先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
巾着袋に“隠しカメラ”…女性のスカート内を盗撮か 1100本の動画見つかる
大阪市西区の商業施設で、隠しカメラを使って女性のスカートの中を盗撮した疑いで、55歳の男が逮捕されました。
男の家からは、隠し撮りしたとみられる動画が1100本見つかりました。
大阪市西区に住む職業不詳の55歳の男は、5月9日午後6時半過ぎ、大阪市西区にある商業施設で、女性4人のスカートの中を盗撮した迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。
警察によると被害者の知人男性が男が不審な行動をしていることに気づいて咎めたところ、男は隠しカメラを仕掛けた巾着袋を残し、そのまま逃走したということです。警察が男を特定し自宅を家宅捜索したところ、女性のスカートの中を盗撮した動画約1100本が保存されたSDカードが見つかりました。
調べに対し、男は黙秘していますが、警察は多数の余罪があると見て調べています。
引用元 : 関西テレビ 2020年6月22日 14時21分配信
小型カメラを仕込んだ巾着袋を使った盗撮事件です。事件が起きたのは先月ですので後日逮捕という事になるでしょうか。小型カメラが仕込まれた巾着袋を残して現場から逃走したとの事で、「警察が男を特定し」とされている事からその得物や防犯カメラの記録等を調べて被疑者を特定したのではと思われます。
家宅捜索により約1100本もの盗撮動画が保存されたSDカードを発見したようですが、その数からするとおそらく常習的に盗撮していたと見られ、さらに黙秘しているとの事ですので多数の余罪のみならず同種前科もあるような印象を受けます。
一方で、現場で盗撮している事に気付かれ、しかも得物を現場に残して逃げてきているにも関わらず余罪の証拠となり得るSDカードを自宅に置いたままだったのは大きなミスだったのではないでしょうか。うまく逃げ果せたと思って高を括っていたのかもしれませんが、捜査の手が及ぶ事は容易に想像できますのでそんな大量の証拠を何故取っておいたのか理解に苦しむところです。
或いは依存症的な程の常習性があってこれまでの「戦果」を処分する事を惜しんでいたのか、処分するという発想も無かったのか、そうした理由で隠滅していなかったのかもしれません。
これだけの数の盗撮動画となると裏付けが取れる分もそれなりに出てくると思われ、場合によっては常習盗撮と判断される可能性があります。もし被疑者に同種前科があるならその可能性もより濃くなってくるでしょう。
大阪府の迷惑防止条例は罰則が強化されていて通常の盗撮でも1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっていますが、もし常習盗撮となれば懲役の方は上限が倍となります。
大阪府 迷惑防止条例 第15条
- 第六条第一項第二号若しくは第三号、第二項又は第三項の規定に違反して撮影した者
- 第十条第一項の規定に違反した者
常習として前項の違反行為をした者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
盗撮に関する規定は第1項第1号に示される「第六条第一項第二号若しくは第三号、第二項又は第三項の規定」ですので、仮に常習として公判請求される事になれば2年以下の懲役、複数の事件で起訴されれば上限はさらに上がる事になります。
少なくとも常習性は顕著ですので罰金で済んだとしても50万円程度に上る可能性があり、同種前科があれば公判請求される事も見込まれますし、その上で常習盗撮と判断されれば実刑も見えてくるのではないでしょうか。
国交省 河川事務所の副所長(56) スカート内を盗撮した疑いで逮捕 「撮影したと思うが覚えていない」
国交省・北陸地方整備局の幹部が盗撮の疑いで逮捕されました。
県迷惑行為等防止条例違反の疑いで逮捕されたのは、北陸地方整備局 信濃川下流河川事務所の副所長(56)です。容疑者は去年10月中旬、新潟市中央区の新潟駅南口の広場で、ベンチに座る女性のスカートの中をデジタルカメラで盗撮した疑いがもたれています。
6月9日に「バスの車内で女性が盗撮されたようだ」との通報を受け、警察が現場にいた容疑者の所持品を調べたところ、デジタルカメラから別の盗撮した写真が見つかったということです。
警察の調べに対し容疑者は「私が撮影したと思うが当時のことは覚えていない」と容疑を一部否認しています。
今回の逮捕を受け、国交省・北陸地方整備局は「国民の皆さんの信頼を損ねたことは、誠に遺憾であり、深くお詫び申し上げます。今後、事実関係が明らかになり次第、厳正に対処するとともに、職員の綱紀の保持について、より一層指導を徹底し、再発防止に努めてまいります」とコメントしています。
引用元 : 新潟総合テレビ 2020年6月22日 15時1分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
国交省の出先機関に勤める公務員による盗撮事件ですが、盗撮が発覚した際の行為で逮捕されたわけではなくその際の所持品検査により被疑者が持っていたデジカメから見つかった別件の盗撮データに係る行為で逮捕されたようです。「バスの車内で女性が盗撮されたようだ」と6月9日に通報があった件については裏付けができなかったのでしょうか。
今回逮捕された件は8か月も前の事だったようですが、そのデータが本当に盗撮した物なのかどうかその場で判断するのは困難と思われ、おそらくそのままデジカメを任意提出させて調べを進め、裏付けが取れたので今回の逮捕に至ったという事なのかもしれません。
しかし被疑者は「私が撮影したと思うが当時のことは覚えていない」と一部否認しているようです。単にトボけているのか、本当に覚えていないのか、8か月も前の事とはいえまるで覚えていないという事は無いと思いますが…。それとも常習的に盗撮していてどの件の話なのか思い出せないという事なのでしょうか。
6月9日に通報があった盗撮の方についてはデータが無かったなどの事情があるのかもしれませんが、新潟県の迷惑防止条例では盗撮目的でカメラ等を向ける盗撮準備行為がアウトになる規定がありますので通報者や目撃者が盗撮行為の様子を見ていればこれに該当する可能性があります。
その件はその件で調べを進めているのかもしれませんが、特に言及も無いのでもしかすると盗撮されたと思われる被害者が気付かないまま現場から既に立ち去っていて事件化されず、それでデジカメから見つかった今回逮捕の件を進めたのかもしれません。
新潟県 迷惑行為等防止条例 第2条
- 衣服等の上から、又は直接身体に触れる行為で卑わいなもの
- 人が通常衣服等で隠している下着又は身体をのぞき見し、又は無断で撮影すること。ただし、第3項に該当するものを除く。
- 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。ただし、第4項に該当するものを除く。
何人も、集会所、事務所、教室、タクシーその他の特定かつ多数の者が利用するような場所又は乗物にいる人に対して、正当な理由がないのに、不安を覚えさせ、又は羞恥させるような行為であって、前項第2号に掲げるものをしてはならない。
何人も、住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人に対して、正当な理由がないのに、不安を覚えさせ、又は羞恥させるような行為であって、第1項第2号本文に規定するものをしてはならない。
何人も、正当な理由がないのに、前3項の場所又は乗物を使用する人の通常衣服等で隠している下着又は身体を無断で撮影する目的で、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器を向け、又は設置してはならない。
曲がりなりにも国交省の出先機関の副所長という幹部職員ですので前科等は無いと見られ、また、この事で懲戒処分を受けるにしても免職までには至らないのではと思われます。一部否認という点についてはトボけているにしても本当に覚えていないにしてもその内に折れて全面的に認める形になるのではないでしょうか。
その他の余罪の有無も気になるところですが、被害者との示談ができれば不起訴になる見込みはあるでしょうし刑事処分としては厳しくても罰金30万円程度ではないかと思われます。
女性盗撮3年前から繰り返し…満足したら画像は消去 24歳男
駅のエスカレーターで盗撮したとして、兵庫県警姫路署などは24日、県迷惑防止条例違反の疑いで、同県姫路市の派遣社員の男(24)を逮捕した。姫路署などの調べに容疑を認め、「3年前から盗撮を繰り返していた。撮った画像は売ったりせず、満足したら消していた」と話したという。
逮捕容疑は今年2月4日午後7時ごろ、JR姫路駅構内の上りエスカレーターで、20代女性のスカート内にスマートフォンを差し向けた疑い。防犯カメラの映像などから男が浮上した。
引用元 : 神戸新聞 2020年6月24日 17時45分配信
スマホ+エスカレーターという定番のシチュエーションと手口による盗撮事件です。4か月も前の盗撮行為についての後日逮捕となっているようですが、防犯カメラの映像等から被疑者を特定したとされており、そのためか逮捕容疑はスカート内にスマホを差し向けた疑いに留まっているようです。
後日逮捕ですので必然的に当日現場からは立ち去っているという事で、それでも事件化しているのは誰かが被疑者の盗撮行為に気付いたからなのでしょうが、詳しくは触れられていないもののバレてから取り押さえられずに逃走したのか、又は本人も知らないところで目撃者が通報していたのか、そういったところでしょうか。
「撮った画像は売ったりせず、満足したら消していた」との事ですが、後日逮捕でスマホを押収した際に盗撮データが無かった事でこうした供述に繋がったのかもしれません。バレていないと安心してその間過ごしていたとしたら盗撮データは保存されたままでもおかしくないわけで、スマホに盗撮データが無い点を尋ねたらこういう理由で削除していたと話したという事なのではと思われます。
そうなると実際に盗撮したという具体的な証拠が無くなるわけですが、兵庫県の迷惑防止条例でも盗撮目的でスマホを向けるだけで処罰の対象になりますので、目撃証言や防犯カメラの映像でそうした盗撮準備行為が裏付けられ、本人も認めているので盗撮した証拠となるデータが無くてもアウトという事になるでしょう。
兵庫県 迷惑防止条例 第3条の2
- 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
- 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
- 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
- 前項第2号に掲げる行為
何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。
「撮った画像は売ったりせず、満足したら消していた」という事が事実であっても、スカート内の盗撮画像を売る行為や削除しない行為が罪になるわけではありませんので売らずに消していたとしても罪が減じられる事はありません。とはいえ、被疑者は年齢も若く稚拙な手口から見ても前科等は無さそうに思われますのでそこまで厳しい処分にはならないのではないでしょうか。
被害者との示談ができないままだと30万円程度の罰金を科せられる可能性はありますが、謝罪や反省の態度、捜査への協力姿勢等によっては今回は不起訴になるという事もあり得るのではと思われます。