専門家の見解は――。日本陸連のアスリート委員会が1日に声明を発表し、社会問題となっている迷惑撮影の根絶を目指すと宣言した。ドルーリー朱瑛里(津山高3年)の勇気ある告発で世間の関心も高まっているが、専門家の目には現状がどう映っているのか。ドルーリーの代理人を務める作花知志弁護士が取材に応じ、アスリートに求められる役割について言及した。
【写真】久保凛と談笑するドルーリー朱瑛里 世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権(東京・国立競技場)や、全国高校総体(広島・ホットスタッフフィールド広島)など、7月に開催されたシニアからジュニアのさまざまな大会で盗撮対策が実施された。
各大会で運営側の意識も高まったことで性的な画像の流出は減少傾向だが、性的なコメントをするネットユーザーは依然として多く存在するのが現状だ。この実情に作花弁護士は「アスリートを守ることへの意識は高まったけど、電子機器も発達しているので、いたちごっこになっている」と分析する。
この状況を打破するには、アスリートがより主体的に動く必要があるとの考えだ。「例えばアスリートが原告になって、国会にアスリートを守る法律を求めるような裁判をするのも、一つの手だと思う」と指摘。迷惑撮影の根絶に向けては「しっかりとした刑罰を考えないといけない時代になってきた」のが理由だという。
日本陸連のアスリート委員会は、声明内で「アスリートの意識向上」を訴えた上で「SNS普及によりアスリート一人ひとりが発信者としてのプラットフォームを持つ時代となった。アスリート自身が性的な目的に利用されかねない発信を行っている事例が確認されている」と注意喚起を行った。
ほとんど事例のない要望に、作花弁護士は「その視点ではあまり考えたことがなかった」と驚きの様子を見せる。それでも「アスリートだけではなく、ネット上の情報は誰が見ているかわからないので、あまりプライベートなことを載せてしまうと危険な目にあったりもする」と理解を示した。
陸上だけでなく、他競技のアスリートも迷惑撮影に頭を悩ませている。より競技に集中できる環境をつくるには、運営側はもちろん、アスリート側のアクションも大事になりそうだ。
東スポWEB - 2025/07/29 05:16