先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
中学校教諭が盗撮で書類送検
富山市の大沢野中学校に勤める20代の男の教諭が、学校内で複数の女子生徒のスカートの中などをカメラで盗撮したとして県の迷惑防止条例違反の疑いで書類送検されたことが関係者への取材で分かりました。
書類送検されたのは、富山市立大沢野中学校の20代の男の教諭です。
関係者によりますと、ことし8月下旬、この教諭は中学校の校内で複数の女子生徒のスカートの中などをカメラで撮影したとして県の迷惑防止条例違反の疑いが持たれています。
女子生徒からの訴えをうけて、学校が警察に相談したということで、警察が捜査を進めたところ、この教諭が盗撮していた疑いが強まったということです。警察の調べに対しこの教諭は容疑を認めているということです。
大沢野中学校では25日夜、緊急の保護者会を開いて、事件のいきさつについて説明することにしています。富山市教育委員会・学校教育課の豊田高久課長は「まだ捜査中で、県の教育委員会の処分が決まっていないのでコメントを差し控えたい」と話しています。
引用元 : NHK 2018年9月25日 22時4分配信
中学校の教員が学校内で生徒のスカート内を盗撮したという事件で、被疑者の教員は逮捕されておらず書類送検に留まっているようです。
教員が学校内で生徒を盗撮という他のケースでは逮捕されている事件も見受けられるところ、処遇を分けるポイントは何だったのでしょうか。迷惑防止条例は都道府県によって取り扱いが微妙に異なるのでそれによるものと言われればそれまでですが…。
なお、「警察が捜査を進めたところ、この教諭が盗撮していた疑いが強まった」とされていますが、事件発覚のきっかけが女子生徒の訴えとのことですので、おそらくは「〇〇先生が盗撮しているのを見た」とか「〇〇先生に盗撮された」ということで最初から疑わしい人物はわかっていたのではないかと見られます。
勤務時間外に学校の外で生徒や同僚の教職員以外の人を盗撮したというものではなく、勤務中に学校内で生徒を狙って、となると教育委員会としても厳しい処分で臨まなければならないように思われます。前者のようなケースでは首の皮一枚で懲戒免職まではいかないこともあるでしょうが、この事件では免職が念頭に置かれるのではないでしょうか。
一方、盗撮したのが着替えやトイレなどではなくスカート内に留まっていれば刑事事件としては極めて悪質というほどの内容でもないので、厳しく見てもせいぜい30万円程度の罰金で済むのではと思われます。
駅で女性のスカート内を盗撮 容疑で41歳男を逮捕 女性が気付き通報、男逃走も防犯カメラで特定/越谷署
駅構内で盗撮をしたとして、埼玉県の越谷署は26日、県迷惑防止条例違反の疑いで越谷市北越谷4丁目、アルバイト男(41)を逮捕した。
逮捕容疑は12日午後4時35分ごろ、東武スカイツリーライン新越谷駅のエスカレーターで、10代女性のスカートの中をスマートフォンで撮影した疑い。
同署によると、盗撮に女性が気付き、駅員が110番。男は現場から逃げたが、付近の防犯カメラの映像などから特定された。男は「若い女性の下着が見たかった」と容疑を認めているという。
引用元 : 埼玉新聞 2018年9月27日 22時8分配信
盗撮行為に及んでから約2週間後に御用となった後日逮捕の事件です。現場で被害者に気付かれ逃走したようですが、防犯カメラの記録などから被疑者を特定したとされており、以前の記事でも述べているように盗撮で後日逮捕される事例としては割と典型的なケースと考えられます。
被疑者においては現場から逃走後、逮捕されるまで生きた心地がしない約2週間だったのでしょうか、あるいはこれくらいで警察は動かないなどと甘く見て高を括っていたのでしょうか。残念ながら警察はちゃんと捜査するのです。
盗撮をしていて同様の事態に遭遇する人も少なくないようですが、皆一様に後日逮捕の事例や可能性について検索しまくって自身のケースと照らし合わせているようです。先の記事の冒頭で示すように、やってしまったことについて怯えていても意味が無いと思いますが、人間そう簡単に割り切れるものでもないでしょう。
自身の都合の良いように解釈して警察はこの程度で動かないなどと嘯く人や、後悔していつ捕まるのかとビクビクしながら過ごす人など様々いるでしょうが、もちろん事件になっていないという可能性も考えられるのでヤブヘビへの懸念から自首や出頭にも踏み切れない微妙な状況です。
仮にそうした葛藤があったとして、この事件においては通常逮捕される前に出頭していればその分だけ寛大に取り扱ってもらえたでしょうが、それは結果論なので他の人が自身の行動の指針とするには難しいでしょう。
しかし、現場からどうにか逃げ果せても防犯カメラなどの記録から追跡されて逮捕されるということはそれが盗撮事件だとしてももはや珍しいことではなく、十分に現実的なこととして理解しておくべきだと思います。
施術室にカメラ設置し女性客を盗撮 整体師に有罪判決 「信頼裏切った行為は卑劣かつ悪質」奈良地裁
整体院の施術室にカメラを取り付け、女性を盗撮するなどのわいせつ行為をしたとして、準強制わいせつ罪に問われた整体師の男(45)の判決公判が27日、奈良地裁で開かれ、中山登裁判官は懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役3年)を言い渡した。
中山裁判官は判決理由で「被害者の信頼を裏切った行為は卑劣かつ悪質。女性客に対して行った犯行の悪質性は高く、刑事責任は重い」などと述べた。
判決によると、男は昨年12月~今年2月までの間、生駒市内で経営していた整体院の施術室内に小型カメラを設置し、施術に乗じて3人の女性客を盗撮するなどした。
引用元 : 産経新聞 2018年9月28日 9時7分配信
この事件については逮捕当時の報道を取り上げていましたが、自ら経営する整体院で女性患者を盗撮した迷惑防止条例違反事件だったと記憶していました。
ところがこの記事では準強制わいせつの罪についての判決公判とのことなので逮捕当時から随分と展開が飛躍したと思いましたが、どうやら最初の迷惑防止条例違反での逮捕後に準強制わいせつの疑いも出たことで再逮捕されていたようです。
施術と称して女性患者の陰部を触るなどしていた行為が盗撮映像に記録されていて発覚したとのことです。元々そうした行為を撮影することが目的で施術室にカメラを仕掛けていたのでしょうから、たまたま発覚したのではなく時間の問題だったのでしょう。
整体の施術と称して女性患者にわいせつな行為をしたとして、奈良県警生駒署は21日、準強制わいせつの疑いで、奈良市松陽台の整体師(45)を再逮捕した。容疑を認めている。
再逮捕容疑は昨年12月17日と今年2月4日の2回にわたり、生駒市内で経営する整体院で、施術と称して40代の女性患者の下半身を触るなど、わいせつな行為をしたとしている。
同署は4月25日、別の女性患者の着替えを盗撮したとして、県迷惑防止条例違反の疑いで容疑者を逮捕。この女性への準強制わいせつ容疑で同28日に逮捕していた。
同署によると、押収した小型カメラの映像に今回の犯行の様子が写っていたという。
引用元 : 産経新聞 2018年5月22日 7時52分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
起訴されているのは準強制わいせつだけのようですが、盗撮による迷惑防止条例違反については準強制わいせつを構成する行為としてまとめられたのでしょうか。ただし、準強制わいせつについては「40代の女性患者」と「別の女性患者」の少なくとも2件で逮捕されており、これらがまとめて起訴されている可能性はあります。
懲役3年に執行猶予5年というのは執行猶予が付くギリギリのラインなので何か1つでも有利な情状が欠けていたら実刑判決になっていてもおかしくはなく、まさに首の皮一枚つながって実刑を免れたと言えるのではないでしょうか。
女性更衣室に小型カメラ 弘前市教委、男性主事処分へ 盗撮認め「興味本位だった」
弘前市教育委員会は27日、市教委の所管施設に勤務する30代男性主事が、この施設内にある女性職員用更衣室に小型カメラを設置していたと発表した。同日、市役所で会見した野呂忠久教育部長によると、男性主事は「興味本位だった」と話し、盗撮目的の設置を認めているという。
市教委は、懲戒処分の公表基準や盗撮被害者がいる可能性を踏まえ、男性主事の氏名や施設を明らかにしていない。
市教委によると、26日午前10時40分ごろ、女性職員が更衣室に入室した際、ロッカー上部の棚に2センチ角のカメラが取り付けられているのを発見した。記録データを確認したところ、男性主事が映っていたため、施設長が本人に確認した。
男性主事が設置を認めたため、その日のうちに弘前署に相談し、証拠品としてカメラを提出した。弘前署が捜査を進めている。
市教委の聞き取りに男性主事は、26日午前9時ごろに取り付けたと説明。小型カメラは通信販売で購入し設置したのはこの日が初めてだと話したという。男性主事は同日から自宅待機。市教委は今後、盗撮被害者の有無なども確認した上で懲戒処分を検討する。
引用元 : 東奥日報 2018年9月28日 10時49分配信
女性職員用の更衣室に小型カメラを仕掛けて盗撮を企てたとのことで、既に警察が捜査しているようですがまだ被疑者の逮捕や書類送検に至るまでの事件にはなっていないようです。
青森県の迷惑防止条例では盗撮目的でカメラ等を設置する行為は規制されているものの規制の及ぶ場所が公共の場所に限られており、現場となった市教委の所管施設内の女性職員用更衣室における行為では迷惑防止条例違反が適用できないと思われます。
青森県 迷惑行為等防止条例 第6条
- 他人の身体に直接又は衣服等の上から触ること。
- 衣服等で覆われている他人の身体若しくは下着(以下「他人の身体等」という。)をのぞき見し、若しくは撮影し、又はこれらの行為をしようとして、他人の身体等をのぞき込み、若しくは写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器を設置し、若しくは他人の身体等に向けること。
- 前二号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
男性は盗撮目的の設置を認めているとのことですが、仮に盗撮が成功していて被害者がいるとしても現場が公共の場所と解釈されない場合は迷惑防止条例違反に問うことは難しいでしょう。そのため、警察の捜査としては建造物侵入を視野に入れていると考えられます。
更衣室に仕掛けられていたカメラは2センチ角という小型のものだったようですが、カメラが発見された後に仕掛けた本人の姿が記録されていたことが発覚して特定に至ったというマヌケな話です。
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「設置したのはこの日が初めて」という本人の弁については話半分とも考えたいところですが、自分が映り込んでいるというマヌケで杜撰な段取りでは本当なのかもしれません。
今後警察が男性を逮捕あるいは書類送検するとしても少なくともこの事案においては迷惑防止条例違反の適用は厳しいと考えられますので建造物侵入となりそうですが、それでも罰金の上限は10万円なので懲戒処分や依願退職等を経た上で不起訴といったところではないでしょうか。