先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
「内申点を加点」と女子生徒を水着に着替えさせ盗撮…公立中元教諭に懲役3年6月求刑
千葉県内の中学校で教え子の着替えを盗撮したとして、準強制わいせつ罪と児童買春・児童ポルノ禁止法違反などに問われた公立中学校元教諭の男(懲戒免職)の公判が5日、千葉地裁(片岡理知裁判官)であった。検察側は懲役3年6月を求刑し、弁護側は執行猶予付き判決を求めて結審した。判決は11月4日。
起訴状によると、男は昨年12月、勤務先の中学校で、女子生徒に対し「内申点の加点がもらえるため協力しないか」などとうそを言って水着に着替えさせ、その様子をカメラで盗撮するなどしたとされる。
男は昨年7~12月、計6回にわたって女子生徒計10人を水着やユニホームなどに着替えさせ、盗撮を繰り返していた。公判は被害者の特定を避けるためとして、匿名で審理された。
被告人質問で検察官から犯行動機を尋ねられた男は、職場の同僚から嫌がらせを受けて自暴自棄になっていたと説明。「買ったばかりの車の上に乗られたり、職員会議の資料が配られなかったりした」と述べた。盗撮する際に内申点の話を持ち出したことについては「着替えさせるために誘導した」と語った。
引用元 : 読売新聞 2021年10月6日 10時12分配信
中学校の教員による女子生徒の着替え盗撮事件ですが、既に起訴されていてその公判が行われたようです。被害者が中学生の女子生徒なので着替えを盗撮したとなれば児童ポルノ禁止法違反という事になりますが、準強制わいせつでも起訴されているのがやや気になる点で、これは別件ではなく盗撮した女子生徒に対するものなのでしょうか。
着替え盗撮といっても授業等で必然的に発生するような着替えを盗撮した訳ではなく、内申点の加点を名目に着替えさせてその様子を撮っていたとの事です。水着やユニフォームに着替える事がどのように内申点の加点に繋がるのかちょっとわかりませんが、同様の疑問を感じた被害生徒から発覚したものなのかもしれません。
合わせて起訴されている準強制わいせつについては記事の中では触れられていませんが、別件ではなく盗撮の被害を受けた女子生徒らに対して更に触るなどの行為をしていたという事なのでしょうか。
準強制わいせつは今では親告罪でなくなっているとはいえ起訴前に示談ができればその事情はある程度酌まれる場合があるので、起訴されているという事は示談もできていないのかもしれません。となると、弁護人は執行猶予を求めているようですが、求刑で3年6月というのは一発で実刑もあり得るのではと思われます。
少なくとも懲役刑の部分が3年まで落ちないと執行猶予が付かないので実刑の見込みはある事件になっています。どちらかというと盗撮による児童ポルノ禁止法違反よりも準強制わいせつの方で刑が重くなっているようにも思えますが、教員としての立場を利用した悪質さもありますし寛大な判決が下る見通しは厳しいのではないでしょうか。
鎌ケ谷大仏駅でスカート内を盗撮疑い 自称建築作業員を逮捕
鎌ケ谷署は6日、千葉県迷惑防止条例違反(盗撮)と暴行の疑いで松戸市、自称建築作業員の男(44)を逮捕した。
逮捕容疑は5月20日午後0時10分ごろ、新京成鎌ケ谷大仏駅ホームの階段で女子高校生=県内居住=のスカート内をスマートフォンで撮影しようとした上、取り押さえようとした20代の男子大学院生=鎌ケ谷市居住=に暴行した疑い。
同署によると、目撃者の「盗撮、盗撮」という声を聞いて逃走。改札口を出たところで取り押さえようとした男子大学院生を振りほどいた。防犯カメラ捜査などから浮上。容疑を認めている。
引用元 : 千葉日報 2021年10月7日 11時57分配信
女子高生のスカート内をスマホで盗撮しようとしたところを目撃され、逃走した際に取り押さえようとした男性に暴行したという事件です。罪の発覚を恐れて別の罪を犯すという事件はよく聞きますが、これもそうしたパターンの事件と言えるでしょう。
盗撮事件としては割とありがちな内容で、駅ホームにいた女子高生のスカート内にスマホを差し入れたというものです。撮影しようとしたという表現になっているので盗撮には至っておらず盗撮準備行為に留まっているのかもしれませんが、千葉県の迷惑防止条例では盗撮目的でスカート内にスマホを向けるだけでアウトになります。
千葉県 迷惑防止条例 第3条の2
次のいずれかに掲げる場所又は乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器(衣服を透かした状態を撮影することができるものを含む。以下「写真機等」という。)を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を差し向け、若しくは設置すること。
- 浴場、更衣室、便所その他の人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所及び住居
- 公共の場所(イの場所を除く。)又は公共の乗物
- 学校、事務所その他の不特定若しくは多数の者が利用し、若しくは出入りすることができる場所(イ及びロの場所を除く。)又はタクシーその他の不特定若しくは多数の者が利用することができる乗物(ロの乗物を除く。)
公共の場所又は公共の乗物において、人の胸部、臀部、陰部、大腿部その他の身体の一部に直接又は衣服その他の身に着ける物の上から触れること。
前各号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。
この事件では駅ホームという公共の場所が現場になっていますので第1号(ロ)に該当していると考えられます。
それだけなら平凡な盗撮事件でしたが、目撃されて逃げる際に取り押さえようとした男性に暴行を加えた上で逃走したとの事で逮捕容疑に暴行も追加されています。その場では逃げ果せたと思っていたかもしれませんが、防犯カメラの映像等から捜査して特定し、事件から約5か月経って後日逮捕に至っています。
余計な事をして暴行の疑いまで加えられているとはいえ、いずれも初犯ならば公判請求される程の事件ではないと思われますので50万円程度の罰金で済むのではないでしょうか。
“盗撮目的で小学校に侵入”会社員の初公判 起訴内容認める
女の子の着替えを盗撮するため、小学校に侵入したとして建造物侵入の罪に問われている徳島市の会社員の初公判が開かれ、会社員は「間違いありません」と述べ起訴された内容を認めました。
徳島市の会社員(33)は、女の子を盗撮するため、ことし6月上旬、小学校に侵入したとして、建造物侵入の罪に問われています。8日、徳島地方裁判所で開かれた初公判で、被告は「間違いありません」と述べ、起訴された内容を認めました。
検察は冒頭陳述で「被告は女子に対する性的興味から着替え中の様子を撮影するため学校に侵入した。水泳の授業の際に、女子の更衣室として使われる図工室に去年ごろから盗撮用のカメラの設置を繰り返した」と述べました。そのうえで検察は、捜査段階の調書の内容として、被告が4年ほど前から学校への侵入を繰り返し、図工室などの合鍵や、水泳の授業の期間がわかる資料などを入手したうえ、図工室の棚を持ちだして盗撮用のカメラを仕掛けたなどと供述したと述べました。
被告は教室に設置した小型カメラで子どもたちの着替えを撮影した疑いで今月、再逮捕されていて、検察は近く追起訴する方針です。
引用元 : NHK 2021年10月28日 17時39分配信
※被告人の氏名部分を修正しております。
盗撮目的での小学校侵入事件です。こちらも既に起訴されている事件ですのでこれは初公判となりますが、別件の着替え盗撮事件で再逮捕されていて追起訴される見通しのようです。
小学生を盗撮する目的とはいえ小学校への建造物侵入のみで公判請求されるというのは相当厳しい姿勢が窺えます。初犯の建造物侵入でいきなり裁判になるとは考えにくいので被告人に前科があるという可能性もありますが、既に再逮捕されていて追起訴する方針だという盗撮の方が本命でこれと併せるために建造物侵入のみで起訴していたのかもしれません。
今月再逮捕されているという盗撮については教室に設置したカメラで着替えを盗撮したという事件ですが、被害者が小学生ですので恐らく児童ポルノ禁止法違反になると思われます。建造物侵入での起訴前からこれが分かっていたのであれば先に建造物侵入のみで起訴していたのも理解できなくはありません。
今のところ立件されてはいないと見られるものの建造物侵入自体も4年程前から繰り返していたとされており、いずれも盗撮する目的のためのようですのでもしかすると他の盗撮についても今後再逮捕や追起訴が続くという事があり得るのではないでしょうか。そうなってくると罰金で済むかどうかといった話ではなくなってきます。
合鍵の持ち出しはまだ分かりますが、水泳の授業の期間が分かる資料やカメラを仕込むための棚まで持ち出すなど、単純な盗撮目的には留まらないある種の知性さえも感じさせるところですが、裁判沙汰になってしまうといずれも極めて悪質という評価になり最終的な判決としてもかなり厳しくなってくるのかもしれません。
罰金で済まされるかどうかというと難しいと言わざるを得ないと思われ、少なくとも懲役1年に執行猶予3年を下る事はないのではないでしょうか。