先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
カメラ付きペンをドアポストに差し込み盗撮容疑 男逮捕
小型カメラ付きボールペンで女性の居室内を盗撮したとして、茨城県警つくば署は30日、つくば市の大学院生の男(26)を県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕し、発表した。容疑を認めているという。
署によると、大学院生は21日午後8時45分ごろ、小型カメラが付いた約15センチのボールペンを、20代女性の自宅のドアポストに差し込み、輪ゴムを使って固定して、居室内の女性の様子を録画した疑いがある。23日午後6時50分ごろ、別の30代女性宅で、ドアポスト内に置かれたペンに女性が気づき、同署に相談して発覚した。カメラの映像データを調べたところ、30代女性のほか20代女性の被害も判明したという。
署によると、カメラの映像に、ペンを設置する男の姿が映っていたことなどから、大学院生が容疑者として浮上したという。大学院生と女性2人の間に面識はなく、同署は、後日ボールペンを抜き取って回収していたとみて調べている。
引用元 : 朝日新聞 2020年11月30日 22時36分配信
ドアポストからペン型のカモフラージュカメラを差し込んで部屋の中を盗撮したという事件です。冒頭では盗撮したのは居室内とされていますが逮捕容疑は迷惑防止条例違反であり、実際は居室内の被害者女性の様子を盗撮していたという事のようです。
集合住宅では玄関のドアを開けると居住空間が見える間取りになっている事も珍しくないのでドアポストからカメラを入れれば撮れるという事でそれを狙われたのでしょう。しかしドアポスト内のカメラに被害者が気付き、被疑者自身もカメラに映り込んでいた事で足が付いたようです。
輪ゴムを使ってカメラを固定していたとの事ですが、被害者の在宅中に普通に気付かれたのか、或いは帰宅時などにポストを見られればすぐ気付かれるでしょうからこまめに回収していなかったところをそうしてバレたのか、いずれにしてもバレる可能性が低いとはあまり言えない手口に思えますので自身が映り込んでいた事が一番の命取りだったでしょう。
茨城県の迷惑防止条例では居室内を盗撮する事を処罰する規定が無いので、記事で触れられているように撮影したのは居室内というより居室内の被害者女性という事になると思われます。
茨城県 迷惑行為防止条例 第2条
- 人を著しく羞恥させ,又は人に著しく嫌悪の情を催させるような方法で,衣服その他の身に着ける物(以下この項において「衣服等」という。)の上から,又は直接身体に接触すること。
- 人を著しく羞恥させ,又は人に著しく嫌悪の情を催させるような方法で,身体又は下着(衣服等で覆われている部分に限る。以下「身体等」という。)をのぞき見,又はのぞき見ようとすること。
- 人を著しく羞恥させ,又は人に著しく嫌悪の情を催させるような方法で,写真機,ビデオカメラその他これらに類する機器(以下この条において「写真機等」という。)を使用して身体等を撮影し,又は撮影しようとすること。
- 衣服等を透かして身体等を見ることができる機器(以下「透視機器」という。)を使用して,他人の身体等の映像を見,若しくは見ようとし,又は他人の身体等を撮影し,若しくは撮影しようとすること。
- 前各号に掲げるもののほか,人を著しく羞恥させ,又は人に著しく嫌悪の情を催させるような卑わいな言動をすること。
何人も,学校,事務所その他の不特定の者若しくは多数の者が利用し,若しくは出入りすることができる場所(公共の場所又は次項に規定する場所に該当する場合を除く。)又はタクシーその他の不特定の者若しくは多数の者が利用し,若しくは出入りすることができる乗物(公共の乗物又は次項に規定する場所に該当する場合を除く。)にいる他人に対し,みだりに前項第2号から第4号までに掲げる行為をしてはならない。
何人も,住居,浴場,更衣場,便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けないでいるような場所にいる他人に対し,みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
- 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態(以下この項において「人の姿態」という。)をのぞき見,又はのぞき見ようとすること。
- 写真機等を使用して,人の姿態を撮影し,又は撮影しようとすること。
- 透視機器を使用して,他人の身体等若しくは人の姿態の映像を見,若しくは見ようとし,又は他人の身体等若しくは人の姿態を撮影し,若しくは撮影しようとすること。
何人も,前3項に規定する行為(写真機等又は透視機器を使用して行う行為に限る。)をする目的で,写真機等又は透視機器を設置してはならない。
第1項は公共の場所、第2項は学校や事務所などにおける行為に関する規定ですがこの事件の場合はこのいずれでもないと考えられ、おそらくは住居という事で第3項に該当しているのではと思われます。とすると盗撮したのは「衣服の全部又は一部を着けない人の姿態」である事になりますので、入浴等のため服を脱いでいた姿を撮られていたのかもしれません。
今回逮捕された事件以外にもカメラのデータから余罪が窺われているようですので最終的な処分内容は余罪が立件されるかどうかにもよるでしょうか。今回の事件だけで済めば罰金としても30万円程度で収まるかもしれませんが、他の余罪も追加されてくると50万円程度になってくる可能性のあるのではと思われます。
小学校教師が女子トイレ侵入逮捕|NHK 石川県のニュース
津幡町の小学校で、盗撮する目的で女子トイレに侵入したとして、この学校に勤める31歳の教師の男が建造物侵入の疑いで逮捕されました。男は容疑を認めているということです。
逮捕されたのは、津幡町に住む小学校の教諭の容疑者(31)です。
警察によりますと、容疑者は11月24日、自分が勤務する津幡町の小学校の女子トイレに盗撮する目的で侵入したとして、建造物侵入の疑いがもたれています。警察に「容疑者が盗撮している疑いがある」という内容の通報が寄せられたことから捜査を進め、任意で事情を聴いた結果、逮捕しました。
警察の調べに対して容疑者は「トイレ内に小型カメラを設置した」と話したうえで、容疑を認めているということです。警察は、詳しいいきさつなどについてさらに調べることにしています。
引用元 : NHK 2020年12月1日 16時47分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
小学校の教員による学校でのトイレ盗撮事件ですが、逮捕容疑は盗撮目的で小学校の女子トイレに立ち入ったという建造物侵入であって盗撮した事によって捕まった訳ではないようです。
「容疑者が盗撮している疑いがある」という通報があって捜査が始まり被疑者に任意聴取したところ認めたので逮捕したという事のようですが、トイレへのカメラ設置も認めてはいるもののこの経緯を見た感じですとトイレからカメラが見つかったりしている訳でもなさそうに思えます。
石川県の迷惑防止条例ではトイレにおける盗撮行為が処罰の対象になっていますので、証拠としてカメラを押さえていて盗撮していた事が確認できるのであれば建造物侵入の有無はともかくとしても迷惑防止条例違反にはなると思われます。
石川県 迷惑行為等防止条例 第3条
- 人の身体に、直接又は衣服その他の身に付ける物(以下「衣服等」という。)の上から触れること。
- 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見すること。
- 衣服等で覆われている人の身体又は下着を撮影すること。
- 前三号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、公共の場所又は公共の乗物にいる人に対し、みだりに、衣服等を透かして見ることができる写真機等を使用して、次に掲げる行為をしてはならない。
- 衣服等で覆われている人の身体又は下着を見ること。
- 衣服等で覆われている人の身体又は下着を撮影すること。
何人も、住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人に対し、みだりに、次に掲げる行為をしてはならない。
- 人の身体又は下着をのぞき見すること。
- 人の身体又は下着を撮影すること。
何人も、集会場、事務所、教室その他の特定かつ多数の者が利用するような場所において、人に対し、みだりに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安若しくは嫌悪の情を催させるような方法で、衣服等で覆われている人の身体又は下着を撮影してはならない。
トイレの場合は第3項に該当すると考えられますので盗撮が明らかならこれは避けられないと思えますが、建造物侵入のみに留まっているという事は少なくともこの時点では盗撮行為が確認できていないのかもしれません。
しかし、そもそも誰がどういう経緯で「容疑者が盗撮している疑いがある」という通報をしたのかが謎で、しかもカメラが押さえられていないなら任意聴取でトイレ侵入を認めるだろうかという疑問もありますので、場合によってはカメラも既に押さえられていて今後迷惑防止条例違反も追加されてくる可能性があるのではないでしょうか。
また、小学校での女子トイレ盗撮ですので児童ポルノ禁止法違反という可能性もあります。トイレに設置されたカメラ以外でも自宅のPC等にトイレ盗撮のデータが保存されている事があり得ますのでそうした物からも裏付けられるかもしれません。
このまま建造物侵入のみであれば公判請求される事は無いとしたら上限でも罰金10万円ですので不起訴となる可能性もありますが、盗撮の事実が確認されて迷惑防止条例違反、児童ポルノ禁止法違反という事になれば少なくとも30万円程度の罰金になるのではないでしょうか。
浴場での小中学生の”盗撮動画”など 児童ポルノDVD3万4000枚を押収 販売店の男を逮捕
児童ポルノDVDを販売目的で所持したとして62歳の男が逮捕されました。
12月1日午後、店舗内で18歳未満の少女の裸が撮影された動画DVD1枚を販売目的で所持していた児童ポルノ禁止法違反の現行犯で、大阪市浪速区の「中古ビデオ&DVDラボ」の店長(62)が逮捕されました。
警察によると、容疑者は、インターネットのアダルトサイトから、浴場などで小中学生らが盗撮された動画を転写し、複製したDVDを販売していたということです。
店からは児童ポルノ関連のDVD約3万4千枚が押収されました。DVDは1枚=3千円から5千円、高いものでは2万円で販売していたということで、ひと月に約100万円を売り上げていたということです。
調べに対し容疑者は「3年前から『盗撮シリーズ』の販売を始めたところ売り上げが上がった」と供述しています。
引用元 : 関西テレビ 2020年12月2日 14時42分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
盗撮事件ではありませんが盗撮製造された児童ポルノをDVDに焼いて売っていたという事件です。元の動画はアダルトサイトから購入したデータのようですが、DVDという形態へのニーズは根強く残っているようです。
児童ポルノなのでどういう形態だろうと売る側も買う側も違法ではあるものの買う側はアダルトサイトから密かに購入すれば良いし売る側もDVDという物理的な証拠をわざわざ作らなくてもと感じるところですが、実店舗でDVDのような物理メディアを購入してプレイヤーで再生して視聴したいという人もまだまだいるようです。
しかし、警察にとってはまだ技術不足が窺われるネット上での犯罪捜査よりこうした実店舗の摘発の方が得意でしょうから児童ポルノDVDなど販売していてはいずれ捕まる事になります。もしかすると顧客リストなどが出てくるかもしれませんので今後は買った側にも捜査が及ぶ可能性があります。
今回の逮捕容疑は販売目的で児童ポルノを所持していたという事ですが、現に販売していた裏付けも間も無く取られるでしょうからかなり厳しい罰が科される事になると思われます。初犯だとしても罰金で済まされれば御の字、おそらく公判請求されて懲役1年に執行猶予3年程になるのではないでしょうか。