盗撮などの性犯罪での逮捕やその前後に関する情報を配信してまいります。

盗撮で逮捕される日

ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(9月30日~10月6日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

盗撮取り締まり強化 静岡県条例改正検討、学校や会社に規制拡大

静岡県警は1日、盗撮の取り締まりを強化するため、県迷惑防止条例の一部改正を検討していることを明らかにした。条例で定めた規制場所を不特定多数が利用するエリアだけでなく、学校や会社など特定多数が利用する場所にまで拡大する方針。古橋清隆生活安全企画課長が県議会文教警察委員会で、盛月寿美氏(公明党県議団、静岡市清水区)の質問に答えた。

県条例は現在、店舗や路上、電車など公共の場所・乗り物に加え、浴場や更衣室などを盗撮の規制場所として定めている。学校や会社などで盗撮行為が起きた場合、不特定多数が出入りできる「公共の場所」ではないと判断されれば、県条例では取り締まることができない。このため学校の女子トイレにカメラを設置して盗撮したケースなどには、建造物侵入容疑を適用していた。

ただ、近年は小型・高性能のカメラ付きスマートフォンやデジタルカメラの普及によって、盗撮手口が巧妙化していることを受け、県警は規制の強化に向けた検討を始めた。この動きは全国的で、25都道府県が条例で盗撮の規制場所を拡大しているという。
引用元 : 静岡新聞 2019年10月2日 8時8分配信

静岡県において学校や会社での盗撮も処罰できるよう盗撮の規制場所を拡大する迷惑防止条例改正を検討していると報じられています。記事の最後で触れられている通り全国的な動きですので、まだ対応ができていない自治体においても今後順次改正されていくものと思います。

こうした改正が検討されているということは静岡県では公共の場所以外での盗撮が処罰できていなかったということで、記事にもあるように建造物侵入を適用して対応していたのでしょう。しかし、場合によっては盗撮に及んだ現場に「正当な理由なく立ち入った」ことにはならないということで建造物侵入すら適用できないケースもありますので今後は迷惑防止条例の改正で対応していくものと考えられます。

現在の静岡県の迷惑防止条例で盗撮に関する規定は以下のようになっています。

静岡県 迷惑行為防止条例 第3条

何人も、正当な理由がなく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接人の身体に触れること。
  2. 公共の場所又は公共の乗物にいる人の下着又は身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)をのぞき見ること。
  3. 公共の場所又は公共の乗物にいる人の下着等を見る目的又はその映像を記録する目的で、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、又は下着等に向けること。
  4. 公共の場所又は公共の乗物にいる人の下着等を見る目的又はその映像を記録する目的で、衣服等を透かして見ることができる機器を設置し、又は人の身体に向けること。
  5. 前各号に掲げるもののほか、公共の場所又は公共の乗物にいる人に対して、卑わいな言動をすること。
第2項
何人も、正当な理由がなく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法により、住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいるような場所に当該状態でいる人の姿態を見る目的又はその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、又は人の身体に向けてはならない。

第1項についてはいずれの号にも「公共の場所又は公共の乗物」と明記されており、公共の場所以外での盗撮は無条件で第1項に該当しないことがわかります。第2項は風呂やトイレなど、服を脱いでいる状態が想定される場所における盗撮行為を規制しています。

ただ、やむを得ず建造物侵入を適用した事件として記事で例示されている「学校の女子トイレにカメラを設置して盗撮したケース」は第2項で普通に取り締まれるように思われますが、撮ったのが「衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいる人の姿態」ではなかったということなのでしょうか。

学校の女子トイレで完全着衣状態の女性のスカート内を盗撮したなどであれば確かにそれに該当しますが状況がちょっと特殊すぎるように感じます。単に記事を書いた記者の思い違いかもしれませんが、いずれにしても今後は公共の場所以外での盗撮行為も処罰の対象となります。

なお、盗撮行為の規制場所拡大とよく並べて語られる盗撮準備行為、つまり盗撮目的でカメラ等を向けたり設置したりする行為については静岡県ではアウトの行為として既に規定されています。

一方、多くの自治体でこうした改正条例が整備されてきている印象を受けていましたが、記事によれば盗撮の規制場所を拡大しているのは25都道府県、まだ半分より少し多い程度に留まっているようです。勿論残りの県でも既に改正に向けて動いている所もあると思いますが、まだ半分弱の県では公共の場所以外での盗撮を処罰できない場合があるということになります。

以前秋田県において学校内での盗撮行為の立件を見送ったとして問題になっていましたが、まだ条例改正ができていない県で再びこうしたケースがあると同じように報道で取り上げられてフォーカスされることが増えてくるのではないでしょうか。

カメラ内蔵眼鏡で盗撮か 再逮捕|NHK 北海道のニュース

勤務先の帯広市の保育園で女の子の裸を盗撮したとして先月逮捕された男が、ほかにも4人の子どもを撮影していた疑いで再逮捕されました。男は小型カメラを内蔵した特殊な眼鏡で盗撮していたということで、警察がさらに調べています。

帯広市内の保育園の事務職員だった容疑者(45)は、水遊びを終えた女の子が保育園の庭で体を洗っていたところをビデオカメラで盗撮したとして先月逮捕されました。その後の調べで、ことし6月にも園内の廊下で着替えていた女の子4人の裸を撮影した疑いが強まったとして、警察は、児童ポルノ禁止法違反の疑いで2日、再逮捕しました。

警察によりますと、容疑者は小型カメラを内蔵した特殊な眼鏡で盗撮し、自宅のパソコンに動画を保存していたということです。調べに対し、「園児や保育士にばれないようメガネ型のカメラを使った。インターネットで買った」などと、容疑を認める供述をしているということです。

警察は、職場で盗撮を繰り返した動機やいきさつをさらに調べています。
引用元 : NHK 2019年10月2日 18時40分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

保育園の事務員による児童ポルノの盗撮製造事件です。被疑者は今回逮捕が初ではなく既に別件の児童ポルノ製造で逮捕されていたところ、おそらく先の事件での家宅捜索で発覚したのでしょうか、女児の着替えを盗撮した別の動画が出てきたことで再逮捕されたようです。

先の事件ではビデオカメラで盗撮したとされていますが、今回の再逮捕においてはメガネ型のカモフラージュカメラで着替え中の女児の裸を盗撮したとのことです。着替えを手伝うフリをしながらカメラが仕込まれたメガネをかけて撮っていたのでしょうか。

盗撮も含め余罪が発覚し、それを立件できる証拠が出てきていても個別に立件せずに最初の事件に含める場合がありますが、今回の事件ではいずれも児童ポルノの製造容疑で現場も同じ保育園と思われますのでまとめても良さそうなところ、わざわざ再逮捕したのは盗撮用に複数の得物を用意して、かつそれらを実際に使用して盗撮していたことが悪質と見られたためかもしれません。

もっとも、ビデオカメラによる盗撮とメガネ型のカモフラージュカメラによる盗撮をそれぞれ逮捕された分の1回ずつしかやっていないとは思えず、他にも盗撮して自宅のPCに保存していた証拠はあると思われますので、今回新たに分けて再逮捕したとは言っても全て別個に立件はせずにまとめられる余罪もあるのではないでしょうか。

盗撮用として複数のカメラを所持してそれぞれ使用していた点からはそれなりの常習性が窺われ、被害者が勤務先の保育園の園児という点もかなり悪質と判断されると見られます。おそらく初犯でも罰金では済まされず、公判請求されて執行猶予付きの懲役刑となる可能性があるのではと思われます。

教師が女子児童の「着替えを盗撮」 この教師は”校長室から現金盗んで逮捕”もされていた

奈良市の小学校の25歳の教師が女子児童の着替えを盗撮した疑いで逮捕されました。この教師は校長室の金庫から現金を盗んだ疑いでも逮捕されています。

児童ポルノ法違反の疑いで逮捕されたのは奈良市立小学校の教師(25)です。

警察などによると容疑者は去年12月、勤務先の小学校の教室にスマートフォンを設置し、女子児童の着替えを盗撮した疑いが持たれています。容疑者は9月、校長室の金庫から修学旅行のために積み立てられていた現金33万円を盗んだ疑いで逮捕されていました。

その捜査の中で押収した携帯電話を調べたところ、女子児童の着替えを撮影した数分間の動画が見つかったということです。容疑者は容疑を認めていて警察は余罪も調べるということです。奈良市は容疑者を懲戒免職処分にする方針です。
引用元 : 関西テレビ 2019年10月4日 18時48分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

小学校の教員による児童ポルノの盗撮製造事件で、こちらも被疑者は既に別件で逮捕されていたためその捜査の中でスマホを調べたら小学生の女子児童の着替えを盗撮した動画が出てきて再逮捕されたという本記事2件目の事件と経緯が似ています。ただし、こちらは先の事件も児童ポルノ製造というわけではなく校長室の金庫からお金を盗んだという窃盗容疑のようです。

盗撮だけであればある意味本人の性嗜好の問題ですので高学歴の人や社会的な地位のある人、又はその逆だったり被疑者の属性はピンキリですが、勤務先の女子児童を狙った盗撮に加えて金庫からお金を盗むというのは性嗜好の問題に留まらない素行の悪さを窺わせます。

しかし、窃盗だけなら児童を狙った性犯罪ではないので、魔が差した、生活に困っていたなどの動機を語って反省の態度を示し罰金を支払えばもしかすると懲戒処分に関しては寛大に取り計らってもらえた可能性があります。性犯罪絡みでなければもう一度チャンスを与えようとなったとしてもわからない話ではありません。

ところが女子児童を狙った着替え盗撮までしていたとなると違ってくるでしょう。教員の場合は児童生徒への盗撮だけで懲戒免職となっている例が多くありますので、この事件においては懲戒免職は避けられないと思われます。

また、刑事処分についても見通しは暗そうです。窃盗罪の罰則には罰金刑もありますのでこちらも窃盗のみなら、又は児童ポルノの盗撮製造のみなら罰金で済む可能性もありますが、性質の違うこれらの犯罪が少なくとも2件となると公判請求されるかもしれません。

刑法 第235条

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

勿論今後被害者と示談にできれば別ですが、修学旅行のために積み立てられて校長室の金庫に保管されていたお金を盗んだという窃盗については被害者が個人ではなく学校になると考えられますので示談にできる余地はおそらく無いでしょう(仮に校長などの責任者個人が窃盗被害者だとしても個人の判断と責任で示談にするという可能性はまず無いと思います)。

児童ポルノの盗撮製造については被害者の女子児童の親御さんとの示談交渉になりますが、小学生の娘の着替えが狙われたとなるとなかなか難しいのではないでしょうか。窃盗の方で学校側は示談しないとなれば、本来は別の事件ですがわざわざ足並みを乱して示談するという判断にはなりにくいと思われます。

従って、おそらくこちらも罰金で済まされることは無く、公判請求されて懲役2年前後に執行猶予4年といった辺りになるのではないでしょうか。

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