盗撮などの性犯罪での逮捕やその前後に関する情報を配信してまいります。

盗撮で逮捕される日

ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(7月15日~7月21日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

盗撮目的で学校侵入、私立小教諭の男逮捕

帝塚山学園(奈良市)の施設内に盗撮目的で侵入したとして、奈良県警奈良西署は16日、建造物侵入の疑いで、私立小学校教諭の男(31)=奈良市=を逮捕した。「女子高生の着替えるところが見たかった」と容疑を認めている。

逮捕容疑は16日正午ごろ、帝塚山学園の第2グラウンド管理棟に盗撮目的で侵入したとしている。第2グラウンドは帝塚山大の学園前キャンパスの西約500メートルにあり、帝塚山学園が運営する小学校と中学・高校、大学が共用している。

奈良西署によると、管理棟内の女子更衣室で、高校2年の女子生徒3人が着替え中、床上約30センチの高さにある通気口からスマートフォンが差し入れられていることに気付いた。学校側からの110番を受けて駆けつけた同署員が、管理棟敷地内にいた数人のスマートフォンを任意で確認したところ、男のスマホから、着替え中の女子生徒1人を撮影した動画が見つかり緊急逮捕した。
引用元 : 産経新聞 2019年7月16日 21時46分配信

小学校の教員による女子高生の着替え盗撮事件です。なお、被疑者は小学校教諭とされていますが、大学までエスカレーター式で進学できる帝塚山学園の小学校の教員であり、現場は同学園のグラウンド管理棟とのことなので勤務先での犯行ということになります。

また、そのグラウンドは小学校から大学までで共用しているようなので、他の報道によればグラウンドで授業を行う予定は無かったとのことですが、被疑者がグラウンドやその管理棟にいても不審に見られる環境ではなかったのだろうと思われます。もちろんその環境と立場を活かして勤務先の女子高生を狙っていたのでしょう。

発覚のきっかけは更衣室にスマホを差し入れているのが普通にバレたという特に捻りも無い間抜けなものです。

しかし、おそらく学校の校門などに守衛が配置されていて出入りが管理されているのでしょうか、現場で初動捜査した警察により敷地の外に出た人がいないことがわかったことで犯人がまだ敷地内にいると睨んだのでしょう。案の定まだ現場にいた被疑者も得物のスマホを確認され、盗撮動画が出てきたことで御用となりました。

警察が調べたところ事件後、敷地の外に出た人物がいないことがわかり、現場にいた教師などのスマートフォンを確認しました。

その結果、帝塚山学園の小学校の教師(31)が盗撮した動画を持っていて、容疑を認めたため、警察は建造物侵入の疑いで緊急逮捕しました。

容疑者は16日、グラウンドで授業を行う予定はなく、盗撮するために侵入したとみられ「着替えている姿を見たかった」と話しているということです。
引用元 : 関西テレビ 2019年7月17日 1時14分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

建造物侵入の疑いで緊急逮捕とされていますが、これはおそらく被疑者が盗撮の現場だったグラウンド管理棟内で捕まったわけではなく管理棟敷地内だったため現行犯逮捕の要件を満たしていなかったものと思われます。それでも建造物侵入の疑いが強く、急を要するということで緊急逮捕となったのでしょう。

建造物侵入以外の罪については今後さらに調べて立件するものと思われますが、更衣室での着替えを盗撮した動画が出てきていることから迷惑防止条例違反は成立すると考えられ、また、女子高生の着替えを撮影しているので児童ポルノ禁止法違反にもなると考えられます。

奈良県 迷惑防止条例 第12条

何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しくしゆう恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、みだりに次の各号に掲げる行為をしてはならない。
  1. 他人の胸部、臀部、下腹部、大腿部等(以下「胸部等」という。)の身体に触れる行為(着衣その他の身に着ける物(以下「着衣等」という。)の上から触れる行為を含む。)であつて卑わいなもの
  2. 着衣等の全部若しくは一部を着けないでいる他人の姿態若しくは着衣で覆われている他人の下着若しくは胸部等の身体をのぞき見し、又は写真機等を使用して、その映像を記録する行為であつて卑わいなもの
  3. 前二号に掲げるもののほか、卑わいな言動
第2項
何人も、みだりに卑わいな行為であつて次の各号に掲げるものをしてはならない。
  1. 公共の場所及び公共の乗物以外の場所から、写真機等を使用して、透視する方法により、公共の場所にいる他人若しくは公共の乗物に乗つている他人の下着若しくは胸部等の身体を見、又はその映像を記録すること。
  2. 写真機等を使用して、住居、浴場、更衣室、便所その他の人が着衣等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(公共の場所及び公共の乗物を除く。)に当該状態でいる他人の姿態の映像を記録すること。

迷惑防止条例違反については現場が更衣室なので第2項第2号に該当しているでしょうか。ただ、児童ポルノの盗撮製造が確認されれば迷惑防止条例違反は付けずに児童ポルノ禁止法違反だけで再逮捕するかもしれません。

これまでにも同様の盗撮を行うことができた環境ではあったはずなので余罪が出てくる可能性がありますが、そうしたものが無くても30万円以上の罰金は避けられないと思われ、勤務先の女子高生の着替えなどを盗撮していた児童ポルノ製造の余罪が出てくるようだと公判請求も視野に入ってくるのではないでしょうか。

女子中生の着替え盗撮動画データ所持 市職員「20歳のころから女児の裸に興味」

女子中学生の着替えを盗撮した動画データを所持したとして、兵庫県姫路市は18日、環境局の男性職員(45)を停職3カ月の懲戒処分とした。市の聴取に、職員は「20歳のころから女児の裸に興味があった」などと説明しているという。

市によると、職員は児童ポルノに当たる動画データ4点を記録したハードディスクを自宅で所持したとして、今年6月27日に児童買春・ポルノ禁止法違反罪で罰金40万円の略式命令を受けた。4点とも、女子中学生の着替えをペン型の隠しカメラで撮影したものだったという。

昨年7月、当時の自宅マンションのベランダから、隣接する小学校のプールを撮影しているのを同校の教員が発見。通報を受けた姫路署員の捜査で、動画データが発覚したという。
引用元 : 神戸新聞 2019年7月18日 17時4分配信

事件の内容としては盗撮ではなく児童ポルノを所持していたとのことですが、発覚のきっかけが自宅ベランダからの盗撮だったようです。被疑者が小学校のプールを撮影していたところを教員が発見し通報、その際の捜査で児童ポルノ所持が発覚して検挙という流れです。

既に罰金40万円の略式命令を受けていて事件としては終結しています。逮捕されていたかどうかは不明ですが、児童ポルノの所持のみなら逮捕されないケースが多いのでこれも在宅事件だったのかもしれません。

また、所持していた児童ポルノについては「女子中学生の着替えをペン型の隠しカメラで撮影したもの」とされていますが、罪に問われたのは所持のみで製造については触れられていないので自分で撮ったものではないと思われます。ただ、そうだとすると得物のカメラが何故ペン型だとわかるのかという疑問もありますが…。

なお、発覚のきっかけとなっている自宅ベランダからのプール盗撮については、既に児童ポルノ禁止法違反での略式命令が出てもいますので結局迷惑防止条例違反には問われていないと思われますが、児童ポルノの所持が無かったとしたら迷惑防止条例違反が適用できたのかというと難しいところかもしれません。

兵庫県 迷惑防止条例 第3条の2

何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
  2. 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
第2項
何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
  2. 前項第2号に掲げる行為
第3項
何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。

兵庫県の迷惑防止条例で盗撮に関しては上記のように規定されていますが、プールの授業中で水着姿の児童を撮影していたとすると、水着はそれ自体が着衣であって「通常衣服で隠されている身体又は下着」や「衣服の全部又は一部を着けない状態」を撮影したとは解釈されませんので、第1項第1号以外には該当しないと思われます。

残る第1項第1号については、不安を覚えさせるような卑わいな言動だと言えなくも無いとは思いますが、自宅ベランダというある程度距離があると見られる位置から撮影していたのがこれに該当するかと言われるとやや難しいように感じます。また、自宅ベランダから小学校のプールを撮っていたのが公共の場所における行為なのかという問題もあります。

児童ポルノを所持していたことで事態が悪化して刑事事件化したことは間違い無いことですが、そもそもプール盗撮などしていなければ警察が捜査に入ることも無かったので自宅だからセーフなどとは思わない方が良いということでしょう。

似たようなことは自宅や車などでの陰部の露出行為等でも見られます。自宅や車などの中をプライベート空間と思い込んで外にいる人に陰部等を見せる輩がいますが、これもセーフでも何でも無く普通に公然わいせつで捕まります。場合によってはわざとカーテン等を開けておいて気付かない体を装いながら外の人が勝手に覗き込んできたと嘯くケースもありますが、これも通用しません。

「盗撮しすぎてどこで盗撮したか覚えてない」通学中の女子中学生のスカート内盗撮か 31歳男逮捕

名古屋市天白区で、女子中学生のスカートの中を盗撮したとして31歳の男が逮捕されました。

逮捕されたのは、名古屋市天白区の自称自営業(31)で、6月18日、天白区内の歩道で通学途中の女子中学生(14)のスカートの中をスマートフォンのカメラで背後から盗撮した疑いが持たれています。

女子中学生の母親から警察に相談があり、事件が発覚。防犯カメラの映像などから容疑者が浮上したということです。

警察の調べに対し、容疑者は「売るために盗撮をしている。盗撮しすぎて、どこで盗撮したか覚えていない。(盗撮画像は)何万円で売れることもある」などと話しているということです。

容疑者のスマホの中には他にも複数の盗撮画像が見つかっていて、警察は余罪があるとみて捜査しています。
引用元 : 東海テレビ 2019年7月18日 23時40分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

女子中学生のスカート内盗撮事件とのことですが、被疑者の職業や盗撮の手口については特に珍しい点も無い事件です。一方、事件を起こした日から約1か月経って逮捕された後日逮捕のケースという点と売るために盗撮していると供述している点はやや気になるでしょうか。

被害者の母親から警察に相談があったということは、被害者は盗撮されたことに気付いたものの現場では何もできず帰宅後に母親に話し、母親から警察に通報したという流れではないかと思われます。

ただ、現行犯でもないので被疑者がどこの誰なのか当初わかっていなかったと見られるところ、警察は防犯カメラの映像などを調べて被疑者を特定したとのことです。現場は屋外の歩道上だったようですが、今やどこにでも防犯カメラが設置されている世の中ですので足取りを追われて身元が割られ、現場から逃げ果せたと思っていてもある日突然後日逮捕されることはもはや珍しいことではありません。

この事件を見てもわかるように盗撮程度だから警察が手を抜くなんていうことも無く、そういった甘い思い込みを持ちながら盗撮しているといずれ痛い目に遭うことでしょう。

また、この被疑者は売るために盗撮していたと供述しており、盗撮した画像や映像をネット上などで販売していたと思われますが、完全に金銭目当ての販売目的でやっていたということなのか、趣味と実益を兼ねるということで性的嗜好を満足させながら金稼ぎもしていたということなのか、どっちなのかよくわかりません。

いずれにしても常習化すると1回1回の盗撮行為への心理的なハードルは低くなるでしょうし「盗撮しすぎて、どこで盗撮したか覚えていない。」というのはあり得る話です。警察は余罪があるとみて捜査しているとのことですが、誰が見ても余罪があるだろうというのはわかるので、問題はそれらを立件できるかどうかではないでしょうか。

盗撮に限らず一般的に犯罪の動機が金銭目的、営利目的だと印象が悪くなり罰も厳しくなるものですが、盗撮の場合は罰則の上限が知れているので100%こうした目的でやっていたとしてもそれが十分に罰として反映されているかと言われると微妙な面があります。

勿論18歳以上の児童の着替えやトイレなどを盗撮した児童ポルノを販売したとなれば適用される法律が違うので罰に反映される場合もありますが、少なくともこの事件についてはスカート内の下着等を盗撮したというものなので児童ポルノでもわいせつ電磁的記録でもなく、迷惑防止条例の範疇でしか裁けないでしょう。

金銭目的が100%だったとしても0%だったとしても、この事件では被疑者に前科等があれば公判請求の可能性があり、初犯なら30万円から50万円程度の罰金という普通の盗撮事件と変わらないような処分になるのではないでしょうか。

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