先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
水着姿の女性盗撮 警察官逮捕
海水浴場で女性の水着姿をボールペン型のビデオカメラで盗撮したとして、大阪府警の巡査部長が逮捕されました。
大阪府迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されたのは大阪府警西淀川警察署・地域課の巡査部長(46)です。警察によりますと、容疑者は15日午後2時半ごろ貝塚市にある二色浜海水浴場で胸ポケットに入れたボールペン型のビデオカメラで女性(20代)の水着姿を盗撮した疑いがもたれています。
監視員の男性が長袖シャツにジーパン姿の容疑者を見て、不審に思い声をかけたところ、逃げようとしたために右手をつかんで取り押さえ、駆けつけた警察官が現行犯逮捕したということです。
容疑者は15日は休みで、「特定の女性の水着姿を撮影していたことに間違いありません」と容疑を認めているということです。
引用元 : MBS 2018年7月16日 12時10分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
警察官による盗撮事件ですが、トイレやスカート内などの盗撮ではなく海水浴場で水着姿の女性を盗撮したとのことです。大阪府の迷惑防止条例のどの条文に引っかかったという解釈なのでしょうか。
大阪府では「衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を撮影すること」が禁止されていますが、水着姿を撮影することはこれに該当するとは解釈されません。また、水着姿は水着が衣服なので「衣服の全部又は一部を着けない状態」という解釈もされない運用になっています。
大阪府 迷惑防止条例 第6条
- 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物において、衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること。
- 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影すること。
- みだりに、写真機等を使用して透かして見る方法により、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている人の身体又は下着の映像を見、又は撮影すること。
- 前三号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をすること。
何人も、みだりに、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所における当該状態にある人の姿態を撮影してはならない。
何人も、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、教室、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が出入りし、又は利用するような場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物を除く。)における衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影してはならない。
何人も、第一項第二号若しくは第三号又は前二項の規定による撮影の目的で、人に写真機等を向け、又は設置してはならない。
そうなるとボールペン型のカモフラージュカメラを使っていたことをもって「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動」と判断した第1項第4号の違反か、あるいは実はボールペン型のカメラに赤外線等による透視機能があり、それにより第1項第3号の違反となったか、といったところでしょうか。
なお、発覚に至ったきっかけは被疑者の服装と挙動だったようです。
連日猛暑が続く中、ビーチで長袖シャツにジーパン姿というのは確かに異様です。一瞬一瞬を切り取って見ればそういう人もいるかもしれないということでそんなにおかしな様子には見えないかもしれませんが、目を光らせて警戒している監視員からしたら異様丸出しでしょう。
男性が海パン姿でボールペンを胸に差すのは難しいですし、そもそも海水浴場+ボールペンというのが不自然です。被疑者にとって長袖シャツにジーパン姿というのは苦肉の策だったのかもしれませんが、ボールペン型カメラという得物ありきでの盗撮を考えた結果、状況の不自然さを軽視してしまったのかもしれません。
もっとも、トイレやスカート内などの盗撮と比較すると被害の程度が小さいことは否めません。おそらく依願退職と引き換えに不起訴にするという辺りで決着させるのではないでしょうか。
追記 (2018年9月28日)
海水浴場で女性を盗撮したとして、大阪府迷惑防止条例違反容疑で逮捕された府警西淀川署の元巡査部長(46)について、大阪地検は26日、不起訴処分とした。
同地検は詳しい内容や理由を明らかにしていない。
巡査部長は7月15日、同府貝塚市の海水浴場で、水着姿の20代女性を隠し持ったペン型のカメラで盗撮したとして逮捕され、その後辞職していた。
引用元 : 時事通信 2018年9月26日 18時52分配信
刑事処分としては予想していた通り不起訴となったようです。
理由は明らかにされていませんが、スカート内や着替え、トイレといったような場面ではなく水着姿の盗撮という微妙な内容だったことや、逮捕後に辞職していることが影響しているのではないでしょうか。
女の子に体触らせる 公立小教諭を容疑で逮捕 熊本県警 /熊本
熊本県警水俣署は17日、同県水俣市白浜町、公立小教諭(46)を強制わいせつ容疑で逮捕した。「弁護士と相談するまで何も話しません」と話しているという。
逮捕容疑は2015年4月ごろ、県南の建物内で当時13歳未満の女の子に自分の体を触らせるなどしたとしている。
容疑者は先月23日夜、同市内の飲食店の男女共同トイレで、個室の仕切り板の下の隙間(すきま)からスマートフォンを差し込んで女性を動画盗撮したとして、県迷惑行為等防止条例違反容疑で逮捕された。
同県教委学校人事課は「深くおわび申し上げる」とのコメントを出した。
引用元 : 毎日新聞 2018年7月18日配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
この記事自体は教員による強制わいせつ事件を報じたものですが、被疑者は先月に別の盗撮事件を起こしたことで逮捕されていたようです。
盗撮事件の方はトイレの仕切り板の下からスマホを差し入れたという稚拙な手口による迷惑防止条例違反ですが、そちらでは釈放されていてその後強制わいせつの疑いで改めて逮捕されています。
逮捕容疑は2015年4月ごろ、建物内で女児に体の一部を触らせるなど、わいせつな行為をした疑い。
容疑者は6月、同市の飲食店のトイレで、個室にいた女性(35)をスマートフォンで盗撮した疑いで逮捕され、その後釈放されていた。
引用元 : 日刊スポーツ 2018年7月17日 13時37分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
ただ、記事では単に釈放と表現されているところ、強制わいせつ事件との関連や温度感がわからず、これはどういう状況だったのでしょうか。盗撮としては処分保留で勾留期限前に釈放していたのか、あるいは期限いっぱいまで勾留を続けた上で釈放したのか、もしくは別件の疑いが出たため一瞬だけ釈放して強制わいせつ事件での逮捕状を即執行したということも考えられます。
また、盗撮の後に新たな強制わいせつに及んだわけではなく、今回の逮捕は約3年前の強制わいせつ行為によるものなのでどういった経緯で発覚したものなのかやや気になります。
「女児に体の一部を触らせる」と表現されている点はおそらく被害者女児に被疑者の陰部を触らせたという意味であろうと思われます。時系列としては盗撮事件の調べが先にあるはずなのでその際に押収したスマホ等に、陰部を触らせる強制わいせつの様子を撮影した動画が記録されていたといったようなきっかけなのでしょうか。
それであれば児童ポルノの製造も成立しますので、児童ポルノ禁止法違反の疑いが逮捕容疑に含まれていないということで推測としては根拠がやや弱く感じられます。
当時から被害届が出ていた強制わいせつ事件の被疑者と人着が似ていたので発覚といったことも考えられ、「弁護士と相談するまで何も話しません」という黙秘の仕方を見ても、映像などの決定的な証拠が無いと見て黙秘で立件を回避できる可能性を見込んでいるのかもしれません。
盗撮を含め3年経過すると公訴時効を迎えて刑事事件にはならなくなる罪は多くありますが、強制わいせつではそうはいきません。何年も前の行為について逮捕されることが珍しくないことは知っておくべきでしょう。
就職面接までの時間つぶしに寄った店舗で28歳女性のスカートの中を盗撮か 男逮捕 三重
20日午後、三重県四日市市内のショッピングセンターで女性のスカートの中をスマートフォンで盗撮したとして41歳の無職の男が逮捕されました。
逮捕されたのは、伊勢市辻久留の無職容疑者(41)です。
容疑者は20日午後1時半前、四日市市内のショッピングセンターのエスカレーターの上りで女性(28)のスカートの中を背後からスマホで盗撮したとして現行犯逮捕されました。
調べに対し容疑者は容疑を認めていますが、「撮った動画は消してしまいました」と証拠を隠滅したということです。
警察によりますと、容疑者は犯行の30分後の午後2時から企業の就職面接を受ける予定で、時間つぶしのためにショッピングセンターを訪れたと話しているということです。
引用元 : 東海テレビ 2018年7月20日 22時52分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
被疑者はいわゆる就職氷河期世代の男性でしょうか、このとき無職というのがそのあおりを受けた結果なのかわかりませんが、この後に就職面接を受ける予定だったというのはある種の悲哀を感じさせます。
もちろん今回事件を起こしたことで就職面接が受けられなくなったことは自業自得ですので同情の余地はありません。エスカレーター+スマホというゴールデンコンビが織りなす凡庸で稚拙な手口からもなるべくしてなった結果と言えるのかもしれません。
現行犯逮捕とされているのでおそらく現場で取り押さえられたものと思われますが、撮った動画を削除して証拠を隠滅していたようなのでそれを行う余地はあったと見られます。
現場で即座に押さえ込まれるなどしていたらそんな余裕は無かったでしょうが、盗撮してから立ち去ろうとするなど間があったとか、気付かれて逃げているときに削除することができたとか、そうした多少の余裕はあったのでしょう。
盗撮したことは認めており、削除したデータも復元されるでしょうから証拠隠滅を図ったという印象の悪さだけが残る損なやり方と言えます。
初犯ではない場合はこの限りではありませんが、特筆すべき悪質な点も見られないようなのでせいぜい罰金30万円程度の事件でしょうか。ただ、40代の無職男性、自己の資力で示談や罰金納付が可能なのだろうかという、冒頭に感じたことにも通じる心配が出てきてしまいます。