「別れた元カレに、無断で写真をさらされました」。そんな深刻な相談が弁護士ドットコムに複数寄せられています。
ある女性は、配信アプリで就活用の証明写真やネット上の名前をさらされ、容姿について中傷を受けているといいます。
さらに撮影に同意した覚えのない性的な動画も元カレが持っており、他の人に見せることをほのめかしたそうです。女性は精神的ショックを受けています。
また、別の女性は、交際中に盗撮されたと思われる入浴中や睡眠中の写真が、元カレのSNSにアップされたと証言します。削除を求めても削除されていないといいます。
女性たちは元カレと連絡が取れなくなっており、とても心配しています。こうした被害に遭ったとき、どう対応すればよいのでしょうか。松本典子弁護士に聞きました。
——元交際相手が、同意なく女性の写真をネット上でさらす行為には、どのような法的問題がありますか。
法的には、その女性の私生活の平穏(プライバシー権)が侵害されることになります。また、肖像権の侵害にもあたり、いずれも不法行為です。さらし方によっては、名誉毀損になる場合もあります。
そして、ネットの特性として、削除されなければこれらの写真は半永久的に残ります。SNSを通じて拡散されたり、不特定多数者にダウンロードされるなど、権利侵害が続くことになります。後述するように、プラットフォーム側に削除請求をするなどの対応を検討する必要があるでしょう。
——女性が撮影や公開に同意していない性的動画を所持し、他人にみせた場合、元交際相手は何らかの罪に問われる可能性がありますか。
たとえ見せた相手が特定少数者であっても、拡散目的だった場合、リベンジポルノ防止法の「公表目的提供罪」に問われる可能性があります(1年以下の懲役または30万円以下の罰金)。
また、ネット上にばらまく形で公表した場合、ベンジポルノ防止法の「公表罪」に問われる可能性があります(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)。
場合によっては名誉毀損罪に問われる可能性もあります(3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)。
民事上でも、不法行為(名誉毀損やプライバシー権侵害など)として損害賠償請求の対象になる可能性があります。
弁護士ドットコムニュース - 2025/06/14 09:08