盗撮などの性犯罪での逮捕やその前後に関する情報を配信してまいります。

盗撮で逮捕される日

ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(10月7日~10月13日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

病院女子トイレに直径約1cmのカメラ…盗撮の疑い 元診療部長59歳男を逮捕 北海道芽室町

北海道芽室町にある公立芽室病院の元診療部長の男が、院内の女子トイレに盗撮目的で小型カメラを設置した疑いで逮捕されました。

逮捕されたのは、公立芽室病院の元診療部長・59歳です。容疑者は先月27日から30日の間に、病院の職員用女子トイレに直径1センチ程度の小型カメラを盗撮目的で設置した疑いが持たれています。

警察によりますと、病院側は先月30日に小型カメラの設置を把握していましたが、警察に被害届や相談はありませんでした。今月5日になって内部の関係者からの相談で問題を認知したということです。

警察は、小型カメラのほか、容疑者のパソコンやスマートフォンなどを押収し、解析を進めています。
引用元 : HBC北海道放送 2019年10月9日 16時0分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

医師による盗撮事件ですが、逮捕容疑としては盗撮目的で女子トイレにカメラを設置した疑いに留まっており、少なくともこの時点では実際に盗撮するには至っていなかったことが窺われます。

なお、他の報道によると女子トイレに仕掛けられたカメラは病院の職員が発見しており、病院内の調査でこの被疑者が設置したことを認めていたとのことです。しかし、病院側が内々に処理しようとしていたのか警察に届け出ていなかったようで、それを良しとしなかった関係者が警察へ通報して事件化し今回の逮捕に至ったのだろうと思われます。

今回女子トイレに仕掛けられていて押収されたカメラには盗撮動画等のデータが記録されていなかったと見られますが、北海道の迷惑防止条例も盗撮目的でカメラを設置するだけでアウトになる規定があります。

北海道 迷惑行為防止条例 第2条の2

何人も、正当な理由がないのに、次に掲げる行為をしてはならない。
第1号
公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
  1. 衣服等の上から、又は直接身体に触れること。
  2. 衣服等で覆われている身体若しくは下着をのぞき見し、又は映像面に衣服等を透かして身体若しくは下着の映像を表示する機能を有する機器を使用して当該映像を見ること。
  3. ア及びイに掲げるもののほか、卑わいな言動をすること(次号に掲げる行為を除く。)。
第2号
公共の場所若しくは公共の乗物又は集会場等(集会場、事務所、教室、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所及び乗物をいい、公共の場所及び公共の乗物を除く。第4号において同じ。)にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
  1. 衣服等で覆われている身体又は下着を撮影すること(次号に規定する状態の他人に対して行う場合を除く。)。
  2. アに掲げる行為をするため、写真機、ビデオカメラその他の撮影する機能を有する機器(次号及び第4号において「写真機等」という。)を向けること。
第3号
住居、浴場、便所、更衣室その他の人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(以下この号及び次号において「住居等」という。)における当該状態の他人の姿態を撮影し、又はこれを撮影するため写真機等を住居等における当該状態の他人に向けること。
第4号
公共の場所若しくは公共の乗物若しくは集会場等にいる者の衣服等で覆われている身体若しくは下着又は住居等における前号に規定する状態の他人の姿態を撮影するため、写真機等を設置すること。

この事件では現場が病院内の女子トイレですので第3号に該当していると考えられます。

これまでには実際に盗撮行為に及んだ証拠が確認できていないと見られますが、既に被疑者のPCやスマホも押収して調べているようですので保存されている盗撮データがあれば余罪として立件されるかもしれません。ただ、この事件でカメラが発見されてから今回逮捕されるまでは身柄が拘束されておらず、証拠を隠滅する機会や余裕はあったと思われますので何も出てこない可能性もあります。

余罪の証拠が出てきて別途事件化できれば違ってきますが、盗撮目的でトイレにカメラを仕掛けただけの事件であれば過去の事例からせいぜい10万円から20万円程度の罰金で済むのではないでしょうか。

愛媛県警、盗撮と下着窃盗の巡査部長を懲戒免職 児童ポルノ所持も

愛媛県警監察官室は11日、女性を盗撮したり下着を盗んだりしたとして警察署勤務の40代男性巡査部長を懲戒免職処分にしたと発表した。氏名や所属署名は「本人のプライバシーに関わる」として明らかにしていない。

監察官室によると、巡査部長は今年6月、東京都内の路上で歩いていた女性の背後から小型カメラで尻を盗撮した容疑で警視庁から取り調べを受けた。その後、同室の調べに対し、下着の窃盗や児童ポルノ所持などの容疑を認めた。11日、警視庁は盗撮について都迷惑防止条例違反容疑で東京区検に、県警は窃盗容疑などで松山地検に書類送検した。

窃盗の送検容疑は、2013年5月と14年2月、県内の知人女性宅のベランダに侵入して下着計3枚を盗んだほか、同年1月には勤務先の警察署で勤務中、留置中の人の所持品を保管するロッカーから留置者の下着1枚を盗んだとしている。ほかに今年6月、自宅で児童ポルノの映像と画像各1点を所持したとされる。

知人女性宅には12~14年に計12回住居侵入を繰り返していたことも判明。また、盗んだ下着は数時間所有し、その日のうちに元に戻すなどして発覚を逃れていた。巡査部長は「自己の性的欲求を満たすためだった」と供述しているという。

加藤泰首席監察官は「警察官として言語道断の行為で誠に遺憾。職員への職務倫理教養や身上把握を徹底する」とコメントした。
引用元 : 毎日新聞 2019年10月11日 17時34分配信

警察官による盗撮と児童ポルノ所持、おまけに下着窃盗という事件です。女性の背後から尻を撮影したという盗撮で捕まったことがきっかけで一連の余罪が発覚したようですが、正に数え役満とも言えるほど破廉恥罪を繰り返していたようです。

盗んだ下着はその日の内に元に戻して発覚しないようにしていたとのことで、これだけ性犯罪を繰り返していても強制わいせつや強姦のような重大犯罪が無いのは被害者に気付かれるような行為は避けていたからなのか、又は単に嗜好の方向性が違っていたからなのか、やったことがいずれも小悪党レベルのものばかりというのは趣があります。

一方で氏名等の公表をしていない理由が「本人のプライバシーに関わる」というものなのはいただけません。であるなら今後愛媛県警では盗撮や下着泥棒で逮捕した被疑者の氏名は本人のプライバシーに関わるので発表しないということなのでしょうか。そんなことは無いはずで、これでは身内を庇っている姿勢が露骨過ぎてよろしくないでしょう。

そもそも勤務時間外にやったことばかりならまだわからなくもありませんが、勤務先の警察署の留置場から留置者の下着を盗むということまでしています。警察官の単なる不祥事には留まらない、警察の信用を地に墜とすようなことをしていてもまだ庇うのかと感じざるを得ません。

なお、盗撮については東京都内で起こした事件のようなので警視庁と東京区検(東京地検)が、それ以外については愛媛県警と松山地検が処理していて別々に扱われているようで、お互いに影響が無いとは言えませんが全てひっくるめて処理されるよりは軽くなるのではと思われます。

東京都 迷惑防止条例 第5条 第1項

何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
  1. 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
  2. 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
    (イ) 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
    (ロ) 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
  3. 前2号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。

まず盗撮の方は、スカート内の下着などではなく服の上からお尻の辺りを撮ったものと見られますので、これだけだと不起訴になる可能性もそれなりにあるのではと思います。東京都の迷惑防止条例では背後からお尻の辺りを盗撮する行為として明記された規制は無いので「卑わいな言動」に当たると思われますが、この程度の内容なら示談等をせずとも不起訴はあり得ます。

窃盗や児童ポルノ所持などについては、特に前者は5年以上前の話ですのでさすがに本人の供述だけで送検はしないでしょうから何かしら物的な証拠があって立件には足るものと思われますが、逮捕はされておらず書類送検に留まっていることを見てもおそらく公判請求はされずに罰金で済むのではないでしょうか。

また、今回懲戒免職処分という社会的制裁を受けたという点も含めて考えると、盗撮については不起訴、下着窃盗や児童ポルノ所持などについては50万円程度の罰金といった刑事処分で決着するのではと思われます。

プール更衣室に複数カメラ 盗撮目的か 学習支援員の男を逮捕 大阪の府立高校で

先月、大阪の府立高校のプールの更衣室で、複数のカメラが見つかり、建造物侵入の疑いで学習支援員の男が逮捕された。

逮捕されたのは、大阪の府立高校の学習支援員だった男。警察によると、男は先月中旬、盗撮目的で高校のプールの更衣室に侵入した疑い。

高校などによると、先月17日、プールの更衣室で、複数のカメラを別の教員が見つけ、発覚した。男は、今年4月から障害がある生徒の介助をする学習支援員として、週5日働いていたという。

警察は男をすでに釈放していて、盗撮の疑いについて任意で捜査を進めている。
引用元 : 読売テレビ 2019年10月11日 19時11分配信

高校の学習支援員による盗撮目的の更衣室侵入事件です。ただし逮捕容疑は建造物侵入のみであり、盗撮目的でカメラを設置した行為や現に盗撮した行為での逮捕ではないようです。

また、高校のプールの更衣室とのことなので盗撮しようとしたら被害者は必然的に生徒となり、盗撮できていれば児童ポルノ製造という可能性もありますが、これについても触れられていないということは少なくとも今回更衣室で見つかったカメラでは盗撮できていなかったのではと考えられます。

既に釈放されているというのは、元々逮捕が建造物侵入のみだったので勾留するほどの事件ではないと判断されたのでしょうか。盗撮については任意で調べているとのことですが、大阪府の迷惑防止条例では盗撮目的でカメラを設置するだけで処罰の対象になるところ、今回の事件の現場が盗撮の規制場所の要件に該当していないのではとも思われます。

大阪府 迷惑防止条例 第6条

何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物において、衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること。
  2. 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影すること。
  3. みだりに、写真機等を使用して透かして見る方法により、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている人の身体又は下着の映像を見、又は撮影すること。
  4. 前三号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をすること。
第2項
何人も、みだりに、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所における当該状態にある人の姿態を撮影してはならない。
第3項
何人も、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、教室、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が出入りし、又は利用するような場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物を除く。)における衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影してはならない。
第4項
何人も、第一項第二号若しくは第三号又は前二項の規定による撮影の目的で、人に写真機等を向け、又は設置してはならない。

まず、盗撮目的でカメラを向けたり設置したりする行為については第4項で規定されており行為としてはアウトと判断できます。

しかし高校のプールの更衣室は公共の場所ではないと考えられますので、「公共の場所又は公共の乗物」に限定された第1項には該当しません。規制場所としての更衣室については第2項で規定されていますが、浴場やトイレ、更衣室等いずれも公衆が利用できる場所であることを前提にしていますので高校のプールの更衣室はこれに当たらず第2項にも該当しないと考えられます。

残るのは第3項で、これには教室という今回の現場と性格が似ている場所が想定されていますので第3項に該当する可能性はあるかもしれません。

更衣室なら盗撮の対象は第2項に規定されている「衣服の全部又は一部を着けない状態にある人の姿態」ではありますが、更衣室で盗撮しようとすれば「衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着」も対象になると思われますので、第3項の規定による撮影の目的でカメラを設置した疑い、という迷惑防止条例違反が今後追加されることはあり得ます。

一方、家宅捜索等により、これまでにも更衣室で盗撮を行っていて生徒を盗撮していた証拠が出てくるなどしたら児童ポルノの盗撮製造ということで一気に罪が重くなることでしょう。

もし今後の余罪捜査等で児童ポルノ禁止法違反となれば30万円から50万円の罰金、盗撮目的でカメラを設置した行為や建造物侵入までに留まれば10万円から20万円の罰金といったところではないでしょうか。

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