も無いことであって、犯行現場まで車で来るなどというのはアホの極みと言えます。
なお、今回の事件では盗撮しようとしたという行為に留まっているので現に盗撮していた余罪等が出てこなければ厳しくても30万円までの罰金、場合によっては不起訴などの寛大な処分もあり得るのではと思われます。
しかし、発覚から逃走までの経緯があまりにもお粗末ですので、これに懲りて盗撮しようなどという思いは二度と持たない方が良いのではないでしょうか。
個室前にしゃがみ込む男が…花見客の27歳女性を公衆トイレで盗撮しようとした疑い 51歳男逮捕
愛知県半田市で6日、花見に来ていた女性を公園のトイレで盗撮しようとしたとして、51歳の男が逮捕されました。
逮捕されたのは半田市の自称・会社員(51)で、6日午後1時半過ぎ、自宅近くの公園にある公衆トイレで、女性(27)を盗撮する目的で、スマートフォンを個室内に差し込んだ県の迷惑防止条例違反の疑いが持たれています。
女性は夫と花見に来ていて、夫が女子トイレの個室の前でしゃがみ込む容疑者を見つけて声をかけたところ、犯行を認めたため現行犯逮捕しました。
調べに対し、容疑者は「盗撮する目的で女子トイレに入りました」と容疑を認めています。現場の公園は当時、桜の花見客で賑わっていたということです。
引用元 : 東海テレビ 2019年4月6日 19時59分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
季節柄と言える事件でしょうか、花見客で賑わう公園の公衆トイレでの盗撮事件です。ただし実際に撮ったわけではないようで、盗撮する目的でスマホをトイレの個室内に差し込んだというのが逮捕容疑のようです。
先月の名古屋での盗撮事件を取り上げた際にも掲げているように、愛知県の迷惑防止条例では盗撮目的でカメラ等を差し入れるだけでアウトということになりますのでこの事件でも迷惑防止条例違反は成立します。カメラやスマホを向けただけといったような微妙な行為ではなくトイレの個室内に差し込んでいるので勘違いということも無いでしょう。
愛知県 迷惑行為防止条例 第2条の2
- 人の身体に、直接又は衣服その他の身に付ける物(以下「衣服等」という。)の上から触れること。
- 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
- 前号に掲げる行為をする目的で、写真機、ビデオカメラその他の機器(以下「写真機等」という。)を設置し、又は衣服等で覆われている人の身体若しくは下着に向けること。
- 前三号に掲げるもののほか、人に対し、卑わいな言動をすること。
何人も、学校、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用することができる場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物に該当するもの及び次項に定めるものを除く。)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
- 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
- 前号に掲げる行為をする目的で、写真機等を設置し、又は衣服等で覆われている人の身体若しくは下着に向けること。
何人も、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
- 人の姿態をのぞき見し、又は撮影すること。
- 前号に掲げる行為をする目的で、写真機等を設置し、又は人の姿態に向けること。
この事件の現場はトイレですのでスマホを差し込んだというだけでも第3項第2号に該当する行為と考えられます。
現場となったトイレがどういう構造なのかわかりませんが、被害者の夫がトイレ個室前でしゃがみ込む被疑者を見つけたということは出入りが傍から見える簡易トイレのようなものなのでしょうか。個室への出入りが見えないようになっている建物なら夫が見つけたということはわざわざ入ったか覗いたかということになりますが、それはちょっと考えにくいことではあります。
簡易トイレのような個室なら夫でなくとも個室前でしゃがみ込む男を見つけたら不審に感じるところなので誰が見てもバレバレでしょうが、あるいはトイレの建物に入っていった妻の後をつける被疑者を夫が事前に見ていたのかもしれません。
自宅近くの公園にある公衆トイレとのことで、自宅付近で盗撮しようというのは間抜けなようでもありますが、花見客で賑わう時期なら盗撮の機会が多いということを知っていたのかもしれません。そうなると延いては今回に限った話ではなく普段から「狩場」にしていたトイレだったという可能性も考えられます。
余罪については触れられていないので今後の捜査で発覚するかどうかもわかりませんが、今回の事件に限れば盗撮行為自体には至っていないことから不起訴になることもあり得るのではと思われます。