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ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(11月11日~11月17日)

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先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

高校でスカート内盗撮、教員を懲戒免職 被害生徒「かなりの人数に」

栃木県教委は12日、勤務する日光市の県立高で数年間にわたり、複数の女子生徒のスカート内を盗撮していたとして、同校の男性実習助手(42)を懲戒免職処分にしたと発表した。県教委は被害生徒数について「かなりの人数になるとみられる」としている。ただ、男性実習助手の氏名については「被害生徒と保護者の意向」などを理由に公表していない。

県教委によると、男性実習助手は2010年度に採用され、継続して同校に勤務していた。小型カメラを仕込んだ靴を生徒のスカート下に忍び込ませるなどの手口で、授業中や放課後に盗撮を繰り返していたという。

先月下旬、校内で左足の靴先を生徒のスカート下に入れるような男性実習助手の動きを別の生徒が発見し、学校に相談した。県教委や同校の調査に対し、男性実習助手は「興味本位だった。データはパソコンなどに保存していた」などと盗撮行為を認めた。現時点でデータの流出は確認されていないという。県警が県迷惑防止条例違反などの疑いで任意捜査を進めている。

実習助手は、実習の際に教諭を補佐する職位。この男性実習助手は教員免許を所持していたとみられるが、免許がなくても就くことができるという。

荒川政利(あらかわまさとし)県教育長は「本県学校教育に対する信頼を大きく損なうもので、痛恨の極み。被害に遭った生徒や保護者、そして県民の皆さまに心からおわび申し上げる」とのコメントを出した。
引用元 : 下野新聞 2019年11月13日 11時51分配信

前回の記事で取り上げていた高校の教員による学校内での靴カメ盗撮事件の続報です。「複数回」という表現で収まるような頻度だったのか疑問があると述べていましたが、案の定そんなものではなかったようで「かなりの人数」の女子生徒が盗撮被害に遭っていたと見られます。

期間についても少し明らかにされており、2010年度からこの高校に勤めていたようで数年前から盗撮を繰り返していたと本人が認めていますので長く見積もると約9年間学校内での盗撮を続けていたことになるでしょうか。勿論初年度からやっていたとは限らないのでここ2,3年の話かもしれませんが、もはや「複数回」と言えない程度には常習的に盗撮していたと思われます。

そのために実習助手になったのではないかと言われてもおかしくない内容で、これは懲戒免職処分も止む無しでしょう。逮捕されていても不思議ではない事件ですが、身柄を拘束せず任意捜査にしているのは、盗撮したデータが保存されているPC等の証拠類は全て押さえていて罪証隠滅や逃亡の可能性が無いと見ているのでしょうか。

逮捕されておらず「被害生徒と保護者の意向」ということで氏名の公表もありませんが、捜査が終結する前に懲戒免職を決めている点を見ると生徒や保護者の処罰感情はあると見られ、穏便に済まされることは無さそうに思えます。

現場が学校だということは盗撮したデータから被害者を特定することが比較的容易と思われますので、もしかすると公訴時効を迎えていない直近3年間の盗撮について裏付けを取って立件するということもあるかもしれません。実際にどれだけやっていたのかという頻度にもよりますが常習盗撮を視野に入れている可能性もあるでしょうか。

栃木県 迷惑防止条例 第9条

第三条又は第七条第一項若しくは第二項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第2項
常習として第三条又は第七条第一項若しくは第二項の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

この教員が初犯ならさすがに公判請求までは無いでしょうが、もし常習盗撮ということになれば罰金でも50万円を超えてくることがあるかもしれません。盗撮したデータをどの程度証拠として押さえているのか、そこから盗撮行為の裏付けと被害者の特定がどれだけできるか、そうした点で処分が多少変わってくると思われます。

桐生信金支店長が女子トイレで盗撮の疑い「用を足す姿撮りたかった」 群馬

勤務先の女子トイレに盗撮目的で侵入したとして、群馬県警伊勢崎署は12日、建造物侵入の疑いで、桐生信用金庫国定支店長(51)=同県桐生市=を逮捕した。「女性が用を足す姿を撮りたかった」と容疑を認めている。

逮捕容疑は今月上旬、同県伊勢崎市国定町の国定支店の女子トイレの個室内に盗撮目的で侵入したとしている。

同署によると、女性職員が今月7日、個室内に小型カメラがあることに気付き、本店が調査。容疑者がカメラを設置したことを認めたため、同署に相談したという。

桐生信用金庫は「ご心配、ご迷惑をお掛けしたことを心よりおわびする。役職員一人一人の生活態度や行動を見直すように徹底する」とコメント。容疑者については「捜査の結果や事実関係の調査に基づき、厳正な処分を検討する」としている。
引用元 : 産経新聞 2019年11月13日 14時25分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

信用金庫の支店長によるトイレ盗撮事件ですが、トイレに仕掛けられたカメラによって実際に盗撮された被害者の有無は明らかになっておらず、今のところ逮捕容疑は盗撮目的で女子トイレに立ち入ったという建造物侵入のみに留まっています。

支店長にまでなったのにこんなことを…と感じますが、支店内の女子トイレにカメラを仕掛けていたのは好みの女性職員でもいたということなのでしょうか。しかし、お目当ての女性職員だったのか、又は別の女性職員だったのかはわかりませんが仕掛けていたカメラを見つけられてお縄となった模様です。

群馬県の迷惑防止条例ではトイレ盗撮を処罰するための規定は勿論あるものの、風呂やトイレの盗撮においては盗撮目的でのカメラ設置という盗撮準備行為を処罰できる規定が無く、要するに現に盗撮された被害者がいなければ迷惑防止条例違反に該当しないと思われます。

群馬県 迷惑防止条例 第2条の3

何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人に対し、みだりに、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 人の身体に、衣服その他の身に付ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接、触れること。
  2. 衣服等で覆われている人の下着若しくは身体をのぞき見し、若しくは撮影し、又はこれらの行為をしようとして、鏡、写真機等を衣服等の下に差し出し、置くなどすること。
  3. 写真機等を使用して透視する方法により、衣服等で覆われている人の下着又は身体の映像を見、又は撮影すること。
  4. 前各号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
第2項
何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣場、便所その他通常人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所において当該状態でいる人の姿態を、のぞき見し、又は撮影してはならない。

公共の場所におけるスカート内盗撮等であれば実際に撮らなくてもカメラなどを向けたり設置したりする行為が第1項第2号によって禁止されていますが、風呂や更衣室、トイレなどにおける盗撮に関する第2項ではそうした規定がありません。つまり盗撮目的でトイレにカメラを仕掛けても盗撮された人がいなければ迷惑防止条例違反ではないということになります。

この事件においては公共の場所ではないと考えられる信用金庫支店の女子トイレが現場なのであり得るとしたら第2項への該当ですが、仕掛けられていたカメラを押さえた上で被疑者が仕掛けたことを認めてから警察へ相談しているのに建造物侵入での逮捕に留まっているということは誰かが盗撮される前にカメラが発見されて誰も撮られていなかったということなのかもしれません。

もしそういうことでならば、被疑者に前科等が無ければ公判請求はされないでしょうから罰金の上限でも10万円、実は盗撮被害者がいて今後迷惑防止条例違反が追加されるとしたら30万円からの罰金で決着するのではないでしょうか。

「衝動的に盗撮した」男性教諭を免職処分 不祥事多発で臨時校長会議開催へ 浜松市

浜松市教育委員会は14日、女性のスカートの中を盗撮したとして、市立小学校の男性教諭(50)を13日付で懲戒免職処分にしたと発表した。今年度の教諭の懲戒処分は5件目。不祥事多発を受け、市教委は18日に市立小中高校の臨時校長会議を開くことを決めた。

市教委によると、男性教諭は休日の10月13日午前10時ごろ、名古屋駅に隣接する駅ビルのエスカレーターで、女性のスカート内をスマートフォンで動画撮影したとしている。警備員に取り押さえられ、愛知県警中村署で事情聴取を受けたが、申告しなかった。今月8日に同県迷惑行為防止条例違反(盗撮)容疑で勤務校と自宅の捜索を受けた。

教諭は市教委に対し盗撮を認め、「3~4年前から衝動的に盗撮をしていた。いろいろなストレスがあった」などと説明しているという。

10月31日付で市立中学校の男性教諭(29)も男子トイレを盗撮したとして懲戒免職処分になったばかり。14日の記者会見で、花井和徳教育長は「盗撮が2件続き、ひょっとしたら『うちの学校の先生も(盗撮している)』という疑念がわいてしまうことを大変心配している」と語った。
引用元 : 毎日新聞 2019年11月15日 12時5分配信

小学校の教員によるスカート内盗撮事件です。学校内での盗撮ではなく勤務時間外に駅ビルで犯行に及んだものですが懲戒処分としては免職ということになっていて、公務員の中でも教員の不祥事に対する処分が特に厳しいことを物語っています。

盗撮事件の内容としては、駅ビルのエスカレーターでスマホを使って盗撮したというスマホ君の定番パターンなので特に珍しい点はありません。動機に関してもストレスが云々というお定まりの供述です。しかし、盗撮で捕まったことを勤務先の学校に申告していなかったようで、もしかするとこの辺りは多少問題視されているのかもしれません。

教員でなくとも、又は盗撮でなくとも、自分が警察の厄介になったことは誰しも隠せるものなら隠し通したいでしょうから逮捕されずに在宅捜査となって帰されればその後もどうにか取り繕うことはできると思います。取り調べ等で出頭する時間さえ作れれば最終的には罰金を納付して終わり、他人に知られずに済むこともあるでしょう。

ところがこの事件では勤務先の学校に対する家宅捜索も行われたようで、おそらくはその際に学校が知るところとなったのではないでしょうか。事前に連絡があっても当日突然行われたとしても捜索差押許可状が示されるはずですので、この被疑者が捕まったことを学校に申告していなかったとしてもその件で捜索に来たということが伝わったと思われます。

知られずに済むなら黙っておきたい気持ちは理解できますが、学校側としては学校にまで警察が捜索に入る程の事件と捉えるでしょうからそれを黙っていたのは如何なものかとなるかもしれません。場合によっては捕まったことを事前に申告していれば免職にまでは至らなかった可能性もあるのではないでしょうか。

なお、上述の通り盗撮事件としては報道されている限りでは特に悪質という内容でもないので、既に懲戒免職という社会的制裁を受けていることを踏まえると被害者との示談等ができなくても不起訴はあり得るかもしれません。厳しくても罰金30万円というところではないでしょうか。

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