“下着”とは何か。その定義をめぐって法廷で争われた。 【映像】「インナーパンツは下着か」法廷での判決 盗撮などの罪に問われた24歳の男。2024年7月から10カ月足らずで東京都内の商業施設や路上で、女性のスカートの中などを狙った盗撮を7件、女性の体を触るなどの不同意わいせつを2件起こした。盗撮のうち2件は、被害者がスカートの下にインナーパンツなどをはいていた。
インナーパンツとは主に下着の透け防止や、スカートから下着が見えないようにはくもの。このインナーパンツが法律上の下着にあたるのか否かが争われた。
これまで盗撮は都道府県ごとの条例で取り締まられ、罰則も異なっていた。しかし2023年「性的姿態撮影等処罰法」が施行され「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」と、全国共通のルールで処罰されることになった。この法律は「下着」を「通常衣服で覆われており、かつ性的な部位を覆うのに用いられるものに限る」と定めている。
法律事務所三ツ星の中川みち子弁護士は「この法律には下着を撮影することを禁止している条項がある。それにあたるかどうかを判断するにあたって、下着か下着でないかが重要な判断基準」と説明。
裁判では、弁護側はインナーパンツについて「下着の上にはくもので性的な部位を直接覆ってはいないから下着ではない」と主張。検察側は「人に見える状態では着けないものだから下着だ」と反論した。
裁判所の判断は「インナーパンツは下着にあたる」というもので、男には懲役3年、6カ月の保護観察付きの執行猶予がついた。東京地裁の判決は「インナーパンツも通常は人に見られることを想定していないもの」だとして、下着にあたると判断した。
中川弁護士は「裁判所としては下着とインナーパンツの2枚を身につけていたとはいえ、この法律が守ろうとした法益というのは、恥ずかしいと感じる部分を撮影されないという法益を守るためにはどうしたらいいか。やはりインナーパンツとはいえ通常、人に見られることを想定されていないものなので、下着と言えるのではないかと判断した」と解説した。
一方で中川弁護士によれば、インナーパンツすべてが今後、下着と認定されるとは限らず、種類、形状、着用目的などにより判断が異なる可能性があるという。
今回「インナーパンツとは何か」という定義が争点となったが、中川弁護士によると法律では物事の定義を条文に置くことが多いとして「特に刑事罰になる法律は、処罰の範囲をむやみに広げないために『こういうことを処罰する』ということを分かりやすくするために定義を決めることが多い。そうでないと、むやみに処罰の対象を広げてしまう。何を処罰の対象にするか。そこを定義することが法律を作るうえで非常に重要」と語った。
今回の裁判は、はいていたのが下着かインナーパンツかを分けたが、被害に遭った人にとってその違いに意味はあるのか。ネット上の盗撮画像を監視し、削除・通報を求める団体、ひいらぎネットの永守すみれ代表は「インナーパンツをはいていたのか生の下着かというところは関係なく、被害にあった人にとってはすごく気持ち悪い。自分がどういうふうに他人から見られるのかというところは、性的な自己決定権とも関わるところ。その権利が侵害されているというところに、変わりはないのではないか」と指摘。
永守代表は今回の判決について「やはり撮影罪と迷惑防止条例違反ではかなり重さが違う。インナーパンツであっても下着であるという判断がされたというところで、何らかの抑止力になってくれたら」と受け止めている。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
ABEMA TIMES – 2026/09/24 17:00