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ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(11月13日~11月19日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

住宅、学校、会社、カラオケボックスも「盗撮」取り締まり 範囲拡大、東京都条例改正案

警視庁は盗撮行為として取り締まることができる場所を一般住宅や学校、会社などにまで拡大する東京都迷惑防止条例改正案の概要を公表した。24日までパブリックコメント(意見公募)を求める。来年2月開会の都議会定例会に提出し、同年7月の施行を目指す。

生活安全総務課によると、スマートフォンの普及などにより多発していた公共の場所や乗り物以外での盗撮を取り締まるのが狙い。従来は軽犯罪法違反や建造物侵入の容疑で摘発してきたが、罰則が軽かったり、適用できなかったりするケースがあった。

現行条例は盗撮の適用場所を公衆便所や公衆浴場のほか、道路や商業施設、電車など「公共の場所もしくは公共の乗り物」と規定している。改正案では学校や会社、カラオケボックスの個室、タクシーなど「不特定または多数の人が入れ代わり立ち代わり利用する場所・乗り物」や、一般の住宅にまで拡大する。
引用元 : 産経新聞 2017年11月13日 14時56分配信

東京都の迷惑防止条例では盗撮を処罰するための規定が、場所や行為の定義、そして罰則において比較的厳しくされていますが、条例改正が予定されていて規制場所が拡大されるようです。

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(略称「迷惑防止条例」)の一部を改正する条例案に関する意見募集について

盗撮に関しては迷惑防止条例の規制対象外となる場所で行われたことで条例違反が適用できなかったと見られるケースはこれまでの記事でも何度か取り上げていますが、大阪府での条例改正に触れた記事にもあるように建造物侵入や軽犯罪法違反などに留まってしまっていた事件も迷惑防止条例違反として検挙できるようになるでしょう。

東京都 迷惑防止条例 第5条 第1項 第2号

公衆便所、公衆浴場、公衆が使用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいる場所又は公共の場所若しくは公共の乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。

現行の条例は上記のようになっていますが、規制場所については長く規定しているもののいずれも頭に「公衆」「公共」と付いており、要するに今は誰でも自由に出入りできる場所に限って盗撮行為が規制されている状況です。

今回の条例改正では「不特定または多数の人が入れ替わり立ち替わり利用する場所・乗物」や一般の住宅などいわゆる公共の場所ではない場所も規制対象に加えるというものですが、これに近いものをすでに施行している自治体もあるので規制場所については東京都はやや他に後れを取っている形でした。

大阪府 迷惑防止条例 第6条 第3項

何人も、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、教室、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が出入りし、又は利用するような場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物を除く。)における衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影してはならない。

条例によって規制される場所や行為が厳しく拡大されていく傾向にあるところ、もしかすると今後は罰則をさらに強化するケースも出てくるかもしれません。

ちなみに「不特定または多数」という表現は、公然わいせつや名誉毀損などの話でも触れられることがありますが1つのポイントになります。

一般的に使われることがより多い「不特定多数」という言葉は「不特定かつ多数」という意味なので法律の話になると該当する場面は限定されてきますが、「不特定または多数」では不特定か多数のいずれかに当てはまれば良いのでこれは比較的カジュアルに遭遇します。

この表現で1人1人の顔もわからない群衆などをイメージすると解釈を誤りますので注意が必要です。

録画機能付き眼鏡で女児を盗撮 男に懲役1年判決 群馬

録画機能付き眼鏡で女児の着替えを盗撮したとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた埼玉県神川町の無職被告(34)の判決公判が13日、前橋地裁で開かれ、高橋貞幹裁判官は懲役1年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。

判決理由で高橋裁判官は「盗撮用眼鏡を用意するなど、計画的かつ巧妙な犯行」と非難。平成25年に児童2人を連れ出したとして逮捕、有罪判決を受けて執行猶予期間中に犯行に及んでおり、「常習性があり責任は重く、相応の実刑は免れない」と指摘した。
引用元 : 産経新聞 2017年11月14日 7時55分配信
※被告人の氏名部分を修正しております。

前々回の記事も含めこれまでに何度か取り上げていたメガネ型カメラによる盗撮事件ですが、判決が言い渡されたようで案の定実刑でした。

鞄や靴に小型カメラを仕込んで盗撮しようが、あるいはメガネ型カメラやスマホで盗撮しようが、その場の思い付きでやったのではない限りどれも「計画的かつ巧妙」なのでメガネ型カメラの使用をことさら強調する必要は個人的にはあまり感じません。

ただ、一般的には珍しいタイプのカメラを使った盗撮(実態は児童ポルノの製造ですが)で実刑までに至る事件となるとしつこく報道されるのは仕方ないようにも思います。


なお、この記事では前回の執行猶予付き有罪判決に係る未成年者誘拐に関することにも軽く触れられています。

おそらく今後、前回の執行猶予も取り消されると見られますので二刑持ちとして長い懲役に行くことになるでしょうか。

県立甲府東高の女子トイレに盗撮目的?カメラ

県教委は14日、県立甲府東高校(甲府市酒折)の南館1階の女子トイレで今月7日、小型カメラが見つかったと発表した。

同校は8日に甲府署に通報。同署は盗撮目的の疑いもあるとみて、捜査を続けている。

県教委によると、7日午後の清掃時に、当番の女子生徒がトイレ個室の汚物入れの袋に、接着剤で固定された2センチ四方のカメラを見つけたという。生徒の報告を受け、他のトイレも確認したが、異常はなかったという。同校は教職員による巡回の回数を増やしたほか、8日には緊急全校集会で生徒に説明した。今後、保護者にも説明する方針だ。

県教委は14日、「カメラ設置は盗撮目的の可能性が否定できない」(高校教育課)として、特別支援学校を含む39校に巡回態勢の強化を通知した。
引用元 : 産経新聞 2017年11月15日 7時5分配信

「カメラ設置は盗撮目的の可能性が否定できない」との県教委のコメントですが、高校の女子トイレの汚物入れに小型カメラを仕込むのは盗撮目的と見て間違いないでしょう。

以前の記事で取り上げていた事件でも2センチ四方の小型カメラが盗撮に使用されており、安価で購入できるカメラでも小型化・高性能化が進んでいることが窺えます。


現在捜査中なので誰が仕掛けたのかはまだわからないようですが、生徒や教職員など学内の関係者の可能性が高いように思います。

部外者が侵入して仕掛けた可能性も無くはありませんが、無線等で映像を外に飛ばすのでない限り仕掛けたからには回収する必要があるわけで、校内への侵入自体にリスクがある部外者が設置と回収で少なくとも2回出入りするというのは厳しいのではないでしょうか。

なお、山梨県の迷惑防止条例では盗撮の規制が公共の場所に限定されています。

山梨県 迷惑防止条例 第3条

何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 公共の場所又は公共の乗物において、人の性的羞恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような方法で、衣服その他の身に着ける物(以下この条において「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。
  2. 人の性的羞恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物にいる人の衣服等で覆われている下着又は身体をのぞき見、又はその映像を記録すること(次号に規定する方法により行われる場合及び第四号に規定する場所にいる人に対して行われる場合を除く。)。
  3. 正当な理由がないのに、写真機、ビデオカメラ等を使用して衣服等を透かして見る方法により、公共の場所又は公共の乗物にいる人の衣服等で覆われている下着又は身体を見、又はその映像を記録すること。
  4. 正当な理由がないのに、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所の人の姿態をのぞき見、又はその映像を記録すること。
  5. 前各号に掲げるもののほか、公共の場所又は公共の乗物において、通行人、入場者、乗客等の公衆に対し、人の性的羞恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をすること。

学校内の女子トイレにおける盗撮では上記のいずれにも該当しないと見られますので、今後検挙されるとしても軽犯罪法違反や建造物侵入に留まるのではと思われます。

「今、盗撮しようとしたよね」 警察官かたり現金要求の38歳男を逮捕

警察官をかたって男性から現金を脅し取ろうとしたとして、埼玉県警越谷署は16日、恐喝未遂の疑いで、同県春日部市大沼の会社員(38)を現行犯逮捕したと発表した。「男性が女性を盗撮していたので、カネを取れると思った」と容疑を認めているという。

逮捕容疑は15日、越谷市の東武伊勢崎線新越谷駅構内で、エスカレーターを使っていた越谷市の自営業男性(20)に「今、盗撮しようとしたよね」「非番の警察官なんだけど、大事(おおごと)にしたくなければ分かるよね」などと話し、現金を脅し取ろうとしたとしている。

男性が県警のけいさつ総合相談センターに通報、現場に駆けつけた越谷署員が容疑者を逮捕した。
引用元 : 産経新聞 2017年11月16日 19時51分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

一見すると盗撮ハンターの手口のようですが、専業のハンターのようにターゲットを探していたのではなく偶然盗撮の現場に遭遇して思い付きで恐喝に及んだような形でしょうか。

非番の警察官を騙ったり、今どきチンピラヤクザでもやらないような強請りの言動など、専業のハンターと比較すると恐喝のやり方が非常に雑なのでこれではうまくいかないだろうと感じます。

さらに、盗撮した(?)男性がけいさつ総合相談センターに通報し、(本物の)警察官が現場に駆け付けたという状況を見る限りでは、恐喝しながらも相手がどこかへ電話する余地を残していたということでしょうか。

また、「男性が女性を盗撮していた」とは供述していますが「今、盗撮しようとしたよね」ということは、盗撮した瞬間も含め盗撮したかどうか未確認のまま、挙動だけで脅せると思って恐喝に及んだのではとも感じてしまいます。

記事には書かれていませんが、盗撮していない、または盗撮しようとして止めた男性に対して強気に出たところ、警察官を騙った嘘なども見抜かれ状況をひっくり返された末に通報されたというものなのかもしれません。

男性が実際に盗撮したのかどうかもやや気になりますが、記事の中ではそれを窺わせる表現が一切無く、男性が盗撮の件で調べを受けたというようなことも書かれていません。

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