盗撮などの性犯罪での逮捕やその前後に関する情報を配信してまいります。

盗撮で逮捕される日

ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(7月22日~7月28日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

巡査がスカート盗撮 逮捕せず書類送検 基準理由に発表せず 山口県警

女性のスカート内を盗撮したなどとして、山口県警が県警本部の30代男性巡査を県迷惑行為防止条例違反(盗撮)と軽犯罪法違反(のぞき見)の疑いで山口地検に書類送検していたことが分かった。起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。県警は巡査を減給10分の1(6カ月)の懲戒処分にした。送検と処分は9日付で、巡査は同日依願退職した。

県警監察官室などによると、容疑は5月中旬、山口県防府市内の商業施設にあるゲームコーナーで、女性のスカート内をスマートフォンで盗撮したとしている。他の客の目撃情報や防犯カメラなどから巡査を特定した。任意の事情聴取に「下着に興味があり、数年前から盗撮をしていた」と認めたという。

また、巡査のスマートフォンを調べたところ、昨年8月と今年4月にも他人の住宅内を外から撮影するなどした疑いが強まり、今回を含め計3件を山口地検に書類送検した。

県警は逮捕しなかった理由を「逃走のおそれがない」などと説明。私的行為の場合の公表基準を「停職以上」とする警察庁指針を理由に、処分を発表していなかった。監察官室は「警察官としてあるまじき行為で誠に遺憾。再発防止に向け、指導を徹底したい」と話した。
引用元 : 毎日新聞 2019年7月23日 18時12分配信

警察官によるスカート内と住宅内の盗撮事件です。見出しと本文の文脈では逮捕も公表もしていなかったことに対して疑問視しているようですが、県警はそれぞれについて逃走のおそれが無い、公表は停職以上の懲戒処分の場合として説明しています。

公表については、これまでの警察官による盗撮事件の例を見ると少なくとも氏名が公表されていないケースは珍しくなく、事件自体の発表も記者が取材で突っ込んでやっと出てきているケースを目にします。

氏名を公表するかどうかはともかく、被疑者が警察官以外ならそうしているように本来は逮捕即発表とすべきではないでしょうか。公表基準が「停職以上」という警察庁指針についても、通常は懲戒処分が決定するまでに時間を要するものですので、事件がある程度片付いて話題としてホットじゃなくなってからこそっと発表して済ませるためのものに見えてしまいます。

逮捕の有無については現場で取り押さえられたわけではないことが影響しているのかもしれません。現場で被害者や第三者に取り押さえられればその場で現行犯逮捕、その後に警察官だということが分かっても即釈放ということにはなかなかしづらいですが、この事件のように捜査を進めていったら身内の警察官が盗撮犯だったことが分かったという流れなら内々で処理することができます。

一方で、迷惑防止条例違反は当然としてわざわざ軽犯罪法違反も付けるなど、被疑者に対してはそれなりに厳しく対応しているように見られます。送検時の処分意見が「厳重処分」になるのは普通のことなのでそれを強調するのは作為も感じられますが、軽犯罪法違反は罰則があって無いようなものなので迷惑防止条例違反があるならわざわざ追加しなくて良さそうなところこれも2件送検しています。

軽犯罪法 第1条

左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
第23号
正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

この程度の盗撮事件であれば逮捕せずに在宅事件とすることは少なくないのでそこまで身内擁護の意図は見られません。被疑者の警察官個人に対してはそれなりに厳しい姿勢で臨み、一方で組織を守るための手は尽くしていたように思えます。

盗撮の被疑者特定までの経緯を見た感じでは被害届があって捜査が始まっていると思われますので被害者が誰なのかは分かっていると思われます。今後は被害者と示談できるかどうかが肝になりますが、盗撮事件としては特筆すべき点が無いと見られる内容なので示談できれば不起訴、できなければ30万円の罰金というお定まりのコースではないでしょうか。

“盗撮男”の初公判「刺激的だった」

コンビニエンスストアのトイレにカメラを仕掛けて利用客を盗撮したとされる28歳の男の初公判が開かれ、男は「間違いありません」と起訴内容を認めました。

初公判を迎えたのは、福岡市西区に住む無職・被告(28)です。

起訴状によりますと、被告は去年8月からの7か月間、福岡市内の3つのコンビニのトイレに盗撮を目的にカメラを設置したとされ、福岡県の迷惑行為防止条例違反などの罪に問われています。

福岡地裁で開かれた初公判で、被告は「間違いありません」と述べ、起訴内容を全面的に認めました。

一方、検察側は冒頭陳述で「証拠が残らないようカメラを遠隔操作しながら携帯電話に50回ほど動画や写真を保存した」と主張。「アダルトビデオより刺激的だった」と動機についての被告の供述を説明しました。
引用元 : RKB毎日放送 2019年7月25日 13時32分配信
※被告人の氏名部分を修正しております。

先月の記事で取り上げていたコンビニのトイレ盗撮事件の初公判を報じたニュースです。先々月か先月に起訴されていてこのタイミングで初公判ということは、先の記事で捜査を終結したと述べられているように余罪での再逮捕や追起訴は無くそのまま初公判を迎えたものと思われます。

罰金で済まされず公判請求された理由として、被告人に前科がある可能性と無線LANでスマホに映像を飛ばす機能があるスパイカメラを使うという悪質な手口、約5.5万件という盗撮データが見つかっていたことから窺われる常習性を挙げていましたが、被告人の前科についてはこの記事も含めてその点に触れた報道や過去の報道が見つかっておらず、もしかすると初犯なのかもしれません。

そうなると悪質性や常習性が重く見られて公判請求の運びになったのでしょうか。世間一般の目線としては特に常習性が著しいと言えますが、それでも初犯なら罰金で終わってもおかしくないように思えなくはありません。しかし、前科があったと断定できる材料も無いのでそうした点が重視されたのだろうと考えるしかありません。

一方、この記事までに新たに判明した事実も特に無いので量刑の予想としても今のところ特に変わりません。公判請求までして罰金刑ということはおそらく無いでしょうからやはり6月程度の懲役と2年から3年の執行猶予となるのではないでしょうか。

児童の裸撮影疑い 教諭を再逮捕

盗撮する目的で帝塚山学園の建物に侵入した疑いで逮捕された帝塚山小学校の教諭が、去年、学園内の更衣室で児童の裸の動画を撮影したとして、児童ポルノ禁止法違反の疑いで再逮捕されました。

再逮捕されたのは、帝塚山小学校の教諭(31)です。

教諭は、去年5月から9月ごろまでの間、奈良市にある帝塚山学園の更衣室にカメラ付きのスマートフォンを設置し、着替えをしていた当時18歳未満の児童2人の裸の動画を撮影したとして、児童ポルノ禁止法違反の疑いが持たれています。

今月16日、盗撮する目的で学園のグラウンドの管理棟に入ったとして建造物侵入の疑いで逮捕されましたが、その後、押収したスマートフォンから児童を撮影した動画が見つかったということです。

調べに対し「女の子の裸が見たかった」と話し、容疑を認めているということで、警察は余罪があるとみて調べています。
引用元 : NHK 2019年7月26日 17時40分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

先週の記事で取り上げていた小学校教員による女子高生の着替え盗撮事件の続報です。更衣室で女子高生の着替えを盗撮していたとのことだったので児童ポルノの製造に当たる可能性を指摘していた通り、案の定児童ポルノ禁止法違反での再逮捕となりました。教員が勤務先の学校で盗撮した事件ではこうしたパターンが目立ちます。

ただ、最初に逮捕された建造物侵入の際にも女子高生の着替えを盗撮していたようですがその件での再逮捕ではなく、昨年5月から9月頃までに撮影されたという別の件のようです。

更衣室で女子高生の着替えを盗撮したというのは今回と同様のようですが、今回は更衣室の通気口からスマホを差し入れて盗撮したというのに対し、再逮捕された過去の盗撮では更衣室内にスマホを設置して盗撮したとのことです。スマホを手で持って盗撮したのか、設置して盗撮したのかは映像を見れば分かるのでそうした違いがあったのでしょう。

「その後、押収したスマートフォンから児童を撮影した動画が見つかった」とされているところ、その見つかった動画について再逮捕されたのかどうかはハッキリしません。昨年盗撮した動画をスマホに残したままだったという単純で間抜けな話かもしれませんし、建造物侵入の当日に盗撮した動画がスマホから見つかっていたものの再逮捕したのは家宅捜索で自宅のPC等から見つかった昨年の動画について、ということも考えられます。

一方、児童ポルノの盗撮製造が確認されれば迷惑防止条例違反は付けずに児童ポルノ禁止法違反だけで再逮捕するかもと述べていたところ、その通りになるのではないでしょうか。先の記事で触れているように建造物侵入と共に盗撮した件については迷惑防止条例違反が成立していると考えられますが、おそらく追加されるのは児童ポルノ禁止法違反だけになると思われます。

奈良県 迷惑防止条例 第12条

何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しくしゆう恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、みだりに次の各号に掲げる行為をしてはならない。
  1. 他人の胸部、臀部、下腹部、大腿部等(以下「胸部等」という。)の身体に触れる行為(着衣その他の身に着ける物(以下「着衣等」という。)の上から触れる行為を含む。)であつて卑わいなもの
  2. 着衣等の全部若しくは一部を着けないでいる他人の姿態若しくは着衣で覆われている他人の下着若しくは胸部等の身体をのぞき見し、又は写真機等を使用して、その映像を記録する行為であつて卑わいなもの
  3. 前二号に掲げるもののほか、卑わいな言動
第2項
何人も、みだりに卑わいな行為であつて次の各号に掲げるものをしてはならない。
  1. 公共の場所及び公共の乗物以外の場所から、写真機等を使用して、透視する方法により、公共の場所にいる他人若しくは公共の乗物に乗つている他人の下着若しくは胸部等の身体を見、又はその映像を記録すること。
  2. 写真機等を使用して、住居、浴場、更衣室、便所その他の人が着衣等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(公共の場所及び公共の乗物を除く。)に当該状態でいる他人の姿態の映像を記録すること。

ある程度予想はできていましたが、児童ポルノ禁止法違反が加わったことで俄然厳しくなってくるでしょう。少なくとも昨年5月~9月と今月とで複数回にわたって着替え盗撮をしていますのでさらなる余罪が疑われることは必至で、今後の捜査で他の児童ポルノの盗撮製造が裏付けられればより罰が重くなってきます。

今回再逮捕された分だけでも罰金30万円は下らないと思われ、あと1,2件追加されても初犯なら公判請求には至らないでしょうが、やはり罰金としては50万円程度は覚悟しておいた方が良いのではないでしょうか。

追記 (2019年12月28日)

自らが勤める学校の更衣室で女子児童らの着替えを盗撮したなどの罪に問われた元教諭に対して、奈良地裁はきょう執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。

判決を受けたのは帝塚山小学校の元教諭(32)です。起訴状によりますと、被告は去年9月と今年7月に自らが勤めていた学校の更衣室にスマートフォンを設置し、3人の女子児童や生徒の着替えを盗撮したとして、建造物侵入や児童ポルノ法違反の罪などに問われていました。

奈良地裁の中山登裁判官は「児童の健全育成に向けて導くべき立場の被告が児童らの下着姿を盗撮したことは悪質性が高いが、一貫して犯行を認めている」などとして、懲役2年6カ月・執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。
引用元 : 奈良テレビ放送 2019年12月23日 20時13分配信
※被告人の氏名部分を修正しております。

児童ポルノの盗撮製造ではありますが初犯と思われましたので罰金で済む事件かと思っていましたが、どうやらそれでは済まされずに公判請求されていたようで判決が出ています。

執行猶予が付いているということは求刑でもおそらく懲役2年6月だったのだろうと思われ、児童ポルノの盗撮製造が相当厳しく見られていることがわかります。おそらく初犯だからこそ執行猶予は付いていますが、求刑で懲役2年6月となると罰金で済むかどうかを検討できるような事件ではなくなっていると言えます。

これで被害者が成人であればせいぜい迷惑防止条例違反に留まり、盗撮の現場となる場所や県によっては迷惑防止条例違反の適用すらできないケースがあることを考えると児童の着替えやトイレなどの盗撮との違いが如実に表れた結果となっています。

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