ネット上にアップされる画像や動画に見る傾向の変化
盗撮に遭いやすい被害者の属性として女子高生がまず挙げられますが、ネット上にアップされる盗撮画像や動画について、どういった学校の女子生徒が狙われやすいかといった傾向に若干の変化が見られています。
これはネット上で個人がデジタルコンテンツを販売するまでの敷居が下がり、盗撮動画などを販売しやすくなったことが一因になっていると考えており、今回はこの傾向の変化について触れてまいりたいと思います。
なお、盗撮の被害件数やネット上で画像や動画を見かけることが最も多い首都圏で、特に東京都や神奈川県の学校に関して見てまいります。
被害に遭いにくくなった学校
最初に申し上げておきますと、あくまでネット上にアップされる画像や動画に見られる傾向や筆者個人のツテから得た情報を基にしているので、盗撮被害に遭いやすいかどうかというより盗撮被害に遭った上でネット上へのアップが多く見られるかどうかという方が近いです。
しかしネット上の画像や動画に触発されて盗撮行為に及ぶという事例も非常に多く見られることから、ネット上へのアップが減るということは将来的な意味でも被害に遭いにくくなるということにつながります。
そういった意味でひと昔前と比較すると被害に遭いにくくなっていてネット上でも見かけることが減ったのは制服が特徴的で有名な学校、具体的には品川女子学院や頌栄女子学院、東京女学館といったところでしょうか。
ひと昔前はこれらのような学校に通う女子生徒のものを頻繁に目にしましたが、現在見られるのは当時アップされたものが多く、新しく撮影されてアップされたものを目にすることが減りました。生徒指導の甲斐があってか制服のスカート丈を極端に短くした生徒が減っており、短パンの着用などの盗撮対策が増えたという話も聞いています。
そういった学校側の努力の成果という面もありますが、冒頭で申しましたように個人での販売がしやすくなったことで逆にネット上で目にすることが減ったとも考えており、以下でこれらの要因について見てまいりたいと思います。
まず盗撮する人の軸足が特定コミュニティでの公開から販売へ移る
盗撮した画像や動画は自分だけで見てネット上へのアップはしないという人の方が多いですが、アップすることで何らかの価値を得たいと考える人も従来から存在しています。
いわゆる承認欲求と呼ばれるものに近いと見ていますが、数年前までは同じ嗜好の人が集まる特定のコミュニティにおいてアップすることで感想や評価を得ているのが主流でした。一部で販売などができるサイトも存在していましたが、多くはアップから閲覧までお金を介さずに行われ、上述したような有名校は評価が高いとされて特に大きく拡散されています。
ところが近年、盗撮した画像や動画を個人で販売して収入を得るまでの敷居が下がると軸足が販売の方へ移ってきます。それまで対価を得ずに公開していたものがお金になるとわかったらそちらへ流れるのは当然とも言えますが、まずこういった変化が訪れています。
収入が得られるようになった一方で風当たりも強くなる
それまでは特定のコミュニティからの感想や評価などで承認欲求を満たしていたものがお金という目に見える評価と実益に変わったことで、盗撮してアップまでしていた人にとっては一挙両得の場を得たと言えます。
しかし盗撮という犯罪行為が前提になっているので、それによって収入を得るということは通常良く思われません。また、お金が絡むようになってくると「同業者」の間で足の引っ張り合いも発生してきます。
さらに、いわゆるパンチラにおいては「この子がどんな下着を着けているのか」といった観点で被写体の顔もセットじゃないと無意味という傾向もエスカレートしてきており、被害者の顔がハッキリわかるような画像や動画が多くなってきていました。
拡散がリスクになり、有名校のものはアップしづらくなる
そういった状況において盗撮という行為が前提になっている販売では拡散されることがリスクにもなってきます。
例えば品川女子学院や頌栄女子学院などの有名校は制服を見ればどこの学校かわかるという人が多いので拡散したときに通報される可能性が比較的高く、その上で被写体の顔もハッキリわかるとなると万が一関係者が知るところになった場合に問題になるのは火を見るより明らかです。
盗撮しても個人的に見るだけという人も多いですが、こういった事情があって有名校のものはアップしづらくなったという話は事実として聞いています。上述したような制服のスカート丈や盗撮対策に関しても盗撮する人の間で話が出回りますし、実感してもいると見られますので盗撮被害自体も減る傾向にあると考えています。
被害に遭いやすくなった学校
逆に被害に遭いやすくなった学校、上述の文脈を引き継ぐとネット上で盗撮した画像や動画を目にすることが多くなった学校としては公立校が挙げられます。公立校の場合、一部のマニアや地元の人でない限り制服を見てどこの学校かすぐにわかるというケースは多くありません。
そのため、制服が特徴的な学校より比較的安心して販売できるということで公立校の女子生徒が被写体、被害者となっているものが見られるようになってきました。
しかし上述したような制服のスカート丈や短パンなどの盗撮対策の多寡、あるいは動画等がよく見られるようになることで「あの学校は撮れ高が期待できる」といったような噂などによって公立校の中でも一部で被害傾向に偏りも見られています。
ここ最近では神奈川県立新栄高校などを中心にその傾向が顕著に見られており、同校の女子生徒が被写体となっている動画をよく目にするようになっています。複数の販売者が同校の女子生徒をターゲットとした動画を公開していることからも被害の増加傾向が読み取れます。
また、校内へある程度自由に出入りできる文化祭では新栄高校を含めた公立校でも校内での盗撮被害の懸念から持ち物検査などが実施されており、学校側の警戒も感じられますが残念ながらそれでも文化祭での盗撮を目論んで結果的に捕まっている人が出ているようです。
新栄の文化祭で盗撮してたやつ捕まったwwwwww#新栄文化祭 pic.twitter.com/pnta9BJUKT
— 廣野龍永 (@Aoba_ryuto) 2016年9月24日
このことからも、盗撮する人や販売する人の間で「撮れ高」についての噂などが出回ってイメージが定着してしまうと被害自体の増加傾向にも拍車がかかると言えるでしょう。そういった画像や動画を見て触発されて盗撮に及ぶ人が出てくることも忘れてはいけません。
まとめ
盗撮した画像や動画などをアップする人の軸足が販売へ移っていったことで将来的な意味でも被害の傾向に変化が出てきているという点について見てまいりました。お金が絡むようになったことで従来は高評価だった有名校がアップしづらくなり、逆にローカルな公立校がよく見られるようになってきたという形です。
特定の学校とそこへ通学する女子生徒へのイメージが定着してしまうと現実の被害に結び付く結果となりますが、地道な生徒指導などによって良からぬイメージを払拭していくことができるということは有名校の例を見てもわかりますので、被害が増えていると見られる学校においては事態の把握と対策を期待したいと考えています。