女子更衣室に侵入し生徒の着替えを盗撮していた50代の中学校教員。犯行発覚により逮捕された彼を待ち受けていたのは、重い判決だった。真面目な教員だった男は、なぜ罪を犯したのか。背景には虐待や性的いじめに苛まれた“いびつな生い立ち”があった。
【写真】この記事の写真を見る(2枚) 性犯罪へと走らせた問題の背景を、西川口榎本クリニック副院長として様々な依存症治療と向き合ってきた斉藤章佳氏の新刊『 校内盗撮 』(集英社インターナショナル)より一部抜粋してお届けする。(全3回の1回目) ◆◆◆
ここからは教員による校内盗撮の事案を紹介しながら、何が彼らを性犯罪に駆り立てるのか、そのメカニズムをひも解いていきます。
都内の公立中学校に勤務していた50代前半男性の元教員・田中一朗氏(仮名)は、約5年間にわたり、学校内で女子生徒の盗撮を繰り返していました。
最初はYシャツの胸ポケットにスマホを入れて盗撮していましたが、犯行は次第にエスカレート。
田中氏は、水泳の授業が始まる前の時間を狙い、女子更衣室に侵入するようになりました。
穴を開けたナイロン製の筆箱にスマホを隠し、生徒たちが着替える一部始終を盗撮していたのです。
ある日、2人体制で授業を行っていた女性の補助教員が、スマホが仕込まれた不審な筆箱を女子更衣室で発見したことで、犯行は発覚。
田中氏は逮捕されました。
私がこの元教員と出会ったのは、弁護人からの依頼がきっかけでした。
私は都内の警察署に出向き田中氏と面会を重ね、勾留中からアセスメント(再犯リスクなど)や再犯防止のための「リスクマネジメントプラン」の作成といった、司法サポートプログラムを行っていました。
裁判で田中氏は、性的姿態撮影等処罰法(撮影罪)違反に問われました。
子どもを対象とした盗撮は非常に重く受け止められ、初犯でありながらも拘禁刑2年、執行猶予4年(保護観察付き)という比較的重い判決が下されました。
「保護観察付き」とは、執行猶予期間中に保護観察官や保護司による定期的な面接や指導監督を受ける条件がついたものです。
面会時、私が田中氏に抱いた印象は、「まじめなイエスマン」という印象です。
学校での勤務態度には問題なく、生徒からの評判も悪くなかったといいます。
しかし、周囲の顔色を常にうかがい、たとえ自分に非がなくても「申し訳ありません」と謝るのが癖になっていました。
文春オンライン - 2026/08/15 17:12