先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
ゴルフ場の更衣室、ハンガーフック型カメラで盗撮
福岡市東区にあるゴルフ場で、女性従業員用の更衣室にカメラを仕掛け盗撮したとして、このゴルフ場に出入りする業者の男が逮捕されました。
警察によりますと、福岡市東区の会社員(32)は8月、福岡市東区のゴルフ場で、女性従業員用の更衣室にハンガーフック型のカメラを仕掛け、女性従業員4人が着替える姿を盗撮した疑いがもたれています。
更衣室に新しいハンガーフックが設置されていることを不審に思った従業員がカメラを発見し、警察が捜査したところ、容疑者の関与が浮上しました。容疑者は、このゴルフ場の芝を管理する会社の社員で、施設には自由に立ち入ることができ、容疑を認めているということです。
警察は、余罪についても捜査する方針です。
引用元 : 九州朝日放送 2019年10月30日 12時30分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
カモフラージュカメラを使った更衣室での着替え盗撮事件です。ハンガーフック型のカモフラージュカメラを使っていたとのことで、確かに更衣室に仕掛ける物としてはハンガーフックなら壁などに付いていてもおかしくない物のように思えます。
しかし、更衣室を使う女性従業員の中に目敏い人がいたのでしょうか、ハンガーフックが新しく設置されていて不審に感じたことがきっかけでカメラが内蔵されていることがバレたようです。「女性従業員4人が着替える姿を盗撮した疑い」とされているので気付かずにカメラの前で着替えてしまった女性もいるようですが、全員の目は掻い潜れなかった模様です。
ハンガーフックなら更衣室の壁に付いていても不思議ではないように思える一方で、盗撮が目的ですので不自然じゃない位置ならどこでもいいわけではないでしょう。利用者が着替える場面をうまく収められる位置や向きにしなければならない条件があります。もしかすると、良いアングルを重視し過ぎてよく見ると不自然というような位置に仕掛けてしまっていたのかもしれません。
なお、この事件では現場がゴルフ場の女性従業員用の更衣室なので公共の場所と言えるかには疑問がありますが、福岡県の迷惑防止条例では更衣室や風呂、トイレなど脱衣する場所における盗撮の場合は公共の場所に限られませんのでこの事件では迷惑防止条例違反となります。
福岡県 迷惑行為防止条例 第6条
- 他人の身体に直接触れ、又は衣服その他の身に着ける物(以下この条において「衣服等」という。)の上から触れること。
- 前号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、正当な理由がないのに、前項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。
- 通常衣服で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着をのぞき見し、又は写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下この条において「写真機等」という。)を用いて撮影すること。
- 衣服等を透かして見ることができる機能を有する写真機等の当該機能を用いて、衣服等で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着の映像を見、又は撮影をすること。
- 前二号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。
何人も、正当な理由がないのに、第一項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。
- 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態をのぞき見し、又は写真機等を用いて撮影すること。
- 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。
この事件ではカメラがバレる前に盗撮された被害者がいるようですので第3項第1号に該当していると考えられます。
この被疑者に前科等があるのかどうかわかりませんが、被害者との示談ができれば不起訴の可能性もあるものの実際に盗撮されている被害者が4人とのことで全員と示談をするのは難しいように思えます。更衣室での着替えを狙った盗撮ということでスカート内盗撮などより悪質と判断される可能性もあり、30万円から50万円程度の罰金が科されるのではないでしょうか。
スカートにカメラ入れ盗撮… 28歳巡査長を免職 自宅から盗んだ女性の下着見つかる 北海道警
札幌市内の商業施設で10代の女性のスカートにカメラを入れ下着を撮影したり、女性の家に侵入し下着を盗んだりしたなどとして、北海道警察本部の28歳の男性巡査長が懲戒免職処分となりました。
懲戒免職処分となったのは、道警本部自動車警ら隊の28歳の男性巡査長です。
巡査長は2019年7月16日、札幌ステラプレイスで10代の女性のスカートにカメラを入れ、下着を撮影した疑いで逮捕されていました。巡査長はこの女性を含む4人に同様の行為をしていたこともわかり、自宅を捜索したところ、さらに女性の下着2点が見つかりました。
調べを進めた結果、巡査長は2017年3月に胆振管内の共同住宅に侵入し、女性の下着を盗んでいました。
道警監察官室の尾辻英一室長は「改めて被害者、道民の皆様に深くお詫び申し上げます。職員の指導・監督をさらに徹底し再発防止に努めてまいります」とコメントしています。
引用元 : UHB北海道文化放送 2019年10月30日 19時15分配信
警察官によるスカート内盗撮及び下着窃盗の事件です。まず先に盗撮の疑いで逮捕されていて、その捜査の過程で家宅捜索をしたところ女性の下着が見つかり盗んだものだということが判明したという芋づる式の余罪発覚です。
似たような事件を先月の記事で取り上げており、そちらもまず盗撮事件で捕まっていてその後下着の窃盗(と児童ポルノの所持)が発覚したもので、被疑者が警察官というところまで共通しています。下着の盗撮と下着そのものへの興味のどちらも持っているという警察官が多いのでしょうか。
盗撮の場合は下着自体には興味は無い、逆に下着泥棒の場合は映像には興味は無いということはたまに見聞きしますが、どちらにも興味があるというケースは(あり得ないとは言えませんが)珍しいように思えます。しかもそれで捕まっているのがどちらも警察官というのは何かしらの因縁すら感じさせます。
なお、この記事では盗撮と下着窃盗により懲戒免職処分になったことと、盗撮で逮捕されて刑事事件になっていることは確認できますが、下着窃盗について事件化されているのかどうかは判然としませんでした。しかし、他の報道によると下着窃盗についても追送検されているようで、いずれも事件化されていることが確認できました。
また、胆振地方に住む女性の自宅に忍び込み下着を盗んだ疑いも明らかになり、札幌区検に追送致されました。巡査長は、いずれの容疑も認めているということです。
引用元 : HBC北海道放送 2019年10月31日 12時11分配信
ただ、地検より軽微な事件を扱う区検に送られており、区検は簡裁事件を扱っているので盗撮に加えて窃盗があったとしてもおそらくは厳しくても罰金で済むのではないかと見込まれます。
下着窃盗については約2年半前の行為であり、懲戒免職という社会的制裁を受けていることも考えると被害者との示談や反省の態度次第では不起訴の可能性もあり、罰金だったとしても30万円から50万円程度になるのではないでしょうか。
宮城・七ヶ浜町の中学校で盗撮か 保護者会開かれる
10月に宮城県七ヶ浜町の中学校で女子トイレからビデオカメラが見つかり、警察が盗撮の疑いが強いと見て捜査を進めていることがわかりました。
警察と学校によりますと10月中旬、七ヶ浜町内の中学校で体育館の女子トイレの個室に家庭用のビデオカメラ1台が置いてあるのを女子生徒が見つけました。
その後、学校は警察にビデオカメラを提出して10月17日には生徒に事実を説明したということです。また中学校では1日夜、全学年の保護者を対象とした臨時の説明会が開かれました。
警察は何者かが盗撮目的でビデオカメラを置いた可能性が高いと見ていて、県の迷惑防止条例違反などの疑いで捜査を進めています。
引用元 : TBC東北放送 2019年11月2日 0時2分配信
中学校でのトイレ盗撮事件ですが、盗撮目的で設置されたと思われるビデオカメラが女子トイレから見つかったというだけで現在警察の捜査中でありまだ被疑者は捕まっていないようです。
まず疑われるのは教職員や生徒などの関係者でしょうか。部外者が侵入してトイレに仕掛けたという事例も無いでは無いですが、設置されていたのが家庭用のビデオカメラということは回収の必要もあるわけなので、設置と回収で少なくとも二度は侵入しなければならないリスクまで負う部外者よりは内部の関係者の可能性が高いのではと思われます。
中学校の女子トイレであれば勿論女子生徒を狙った盗撮と見られ、用を足す姿が映っていれば児童ポルノの製造ということになります。ただ、児童ポルノ禁止法違反の疑いについては触れられておらず、警察が「何者かが盗撮目的でビデオカメラを置いた」と表現するに留まっている点も踏まえるとそうした盗撮が成功する前に女子生徒にカメラを見つけられて盗撮には至っていないのかもしれません。
また、「迷惑防止条例違反など」とされているのは、部外者が侵入して設置した可能性もゼロではないので建造物侵入も視野に入れているためと思われます。
宮城県の迷惑防止条例でも盗撮目的でカメラ等を向けたり設置したりする盗撮準備行為が処罰の対象となっていますので、仮に今回トイレに設置されていたカメラで撮れていなくても盗撮目的と見られるということで迷惑防止条例違反の疑いとなります。
宮城県 迷惑防止条例 第3条の2
- 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。
- 人の下着又は身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)をのぞき見すること。
- 人の下着等を撮影し、又は撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を向け、若しくは設置すること。
- 前三号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、正当な理由がないのに、人の衣服等を透かして見ることのできる写真機等を用いて、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人の下着等を見、又は撮影してはならない。
何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
何人も、正当な理由がないのに、集会場、事務所、教室その他の特定かつ多数の者が利用するような場所において、人の下着等を撮影してはならない。
今回は現場が女子トイレですので第3項に該当していると考えられます。今回のケースも含めて第3項では現場が公衆トイレなどの公共の場所である必要はありません。
必ずしも盗撮できていない、児童ポルノの製造に当たらないとは現段階では言い切れませんが、これらがあるか無いかで捕まった時の刑事処分が変わってくるでしょう。盗撮できておらずカメラ設置としての迷惑防止条例違反と建造物侵入だけならせいぜい10万円から20万円程度の罰金と思われますが、女子生徒のトイレ盗撮ができていて児童ポルノ製造となれば罰金でも50万円くらいは科されるかもしれません。