先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
盗んだ換気扇の蓋にカメラ設置して交換…警官、署内女子トイレで盗撮29回
高知県警南国署の巡査部長が盗撮目的で女子トイレに侵入した事件で、地検は23日、同署地域課の容疑者(56)を窃盗、建造物侵入の両罪と、県迷惑防止条例違反(盗撮)で起訴した。
起訴状などでは、容疑者は7月上旬、署内の別の場所から盗み取った換気扇の蓋(時価1500円相当)に小型カメラを取り付け。さらにその蓋を女子トイレ個室の天井部にある換気扇のものと交換し、同月21日から9月2日まで29回の盗撮を重ねたとされる。
引用元 : 読売新聞 2020年9月24日 12時26分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
警察官による警察署内でのトイレ盗撮事件ですが、今回逮捕されたというニュースではなく既に事件になっていてこの度起訴された事を報じたもののようです。盗撮事件とすれば建造物侵入と迷惑防止条例違反はわかりますが窃盗も含まれているので何事かと思ったところ、カメラを仕込むための換気扇の蓋を警察署内の別の場所から失敬してきた事を指していたようです。
換気扇の蓋を取ってきて窃盗というのもさることながら警察署内での出来事なので物の移動とも思えますが、確かに窃盗と言われれば窃盗なのかもしれません。窃盗に当たるかどうかというよりもこれを窃盗事件として扱って起訴までしたというのがある意味凄いような気がしてしまいます。単純にそれだけ厳しい姿勢で臨んでいるという事なのでしょうが…。
別の場所から盗み取ってきたとされている換気扇の蓋を見て、おそらく盗撮用の小型カメラをうまく仕込めそうだと思ったのでしょう。しかしカメラがバレて発覚したのか、又は換気扇の蓋が変わっている事を不審に感じる人がいてバレたのか、結局お縄となってしまいました。
高知県の迷惑防止条例では盗撮目的でカメラ等を向けたり設置したりする盗撮準備行為を禁止する規定がありませんが、記事の最後にあるように盗撮に至っている事は確認されているようです。盗撮に至っていなければ迷惑防止条例違反にはならなかった可能性がありますが、盗撮の事実まで確認できているようですのでこれは免れないようです。
高知県 迷惑防止条例 第4条
- 衣服その他の身に付ける物(以下この条において「衣服等」という。)の上から又は直接に人の身体に触れること。
- 衣服等で覆われている人の下着又は身体(以下「下着等」という。)をのぞき見し、又は撮影すること。
- 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、写真機等を使用して衣服等を透かして見る方法により、みだりに、衣服等で覆われている人の下着等の映像を見、又は撮影してはならない。
何人も、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所にいる人に対し、みだりに、次に掲げる行為をしてはならない。
- 姿態をのぞき見し、又は撮影すること。
- 前号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
盗撮に関してはトイレや風呂も含めて公共の場所にしか規制が及ばないようですが、警察署のトイレですので公衆が利用できると解釈しても良さそうに思えます。そのためこの事件ではおそらく第3項第1号に該当していると考えられます。
建造物侵入と迷惑防止条例違反だけではなく窃盗まで付いているせいか罰金では済まされず公判請求されているようで厳しい処分が見込まれます。公判請求されても罰金になる事が無くも無いですが、6月から1年程度の懲役に2年から3年の執行猶予といった判決になる事は覚悟しておいた方が良いのではと思われます。
塾のトイレで盗撮か 講師逮捕|NHK 群馬県のニュース
みずからが勤務している太田市の学習塾の女子トイレにカメラを設置し、中学生を盗撮したとして、塾講師の男が県の条例違反の疑いで24日逮捕されました。
逮捕されたのは、太田市新田木崎町の塾講師(42)です。
今月中旬、みずからが勤務している太田市内の学習塾の女子トイレに小型のカメラを設置し、女子中学生を動画で盗撮したとして、県の迷惑行為等防止条例違反の疑いが持たれていて25日、検察庁に身柄を送られました。
警察によりますと、女子中学生がトイレにカメラが置いてあるのに気づいて親族などに相談し、事件が発覚したということで、捜査を進めたところ容疑者が浮上したということです。
調べに対して、「性欲を満たすためにやった」などと供述し、容疑を認めているということです。警察は、カメラのデータを確認するなどして、ほかにも盗撮をしていなかったかなど詳しく調べることにしています。
引用元 : TBS 2020年9月25日 16時42分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
塾講師によるトイレ盗撮事件です。勤務先の学習塾の女子トイレにカメラを仕掛けたとの事なので教員による学校でのトイレ盗撮のようなものでしょうか。被害者が女子中学生でトイレ盗撮となると児童ポルノ禁止法違反も考えられますが、逮捕容疑は迷惑防止条例違反とされています。
被害者の女子中学生がトイレでカメラを見つけて発覚したようですが、逮捕容疑はトイレにカメラを設置しただけに留まらず盗撮したと表現されているのでこの女子中学生自身か或いは発覚までに既に盗撮被害に遭っていた人がいた事が窺えます。しかし中学生を撮っていた事が確認できているなら最初から児童ポルノ禁止法違反でも良さそうに思えます。
ここから考えられるのは撮った動画が児童ポルノと判断できる物ではなかったか、これから児童ポルノ禁止法違反に切り替えられるか、といったところでしょうか。群馬県の迷惑防止条例では盗撮目的でカメラを向けたり設置したりする盗撮準備行為についてはトイレでは適用できないと考えられるため実際に盗撮に至っている事は間違い無いと思われます。
群馬県 迷惑防止条例 第2条の3
- 人の身体に、衣服その他の身に付ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接、触れること。
- 衣服等で覆われている人の下着若しくは身体をのぞき見し、若しくは撮影し、又はこれらの行為をしようとして、鏡、写真機等を衣服等の下に差し出し、置くなどすること。
- 写真機等を使用して透視する方法により、衣服等で覆われている人の下着又は身体の映像を見、又は撮影すること。
- 前各号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣場、便所その他通常人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所において当該状態でいる人の姿態を、のぞき見し、又は撮影してはならない。
盗撮準備行為が第1項第2号に該当し得ると考えられるものの、第1項は公共の場所における行為に限られますので学習塾の女子トイレでは成立しないと思われます。一方でトイレを規制範囲に含めている第2項は盗撮準備行為を禁止する規定が無く、実際に撮影していないと成立しないと思われますのでこの事件においては現に盗撮に至っていたのではと考えられます。
そうなると児童ポルノの盗撮製造ではという事になりますが、単にこれから切り替えられるだけなのかもしれません。
他にも盗撮データが出てきているなど具体的な余罪の可能性に詳しく触れられていないので何とも言えませんが、印象としては今回初めてやってすぐに発覚したという事ではなく、これまでにも勤務先の塾で女子中学生を狙って盗撮していたのではと感じてしまいます。もし児童ポルノ製造の余罪が出てくるようだと処分も厳しいものになっていくでしょう。
このまま迷惑防止条例違反に留まれば30万円程度の罰金で済むかもしれませんが、児童ポルノの盗撮製造と判断されれば罰金としても50万円は下らなくなってくるのではないでしょうか。
女性のスカート内「週1回、盗撮」名古屋市職員(49)を停職6か月
女性のスカートの中を盗撮したとして、名古屋市は25日、市交通局に勤める男性職員(49)を停職6か月の懲戒処分にしました。
名古屋市によると、男性職員は今年5月19日、JR名古屋駅の地下街のエスカレーターで、かばんに忍ばせた小型カメラを使って女性のスカートの中を盗撮したということです。男性職員はその5分後に、別の女性を盗撮しようとして、気づいた女性に問い詰められ犯行が発覚しました。
男性職員は、愛知県迷惑防止条例違反の罪で略式起訴され、今年8月、罰金50万円の略式命令を受けました。
市の聞き取りに対し、男性職員は「2015年4月ごろから、週に1回程度、同様の盗撮を行っていた」と常習性を認めた上で、「反省をしています。二度とこうした過ちはおこさない」などと話しているということです。
引用元 : 中京テレビ 2020年9月26日 9時49分配信
名古屋市交通局に勤務する公務員によるスカート内盗撮事件です。既に罰金50万円の略式命令が出ていて事件としては終結していますが、刑事的な処分とは別で停職6か月の懲戒処分を受けたようです。
小型カメラを仕込んだ鞄で盗撮し、さらに盗撮を重ねようとしていたところ被害者に気付かれて発覚したという内容で、盗撮事件としてはそれ程珍しい事情はありません。被疑者の前科関係が不明ですが初犯としたら50万円は若干高いように感じるくらいでしょうか。得物がスマホなどではなく手口が悪質と見られたのかもしれません。
それよりもやはり、同じ公務員でも教員だと盗撮事件を起こして一発で免職となっている例が珍しくない中、停職で済んでいるという点が目に留まります。これ自体は特に異例な事でもなく、教員でなければ停職や減給などに留まっているケースは多く見られます。
どちらかというと教員に対する懲戒処分が厳しいと感じますが、児童や生徒に接するという立場を考えるとそうなるのは仕方ないのかもしれません。役所ならば規定を盾にクレームを撥ね退ける事もできるかもしれませんが、学校だと保護者から言われる事にはどうしても弱くなってしまうのではないでしょうか。
役所勤めの公務員が盗撮の再犯に及んで結局免職となっている例も無いでは無いですが、公務員であれば職場にしがみつく価値は十分にありますので首の皮一枚で繋がったと思って心を入れ替えなければならないでしょう。