先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
着替え中の10歳、9歳女児を盗撮 容疑で男を逮捕
福岡県警宗像署は14日、北九州市八幡東区春の町5丁目、自称大工の男(45)を、児童買春・ポルノ禁止法違反(盗撮による児童ポルノ製造)容疑で逮捕した。
調べでは、男は今年7月24日午後、福岡県芦屋町内の駐車場付近で、着替えをしていた、当時10歳と9歳の女児2人を、こっそりデジタルカメラで盗撮し、児童ポルノを製造した疑い。
引用元 : 西日本新聞 2016年11月14日 10時52分配信
こちらの記事で挙げていた、児童ポルノの製造として児童ポルノ禁止法違反に該当するケースです。被害者が10歳と9歳の女子児童とのことで、着替えをしていたということは少なくとも衣服の一部を着けていない状態を撮影していたと見られますので児童ポルノの定義に合致します。
「駐車場付近で着替え」という表現がやや気になりますが、野外で着替えをしていたのでしょうか。また、スマホのカメラならともかく昨今デジカメを持ち歩くというのも珍しい気がします。たまたま女子児童の着替えが見れたところにたまたまデジカメを持って通りかかった、という事情ではないのかもしれません。
盗撮による児童ポルノ製造と強調されている点については先般の法改正によって新設された項目です。
児童ポルノ禁止法 第7条 第5項
ひそかに描写することにより、とされていますが、これで挙げられている第二条第三項各号とはこちらの記事に掲載している児童ポルノの定義なので新設されたとはいっても単に児童ポルノの製造方法に関わる規定です。
児童ポルノの定義に合致しなければ製造方法が盗撮だろうが何だろうがこの法律で罰することはできませんので、例えば小学生の女子児童のスカート内を逆さ撮りした画像や映像でも児童ポルノではないとされるのはいかがなものかと感じます。
電車内で盗撮 神戸市立小学校の教頭を逮捕
神戸市の公立小学校に勤務する教頭が、スマートフォンを使って電車内で女性のスカートの中を盗撮した疑いで逮捕されました。
迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されたのは、神戸市立福池小学校の教頭(55)です。
警察によると、容疑者は、17日午前7時前、JR尼崎駅から芦屋駅の間を走る電車内で、前に座っていた会社員の女性(23)のスカートの中をスマートフォンを使って13分間にわたり動画で撮影した疑いがもたれています。
同じ車両にいた車掌が盗撮に気付き容疑者を取り押さえました。
容疑者は通勤中だったと話していて、容疑を認めているということです。
神戸市教育委員会は「事実であれば大変残念。詳細が確認でき次第厳正に対処したい」とコメントしています。
引用元 : 関西テレビ 2016年11月18日 12時15分 配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
電車内で前に座っていた女性のスカート内を撮影したとのことなので、おそらく脚を少し開いていて下着が見えていたとか、短いタイトスカートなどで脚を閉じていても下着が見えていたとか、そういった状況ではないかと見られます。
記事からでは電車の混雑状況がわかりませんが、車掌が気づく前に周囲の乗客、特に女性の左右の人が気づくことはなかったのだろうかと感じます。朝の通勤時間帯なので寝ていたのかもしれませんが。
他の報道では10分以上撮影していたという点が強調されたりしていますが、エスカレーターのような短い時間に限定されるような場所でなければ盗撮が長時間化するのは珍しいことではありません。鞄や靴に小型カメラを隠し入れるなど見つかりにくい方法でキリの良いところまで続けようと考えれば10分以上というのはザラにあるケースです。
女子トイレ「盗撮目的」 小学校教諭逮捕
カメラを隠し置くために自らが勤務する小学校の女子トイレに入ったとして、山形県警鶴岡署は19日、同県鶴岡市淀川町、小学校教諭(25)を建造物侵入容疑で逮捕した。容疑者は「盗撮目的だった」と容疑を認めているという。
容疑は、15日午前6時40分ごろから同日午後1時半ごろまでの間に、勤務する同市立小の児童用女子トイレに正当な理由なく侵入したとしている。
同署によると、女子児童が18日、トイレ個室内にガムテープでくるまれ張り付けられた不審な物があるのを発見。他の教諭がはがして持ち出そうとしたところ、容疑者が現れ、自分の物だと話したという。中からカメラが出てきたため校長が同署に通報した。
毎日新聞の取材に対して校長は「子供を守るべき職員が逮捕されるというあってはならないことで、子供や保護者に申し訳ない。子供たちが通常の学校生活に早く戻れるよう取り組みたい」と話した。
引用元 : 毎日新聞 2016年11月19日 11時38分 配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
盗撮目的でトイレに立ち入ったことによる建造物侵入ですが、小学校の女子トイレは誰でも入れる「公共の場所」ではないことから迷惑防止条例違反は適用されていないようです。ただ、山形県の迷惑防止条例を確認してみると、他の都道府県にあるようなカメラを向けたり設置したりする行為そのものを罰する規定が見当たらないので、それで迷惑防止条例違反にはならないのかもしれません。
山形県 迷惑行為防止条例 第3条
- 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。
- 衣服等で覆われている人の下着又は身体をのぞき見し、又は撮影すること。
- 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、正当な理由がないのに、公衆が利用することができる浴場、便所、更衣場その他公衆が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所において当該状態でいる人の姿態をのぞき見し、又は撮影してはならない。
また、トイレの個室内にガムテープで包まれて貼り付けられたものを見つけたら子どもでも不審に感じると思いますが、当の本人はうまくカモフラージュできたと考えていたのかもしれません。
盗撮において鞄や靴に小型カメラ等を隠し入れる場合でも当然レンズは出さないと撮影できないわけですから、盗撮する人は皆その辺りのカモフラージュに腐心するわけです。しかし、その出来ばえについて客観的に評価してもらったり改善意見を求めたりといったことは普通できませんので、どうしても主観的な評価に基づいた出来ばえにならざるを得ません。
自分ではうまくカモフラージュできたと思っていても、こういったものは得てして客観的に見るとバレバレだったり明らかに不自然だったりすることがあるものです。ガムテープで包まれているものがある日突然置かれていたらどう見ても不自然ですが、不自然とは考えられないほど頭に血が上っていたのかもしれません。
現場が児童用女子トイレということは盗撮に成功していれば児童ポルノの製造による児童ポルノ禁止法違反にも該当することになりますが、それがないということは一度も成功しなかったのかもしれません。女子児童から見てもそれだけ不自然だったのでしょう。