先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
【長崎】男子中学生を盗撮 壱岐市立小の職員を逮捕
壱岐市立小学校の24歳の職員が中学生を盗撮した疑いで逮捕、送検されました。
箱崎小学校の事務職員(24)は25日午前9時45分ごろ、唐津から壱岐に向かう九州郵船のフェリーの男子トイレの個室の上からスマートフォンの動画機能を使って中の男子中学生(15)を盗撮した疑いで逮捕され、26日午後3時ごろ送検されました。
事件は生徒が盗撮に気付き、一緒に乗っていた母親からフェリーの職員を通じて110番通報しました。
容疑者は印通寺港に到着後、壱岐署の警察官に現行犯逮捕され「間違いありません」と容疑を認めています。学校によりますと職員になって3年目で勤務態度はまじめでした。立花校長は「指導が行き届かなかったことを反省している。再発防止に向けて指導を徹底していく」としています。
引用元 : NCC長崎文化放送 2021年7月26日 19時2分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
小学校の事務職員によるトイレ盗撮事件です。現場がフェリーだったというのはやや特殊ですが、トイレの個室の上からスマホをかざして撮っていたようでトイレ盗撮の手口としてはありがちな内容です。
被害者が男子中学生との事ですが、男子トイレと女子トイレで分かれているようですので女性が狙いだったという訳ではなさそうです。この男子中学生を狙っていたのか、或いは他の男性でも良かったのかについては何とも言えませんが、男子中学生がトイレへ行くのを見張る事はできたでしょうから最初からそういう狙いだったのかもしれません。
中学生に対するトイレ盗撮ですので迷惑防止条例違反ではなく児童ポルノの盗撮製造という可能性もありますが、逮捕容疑が記事に記載されておらずどちらでの逮捕だったのかわかりません。唐津から壱岐との事ですので航路上も長崎県の管轄と思われますが、長崎県の迷惑防止条例でもトイレ盗撮は勿論処罰の対象になっています。
長崎県 迷惑行為等防止条例 第3条
- 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接人の身体に触れること。
- 衣服等で覆われている人の下着又は身体をのぞき見し、又は撮影すること。
- 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗っている人に対し、みだりに、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を使用して、衣服等を透かして見る方法により、衣服等で覆われている人の下着又は身体の映像を見、又は撮影してはならない。
何人も、みだりに、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所に当該状態でいる人の姿態をのぞき見し、又は撮影してはならない。
何人も、みだりに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、教室、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が出入りし、又は利用するような場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物を除く。)における衣服等で覆われている人の下着又は身体をのぞき見し、又は撮影してはならない。
何人も、第1項第2号又は前3項の撮影の目的で、人に写真機等を向け、又は設置してはならない。
現場がトイレですので第3項に該当していると考えられます。また、 フェリーはおそらく公共の乗物と解釈されると思われますので第3項でなくとも第1項に該当すると考えられますし、仮に撮れていなかったとしても盗撮準備行為として第5項に該当する事になるでしょう。
被害者の男子中学生がその場で気付いて通報に繋がったようですが、フェリーでは逃げ場が無いので港に着き次第現行犯逮捕となったようです。最終的に迷惑防止条例違反となるか児童ポルノ禁止法違反となるかによって違ってくると思いますが、初犯なら罰金としても30万円から50万円といったところではないでしょうか。
病院トイレにカメラを仕かけて盗撮…女性が気づき通報、逮捕されたのは病院理事の32歳の男
26日午後、北見市内の病院のトイレに小型カメラを仕かけ、女性の姿を盗撮したとして、この病院の理事の男が逮捕されました。
北海道迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されたのは、北見市幸町の32歳の病院理事の男です。この男は26日午後4時すぎ、理事をしている北見市内の病院のトイレに小型カメラを仕かけ、トイレを使用していた40代の女性の姿を盗撮した疑いが持たれています。
警察によりますと、被害者の女性がカメラに気づき、警察に通報。捜査の結果、病院内で不審な行動をしていた理事の男が浮上し、逮捕に至りました。
取り調べに対して32歳の病院理事の男は「間違いありません」などと話し、容疑を認めているということです。警察は、男の余罪も含めて引き続き捜査しています。この男が理事をしていたとみられる病院は「何も話せないし、話す必要もない。被害者には適切に対応する」と話しています。
引用元 : HBC北海道放送 2021年7月28日 9時21分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
病院でのトイレ盗撮事件ですが、被疑者はこの病院の理事との事です。トイレに小型カメラを仕掛けて盗撮していたら被害者がカメラに気付いて事件発覚というありがちな流れですが、病院理事が被疑者との事で若干様子が違ってきているように思えます。
病院側の「何も話せないし、話す必要もない」というコメントからは捜査に協力的な姿勢は窺えません。病院内で盗撮して逮捕されたといえども病院理事というお偉いさんには逆らえず理事の不利になる可能性があるような事は一切話せないという事なのかもしれません。
被害者には適切に対応すると話しているようですが、もしかすると病院や理事会から被害者への働きかけなどをして示談となる事も十分あり得るのではと思われます。おそらく資力は十分にあるでしょうし示談が成立すれば不起訴も見込めて前科も付かないとなれば示談はかなり強く推し進められそうです。
もし示談ができないままならトイレ盗撮では流石に不起訴になる事は無いと思われ50万円前後の罰金となる可能性があるのではと思われますが、何となくこの事件の被疑者はお金と権力に守られてお咎め無しで終わるような気がしてしまいます。
眼鏡型カメラで風俗店員とのわいせつ行為を盗撮、ネットで動画販売
眼鏡型のカメラで女性を盗撮し、動画をインターネットで販売したとして、警視庁は30日、東京都台東区小島、会社員の男(42)をわいせつ電磁的記録等送信頒布容疑で再逮捕したと発表した。再逮捕は29日。
発表によると、男は6月28日と今月14日、派遣型風俗店員の女性2人とのわいせつな行為を撮影した動画を販売サイト「FC2コンテンツマーケット」に公開し、不特定多数が閲覧できる状態にした疑い。容疑を認めている。
女性の1人から「眼鏡型のカメラで盗撮された」と相談を受け、警視庁は今月18日、男を都迷惑防止条例違反(盗撮)容疑で逮捕していた。
警視庁は男が3月以降、風俗店員の女性33人を盗撮した動画を同じサイトで販売し、約100万円を得ていたとみている。
引用元 : 読売新聞 2021年7月30日 12時18分配信
ここのところ風俗嬢を盗撮して捕まるという事件が何件かありましたが、これはその様子を盗撮した上で動画をネットで販売していたという事件です。経緯としてはまず盗撮に気付いた風俗嬢の相談から盗撮での逮捕となり、その後の捜査で盗撮動画を販売していた事が発覚したものと思われます。
尚、再逮捕容疑はわいせつ電磁的記録等送信頒布とされていますので、陰部にモザイク等の処理を施さないいわゆる無修正で販売していたと見られます。記事にあるFC2コンテンツマーケットは運営母体のFC2が米国企業ではありますがFC2が主体として動画販売している訳ではなく、各ユーザーが動画をアップロードして販売する形態なので販売者が日本国内にいれば無修正は当然アウトになります。
FC2は海外だから大丈夫という神話に高を括って無修正で販売していたのでしょうが、盗撮より重い罪が加わる事になってしまいました。風俗嬢33人を盗撮した動画を販売していたとされていますので被害者が特定されて被害届や告訴が出ればリベンジポルノ防止法違反まで追加されてくる可能性があります。
わいせつ物頒布等は罰金刑の規定はありますが迷惑防止条例違反と比べると非常に高額です。懲役刑の部分も迷惑防止条例違反より重く、今回は迷惑防止条例違反でも逮捕されているのであわせて起訴されるなら罰金で済まされる見込みはあまり無いかもしれません。
刑法 第175条 第1項
記事によると盗撮動画の販売で約100万円を得ていたとされており、もし今回罰金で済まされるとしてもその売上が無くなる程の額になってしまう事はあり得ます。罰金にならず公判請求されるのであれば懲役1年に執行猶予3年程度になるのではないでしょうか。