先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
海外引率先で女子生徒盗撮 市立中教諭を懲戒免職 栃木県教委
交流事業の引率のため訪れたカナダの学校で現地女子生徒のスカート内を盗撮したなどとして、栃木県教育委員会は17日、真岡市立中の男性教諭(27)を懲戒免職処分とした。
調査に対し「性的欲求を満たすためだった」と話しているという。
県教委によると、教諭は2018年11月、同市の3中学校合同で訪れたカナダの学校で、大人数が集まったレクリエーションの際、スマートフォンを使って現地女子生徒のスカート内を動画撮影。今年3月には東京都内の遊園地で、成人女性のスカート内を盗撮した。データの流出は確認されていないという。
教諭は9~10月、出勤途中に立ち寄った真岡市内のコンビニで、女性店員に下半身を露出したまま会計する行為を繰り返し、県警の事情聴取を受けた。その後、県教委などの聞き取りに盗撮を打ち明けた。
引用元 : 時事通信 2019年12月17日 20時48分配信
中学校の教員による盗撮事件、ではなく盗撮については別件の警察沙汰を受けた県教委からの事情聴取で白状しただけで、事件になっていそうなのはその別件であるコンビニ内での下半身露出のようです。
まず盗撮については海外交流事業の引率先で現地の女子生徒のスカート内を盗撮したという件と都内遊園地で女性のスカート内を盗撮したという件を自供したようですが、これは単に県教委からの事情聴取を受けて白状したというだけでおそらくいずれも事件にはなっていないと思われます。
どちらの盗撮行為においてももし発覚していれば今回の事件以前に問題になっていたでしょうし、結局その場ではバレなかったということだと思いますので被害者がどこの誰だったのか今更調べることもしないでしょう。懲戒処分の検討において加味されているかもしれませんが、少なくともこれら2件の盗撮行為については今後も刑事事件になることは無いのではないでしょうか。
これらの盗撮行為が発覚するきっかけになったコンビニ内での下半身露出については何とも大胆というか無謀というか、コンビニでそんなことを繰り返していたらすぐに捕まると思わなかったのか尋ねてみたいものです。
露出させていたのは下半身というよりおそらく陰部と見られますが、陰部を出したまま会計する行為を繰り返していたとされているところ、コンビニの中でもレジ周りなどはまず確実に防犯カメラが向いているので客観的な証拠も十分、言い逃れできる状況ではありません。それを繰り返していたら通報されて捕まることは火を見るより明らかですが…。
なお、これについては公然わいせつの疑いで警察の捜査を受けていたと見られ、公然わいせつの罰則は盗撮よりやや軽い内容になっています。
刑法 第174条
公然わいせつは保護法益が「善良な風俗」とされているのでこの事件においても下半身を見せられたコンビニ店員は被害者ではありません。また、非親告罪なのでこのコンビニ店員と示談ができたとしてもそれで刑事処分が無くなるということもありません。
勿論示談ができれば検察官の判断に多少の影響を与えることはあるので不起訴を狙って反省の姿勢を行動で示すという意味で無駄ではありませんが、比較的軽い罪なので罰則とのバランスを考えると示談交渉をしたいという人はあまりいないのではないでしょうか。厳しくてもせいぜい10万円程度の罰金と思われますが、謝罪や反省の態度を示してそれがうまく伝われば不起訴もあり得るかもしれません。
列車内で女子高生3人のスカートにスマホカメラ…法務局職員の22歳男逮捕 「下着見たかった」
列車内で女子高生のスカート内にスマートフォンのカメラを向けたとして、名古屋法務局津島支局の22歳の職員の男が逮捕されました。
逮捕されたのは名古屋法務局津島支局の職員で、愛知県弥富市に住む容疑者(22)です。
警察によりますと、容疑者は12月10日の朝と夜、2回に分け名鉄尾西線の列車内で座席に座る女子高生(18)3人のスカート内にスマホのカメラを向けた疑いが持たれています。犯行に気付いた女子高生から報告を受け、教師が警察に相談。警察は駅に設置された防犯カメラの映像などから容疑者を特定しました。
調べに対し、容疑者は容疑を認めた上で「スカート内の下着が見たかった」と供述していて、警察は盗撮行為に及ぼうとしたとして調べています。
名古屋法務局は「事実関係が明らかになった段階で厳正に対処する」とコメントしています。
引用元 : 東海テレビ 2019年12月18日 19時16分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
法務局に勤める公務員による盗撮未遂事件です。盗撮に未遂を罰する規定はありませんが、盗撮目的でスマホをスカート内に向けたという事件で「スカート内の下着が見たかった」と被疑者が認めている状況なので未遂と表現しています。
電車内で座席に座っていた女子高生のスカート内にスマホのカメラを向けたとのことですが、他のニュースによると「正面の席に座り、スマートフォンを自分の股に挟み盗撮しようとしていた」とされており、スマホを手に持ったままだと角度的な問題があったのでしょうがこれではいくら何でも不自然過ぎるでしょう。
しかし、被疑者の特定は防犯カメラの映像などからとされているところ、電車内でスカート内にスマホのカメラを向けていた場面が防犯カメラに映っていたわけではないでしょうから盗撮目的でスカート内にカメラを向けていたかどうかについては被害者の証言と被疑者の自供だけで判断していると思われます。
勿論気付いていた女子高生が正面の座席に座ってスマホを向けている被疑者を逆に撮るなどして証拠を押さえていれば別ですが、そうした証拠が無く被害者の女子高生の証言だけに依っていたのであれば被疑者に否認されると立証が厳しかったかもしれません。既に認めているので考えても仕方無いところではありますが、そんなことはしていないと言われていた場合に備えた他の証拠はあったのでしょうか。
一方、実際に盗撮に及んでいたのかどうかも気になるところです。撮っていたかどうかは得物のスマホを調べないとわからないので逮捕するまでにそれができず、(被害者の証言だけとはいえ)客観的に立証し得る盗撮準備行為でまず逮捕したというのであれば今後の捜査によって実はその場で実際に盗撮までしていたということが発覚するかもしれません。
得物も手口も雑で特に悪質と見られそうな点も今のところありませんので、盗撮目的でスマホを向けた行為までに留まれば罰金でも10万円から20万程度、実際に盗撮までしていたことが分かった場合は30万円程度といったところではないでしょうか。
寝ていた男性の下半身触り動画撮影、教諭の男懲戒免職 入浴施設で男湯盗撮も
京都府教育委員会は19日、入浴施設の男湯で盗撮したとして、南山城支援学校(精華町)教諭の男(29)を懲戒免職処分にした。府教委が2019年度にセクハラやわいせつで教職員を懲戒処分にしたのは4件目になる。
府教委によると、教諭の男は11月24日午前0時ごろ、京田辺市内のバス停で寝ていた男性の下半身に触れ、その様子をスマートフォンで動画撮影した。その後、大阪市内の入浴施設の風呂場や脱衣場、仮眠室で客の男性の写真や動画を撮影。客に見つかり、大阪府警が任意で調べているという。
教諭の男は15年から同校に勤務し、19年度は高等部で担任を務めている。現在は謹慎中で、府教委に対し「5年ほど前から近畿の10カ所程度の入浴施設で盗撮し鉄道駅でも寝ている人を触っていた」と説明。生徒への行為はないとし「たくさんの方に迷惑を掛けた」と謝罪したという。
村山和久教職員人事課長は「公教育への期待と信頼を損ない大変申し訳ない。教職員の心に響く研修をしていく」と話した。
引用元 : 京都新聞 2019年12月19日 19時6分配信
支援学校の教員による入浴施設などでの盗撮事件です。被害者が男性という点や具体的に何の疑いで警察の捜査を受けているのかハッキリしない点などはやや特殊な事件でしょうか。
入浴施設の風呂場や脱衣場での盗撮ということは着替えていたり裸だったりしている男性をスマホで撮っていたのだろうかと思われますが、実際にそうした盗撮の疑いだとは表現されていません。勿論迷惑防止条例において盗撮の被害者に男女の区別はありませんのでそうした盗撮をしていたのであれば現場となった大阪府の迷惑防止条例違反ということになります。
大阪府 迷惑防止条例 第6条
- 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物において、衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること。
- 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影すること。
- みだりに、写真機等を使用して透かして見る方法により、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている人の身体又は下着の映像を見、又は撮影すること。
- 前三号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をすること。
何人も、みだりに、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所における当該状態にある人の姿態を撮影してはならない。
何人も、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、教室、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が出入りし、又は利用するような場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物を除く。)における衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影してはならない。
何人も、第一項第二号若しくは第三号又は前二項の規定による撮影の目的で、人に写真機等を向け、又は設置してはならない。
ただ、バス停や駅で寝ている男性の下半身(と表現されていますがおそらく陰部周辺)を触ってその様子を撮影していたという件については事情は聴かれているとしても事件になっているかどうかには疑問があります。
寝ている男性の下半身を触ったというのは痴漢や強制わいせつに該当すると考えられますが、寝ているとはいえバス停や駅でズボンを脱がせたり直接手を入れたりして触っていたわけではないでしょうからおそらくズボンの上から触っていたと見られるところ、その様子を撮影すること自体は罪にならないのではと思われます。
また、痴漢や強制わいせつにしても寝ていた男性が気付いていないままなら被害届も出ておらずどこの誰だかわからない可能性があります。気付いて起きたのならその場で事件になっていたとも考えられ、今回警察の捜査を受けるきっかけになったのも入浴施設での盗撮のようですので下半身を触った件はその調べの中で発覚しただけで、今後も事件化できないのではないでしょうか。
下半身を触る様子を撮影していたということにフォーカスされていて入浴施設で何を盗撮していたのかハッキリしませんが、上述の通りだとすると結局事件としては風呂盗撮や着替え盗撮のみということで今後立件されたとしても30万円程度の罰金ということになるのではと思われます。
被害者が男性の盗撮事件はやや珍しくはありますがあり得ないことでは決してありません。温泉や入浴施設などで盗撮を警戒する男性はなかなかいませんし盲点になりがちではありますが、男性であってもこうしてスマホやカメラを向けられて裸などを盗撮されることはあり得ますので、常に警戒しろとまでは言いませんが注意はしておくべきでしょう。