先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
夜の歩道橋で背後から スカート内を盗撮した疑いで県職員を逮捕
群馬県警前橋署は3日までに、県迷惑行為防止条例違反の疑いで、高崎市浜川町、県職員の男(32)を現行犯逮捕した。
逮捕容疑は2日午後6時20分ごろ、前橋市内の歩道橋で階段を上っていた中毛地域居住の女子高校生(17)に後ろから近づき、スカート内にスマートフォンを差し入れ、動画を撮影した疑い。
同署によると、容疑を認めている。近くにいた通行人の男性が、ライトをつけたスマホをスカート内に差し入れているのに気付き、別の通行人が110番通報した。男は「他にも数件の盗撮をした」と話しているといい、同署が調べている。
男は伊勢崎地区農業指導センターに勤務している。取材に対し、県人事課は「事実関係を確認し、厳正に対処したい」としている。
引用元 : 上毛新聞 2021年11月4日 6時8分配信
農業指導センターに勤めている公務員による女子高生のスカート内盗撮事件です。階段を上っていた女子高生の背後からスマホでスカート内を盗撮していたところ通行人に気付かれて取り押さえられた模様です。
犯行に及んだ午後6時20分頃は11月ともなると既に暗くなっていてスマホで盗撮するにはライトを点ける必要があったのでしょうが、路上でスマホのライトを点けていれば当然目立ってしまいます。女子高生の後方でそんな状態になっていれば誰が見ても不審ですので、目撃したという通行人が怪しんで見ていたら案の定盗撮に及んだといった感じなのでしょうか。
盗撮の手口や状況などは盗撮事件としては珍しいものではありませんが、他にも余罪がありそうですのでそれらの裏付けまでできるかどうかによって処分は変わってくると思われます。今回逮捕された事件のみであれば厳しくても罰金30万円程度、被害者との示談ができれば不起訴もあり得るのではと思います。
公務員とはいえ教員ではないので懲戒処分があっても免職までには至らないと思われますが、自ら依願退職するという形で職を失う事はあるかもしれません。
「内申点を加算」とだまし女子生徒10人の着替え盗撮、元中学教諭に執行猶予付き判決
千葉県内の中学校で教え子の着替えを盗撮したとして、準強制わいせつ罪と児童買春・児童ポルノ禁止法違反などに問われた公立中学校元教諭の男(懲戒免職)に対し、千葉地裁は4日、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役3年6月)の判決を言い渡した。公判は被害者の特定を避けるためとして、匿名で審理された。
判決によると、男は昨年7~12月、複数回にわたって女子生徒計10人に対し、「制服の採寸に協力すれば内申点が加算される」「水着の写真を送ればお金がもらえる」などと言って着替えさせ、その様子をカメラで盗撮するなどした。片岡理知裁判官は「(生徒が)あらがえないうそを用いて犯行に及んでおり、非難の程度は高い」と述べた。
引用元 : 読売新聞 2021年11月5日 7時47分配信
内申点を加算すると嘘を吐いて女子生徒を着替えさせてその様子を盗撮していたという中学校教員の事件の続報で、起訴されてから行われていた裁判は前回までで結審しており、今回判決が出たようです。求刑で懲役3年6月という微妙なラインでしたが、判決では懲役3年となってギリギリ執行猶予が付くところまで落ちたようです。
執行猶予が付く場合は懲役刑の部分は求刑から変わらない事が多いので求刑の懲役3年6月のままだと執行猶予が付かない事になります。懲役3年まで落とした上で更に執行猶予を付けるか、懲役2年から2年6月程度まで落として執行猶予を付けないかの瀬戸際だったと思われますが、今回は前者だったようで被告人にとっては首の皮1枚で救われたといったところでしょうか。
判決によれば被害者の女子生徒も1人2人ではなく計10人との事なのでかなり多いと言えます。その上で女子生徒が断りづらい嘘を吐いて着替えさせ盗撮していた事は相当厳しく見られているようなのでこれで執行猶予が付いているのは随分と寛大な判決のように思われます。
既に懲戒免職となっているようですので同じように教員の立場を悪用した盗撮等をする事はできなくなっていますが、これに懲りていないと今後もトイレ等で児童を狙った盗撮を繰り返し次は服役する事になりかねません。
「盗撮目的だった」女子トイレに侵入の海上自衛隊員を現行犯逮捕
佐世保市内の女子トイレに盗撮目的で侵入したとして、4日、海上自衛隊の護衛艦の乗組員の男が、警察に現行犯逮捕されました。
建造物侵入の現行犯で逮捕されたのは、佐世保を母港とする護衛艦「じんつう」の一等海曹(37)です。
容疑者は4日午後10時半ごろ、JR佐世保駅にある女子トイレに侵入し、出てきたところを警戒中の警察官から逮捕されました。このトイレでは、これまでに数回「不審者が侵入している」などの相談が警察に寄せられていました。
容疑者は盗撮目的だったと供述していて、スマートフォンを使って撮影をしようとしていたとみられています。警察は容疑者の関与や余罪などについて調べています。
引用元 : テレビ長崎 2021年11月5日 12時9分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
自衛官による盗撮目的でのトイレ侵入事件です。逮捕容疑は建造物侵入のみで、盗撮目的だった事は本人が認めているようですが、実際に盗撮行為に及んでいたのか、或いは盗撮目的でスマホを向けたり設置したりする盗撮準備行為に及んでいたのかといった点についてはこれから調べるとの事です。
駅のトイレへ侵入して出てきたところを警察官に取り押さえられたとの事ですが、不審者が侵入しているという警察への相談が何度かあったようなので警察官が張り込んでいたところ被疑者がまんまと引っかかったという感じでしょうか。何度も同じ女子トイレへ侵入していては怪しまれてこうなる事は想像できそうなものですが…。
今回は被疑者が盗撮目的で侵入していた事を認めていて建造物侵入のみでの逮捕に留まっていますが、実際に盗撮していたのかどうかも今後調べられるかと思われます。長崎県の迷惑防止条例ではトイレでの盗撮行為は勿論、盗撮目的でカメラやスマホを向けたり設置したりする盗撮準備行為が処罰の対象になっていますのでいずれか裏付けができれば迷惑防止条例違反も追加されるのではないでしょうか。
長崎県 迷惑行為等防止条例 第3条
- 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接人の身体に触れること。
- 衣服等で覆われている人の下着又は身体をのぞき見し、又は撮影すること。
- 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗っている人に対し、みだりに、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を使用して、衣服等を透かして見る方法により、衣服等で覆われている人の下着又は身体の映像を見、又は撮影してはならない。
何人も、みだりに、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所に当該状態でいる人の姿態をのぞき見し、又は撮影してはならない。
何人も、みだりに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、教室、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が出入りし、又は利用するような場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物を除く。)における衣服等で覆われている人の下着又は身体をのぞき見し、又は撮影してはならない。
何人も、第1項第2号又は前3項の撮影の目的で、人に写真機等を向け、又は設置してはならない。
盗撮データが確認されるなどして盗撮行為が裏付けられれば第3項、それができなくても盗撮準備行為が確認されれば第5項に該当するという事になると考えられます。
迷惑防止条例違反が追加されれば30万円から50万円程度の罰金といったところかと思われますが、このまま建造物侵入のみだと罰金の上限額が低く初犯なら公判請求されそうにも思えませんので不起訴となる可能性もあるかもしれません。