盗撮などの性犯罪での逮捕やその前後に関する情報を配信してまいります。

盗撮で逮捕される日

ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(8月2日~8月8日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

勤務先の中学校の女子トイレに盗撮目的でカメラを設置か 教員の男を逮捕 愛知県豊田市

愛知県豊田市の中学校の女子トイレに、盗撮目的で撮影状態にしたカメラを設置したとして、この学校に勤務する教員の男が逮捕されました。

警察などによりますと、逮捕された豊田市立の中学校に勤める教員の男(25)は、7月12日の午前5時30分すぎから午後0時すぎまでの間、盗撮する目的で勤務先の学校の女子トイレに撮影状態にした小型カメラを設置した、県迷惑行為防止条例違反の疑いがもたれています。

調べに対し教員の男は、容疑を認めています。女子トイレにカメラが落ちているのを女子生徒が発見し、事件が発覚したということです。

豊田市教育委員会は「事実を重く受け止め、再発防止に努める」などとしています。
引用元 : メ~テレ 2021年8月3日 15時19分配信

中学校の教員によるトイレ盗撮事件です。ただし逮捕容疑は「盗撮目的で撮影状態にしたカメラを設置した」との事なのでこの時点では実際に盗撮に及んでいた事ではなく盗撮目的でカメラを仕掛けた盗撮準備行為の疑いのようです。

勤務先の中学校の女子トイレに小型カメラを設置してたとされていますが、午前5時30分すぎからとの事で生徒や教職員が来る前に設置していたと思われます。学校の鍵を預けられていたのかもしれませんが、相当早く起きて準備し設置していた事が窺えます。ところが些細なやらかしがきっかけで発覚してしまいました。

女子生徒がトイレにカメラが落ちているのを発見したとの事なので、恐らくテープ等で固定して仕掛けていたカメラが落ちてしまったのでしょうか。午後0時すぎまでという事は少なくとも午前中はバレていなかったと思われますのでカメラが落ちなければそのままバレずに回収できていたのかもしれません。

一方、午前中はバレていなかったように思われるという事はそれまでの間は盗撮できていた可能性もあり、中学生が被害者のトイレ盗撮となると即ち児童ポルノの盗撮製造の疑いが出てきます。この時点では容疑が明らかな盗撮準備行為で逮捕していたのかもしれませんが、カメラなどを調べてトイレ盗撮のデータが見つかれば児童ポルノ禁止法違反が加えられる可能性があります。

因みに愛知県の迷惑防止条例でも盗撮目的でトイレにカメラ等を仕掛けるだけでアウトになる規定がしっかりあります。

愛知県 迷惑行為防止条例 第2条の2

何人も、公共の場所又は公共の乗物(第三項に定めるものを除く。)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 人の身体に、直接又は衣服その他の身に付ける物(以下「衣服等」という。)の上から触れること。
  2. 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
  3. 前号に掲げる行為をする目的で、写真機、ビデオカメラその他の機器(以下「写真機等」という。)を設置し、又は衣服等で覆われている人の身体若しくは下着に向けること。
  4. 前三号に掲げるもののほか、人に対し、卑わいな言動をすること。
第2項
何人も、学校、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用することができる場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物に該当するもの及び次項に定めるものを除く。)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
  2. 前号に掲げる行為をする目的で、写真機等を設置し、又は衣服等で覆われている人の身体若しくは下着に向けること。
第3項
何人も、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 人の姿態をのぞき見し、又は撮影すること。
  2. 前号に掲げる行為をする目的で、写真機等を設置し、又は人の姿態に向けること。

トイレに関しては公共の場所に限られるなどといった事もないのでこの事件では第3項第2号に該当していると考えられます。

盗撮準備行為だけで済むか、盗撮に及んでいて児童ポルノの盗撮製造に発展するかによって大きく変わってきそうですが、前者なら罰金30万円まで、後者なら罰金50万円以上か余罪捜査の行方によっては罰金では済まされない事もあり得るのではと思われます。

女子生徒100人盗撮、元高校教諭「仕事がいっぱいいっぱいで発散した」

女子生徒のスカート内を盗撮したとして山梨県の県迷惑防止条例違反(盗撮)に問われた県立高校の元期間採用教諭の男(30)の初公判が2日、甲府地裁都留支部(久屋愛理裁判官)であり、男は起訴事実を認めた。久屋裁判官は即決裁判を適用し、懲役1年、執行猶予3年(求刑・懲役1年)の有罪判決を言い渡した。

判決によると、男は昨年9月~今年4月、同校の校舎内で4人の女子生徒のスカート内をスマートフォンで盗撮した。

男は弁護側や裁判官からの被告人質問で、「仕事がいっぱいいっぱいで人として最低な行為に走って(ストレスを)発散してしまった」と動機を説明。2018年から100人程度の女子生徒を盗撮していたと認めた。

久屋裁判官は「多くの人の信頼を裏切る悪質な行為で責任は重大だ」と指摘。一部の生徒と示談が成立していることなどから執行猶予付きの判決とした。
引用元 : 読売新聞 2021年8月3日 17時24分配信

高校の教員による女子生徒のスカート内盗撮事件ですが、罰金では済まずに公判請求されていたようです。因みに裁判は即決裁判が適用されていて初公判で判決まで出ており、懲役1年に執行猶予3年が言い渡されています。

初犯であれば罰金になりそうにも思われる事件内容ですが、勤務先で女子生徒を狙ったという悪質さと何度も繰り返していた常習性が重く見られたのでしょうか。恐らく事件化されておらず量刑にはあまり影響していないかもしれませんが、2018年から100人程度の女子生徒を盗撮していたとも認めているようなので常習性は特に顕著と言えます。

一部の被害者と示談が成立していてもこうなるという点も注目すべきかもしれません。この事件内容なら初犯であれば恐らく示談を全くしなくても執行猶予は付くと思いますので正直あまり意味が無さそうだなと感じるところです。

起訴前に示談できていればその被害者の分は起訴しないのではと思われますので可能性としては起訴後に示談が成立しているという事が考えられます。実刑か執行猶予かの瀬戸際だったり実刑は確実で少しでも刑期を減らしたかったりといった場面では起訴後の示談でも意味はありますが、示談は起訴前でないと意味が無いというケースもままあります。

尚、山梨県の迷惑防止条例では処罰の対象が公共の場所や公衆が利用できる場所における盗撮行為に限られていましたが、昨年改正条例が施行されていて学校における盗撮行為や盗撮準備行為もアウトになるようになっています。2018年から100人程度を盗撮していたと認めていながら昨年9月以降の盗撮が対象になっているのはこれの影響かと思われます。

山梨県 迷惑行為防止条例 第4条

何人も、正当な理由がないのに、人の性的羞恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 公共の場所又は公共の乗物において、直接に又は衣服その他の身に着ける物(次号及び次項において「衣服等」という。)の上から、人の身体に触れること。
  2. 公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人の衣服等で覆われている下着又は身体(次項及び第三項において「下着等」という。)をのぞき見し、若しくは撮影し、又は撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他の撮影する機能を有する機器(第三項及び第四項において「写真機等」という。)を向け、若しくは設置すること。
  3. 前二号に掲げるもののほか、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。
第2項
何人も、正当な理由がないのに、人の衣服等を透かして下着等の映像を表示する機能を有する機器を使用して、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人の下着等の映像を見、又は撮影してはならない。
第3項
何人も、正当な理由がないのに、人の性的羞恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような方法で、学校、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所にいる人又は乗物に乗つている人の下着等をのぞき見し、若しくは撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
第4項
何人も、正当な理由がないのに、人の性的羞恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような方法で、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所における当該状態にある人の姿態をのぞき見し、若しくは撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。

この事件では学校内での盗撮行為ですので第3項に該当していると考えられます。

盗撮でも公判請求されている事件の記事が増えてきているように感じており、盗撮はまず罰金と言える時代ではなくなってきているのかもしれません。

更衣室の段ボール箱に盗撮スマホ、女性が鳴る音に気付いて騒ぎに…検察側冒頭陳述

飲食店の女子更衣室に盗撮目的でスマートフォンを設置したとして、山形県迷惑行為防止条例違反(卑わいな行為の禁止)と建造物侵入罪に問われた、天童市東長岡、無職の男の被告(28)の初公判が2日、山形地裁(土倉健太裁判官)であった。男は罪状認否で「録画状態で置いたかは覚えていない」と述べ、起訴事実の一部を否認した。

検察側は冒頭陳述で、被告はスマホを更衣室の段ボール箱に隠して盗撮。女性従業員がスマホの鳴る音に気付き、騒ぎになったため、隙を見て回収し、撮影動画を削除したとした。

起訴状によると、男は6月4日午後8時20分頃、当時従業員として勤務していた、同市桜町の飲食店「かっぱ寿司天童店」の女子更衣室に侵入し、録画撮影状態のスマホを設置した、とされる。
引用元 : 読売新聞 2021年8月5日 12時49分配信

こちらは飲食店の従業員用更衣室での着替え盗撮事件ですが、記事を見たところ盗撮目的でスマホを設置したとするまでに留まっているので盗撮準備行為に問われているようです。尚、建造物侵入も加えられているとはいえ盗撮準備行為で罰金ではなく公判請求された模様です。

冒頭陳述によるとスマホを段ボール箱に隠して盗撮したとされていますが、バレて騒ぎになった後に隙を見て回収した上で動画を削除したとの事なのでもしかすると実際に盗撮したかどうかは確認できなかった可能性があります。公判段階になっても「録画状態で置いたかは覚えていない」と一部否認しているようなので罰金で折り合わず公判請求となったのかもしれません。

スマホが鳴って気付かれたとの事でこちらも間抜けな顛末ですが、認めていれば罰金で終わりそうな盗撮準備行為(+建造物侵入)について否認しているとはいえ公判請求までされているというのはもしかすると被告人に同種前科などがあるという事もあり得ます。この内容で公判請求されるというのはかなり厳しいのではないでしょうか。

山形県の迷惑防止条例は今年から改正条例が施行されており、公共の場所ではないプライベートな場所にある更衣室での盗撮行為や盗撮準備行為が処罰の対象となっていますので盗撮目的でスマホを設置しただけでアウトになります。

山形県 迷惑行為防止条例 第3条

何人も、正当な理由がないのに、公共の場所等にいる人又は公共の乗物に乗っている人に対し、人の性的羞恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。
  2. 衣服等で覆われている人の下着又は身体(以下「下着等」という。)をのぞき見し、又は写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(衣服等を透かして見ることができるものを含む。以下「写真機等」という。)を使用して撮影すること。
  3. 前号に掲げる行為をする目的で、写真機等を設置し、又は衣服等で覆われている人の下着等に向けること。
  4. 前3号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
第2項
何人も、正当な理由がないのに、学校、事務所その他特定かつ多数の人が出入りすることができる場所にいる人又はタクシーその他特定かつ多数の人が利用することができる乗物に乗っている人に対し、人の性的羞恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 衣服等で覆われている人の下着等をのぞき見し、又は写真機等を使用して撮影すること。
  2. 前号に掲げる行為をする目的で、写真機等を設置し、又は衣服等で覆われている人の下着等に向けること。
第3項
何人も、正当な理由がないのに、浴場、便所、更衣場その他人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所において当該状態でいる人に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 当該状態でいる人の姿態をのぞき見し、又は写真機等を使用して撮影すること。
  2. 前号に掲げる行為をする目的で、写真機等を設置し、又は当該状態でいる人の姿態に向けること。

この事件では現場が更衣室なので第3項第2号に該当していると考えられます。更衣室ではなかったとしても職場であれば第2項に該当し得るかと思われます。

略式起訴で罰金となるには本人と検察官が合意しなければならないので否認しているとそれができません。そうなると検察官は公判請求する事になるのでこうして裁判になっていると思われますが、内容的に懲役刑が選択される程の事件でもなさそうなので罰金を求刑するという事はあり得るかもしれません。

罰金があり得るのであれば30万円程度まで、勿論公判請求されているからには罰金で済まない可能性もありますので懲役6月から1年に執行猶予2年から3年程度といったところではないでしょうか。

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