先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
レストランの女子トイレで盗撮、経営者の男逮捕
自身が経営するレストランの女子トイレで盗撮したとして、静岡県警静岡中央署は13日、県迷惑行為等防止条例違反の疑いで、静岡市葵区安東の飲食店経営者(39)を逮捕した。容疑者は「間違いありません」と容疑を認めている。
逮捕容疑は10月21日午後9時半ごろ、自身が経営する同区呉服町のレストランで、女子トイレの個室内に設置したビデオカメラを使って30代の女性客を盗撮したとしている。
同署によると、この女性客がカメラを見つけ、同署に相談したことから事件が発覚した。ビデオカメラはトイレ内の小物に偽装されており、複数の女性の姿が録画されていた。同署は余罪があるとみて容疑者を追及している。
引用元 : 産経新聞 2016年12月13日 16時3分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
先々週の記事で取り上げた事件では学習塾経営者でしたが、今度は飲食店経営者のようです。自らが経営するレストランの女子トイレにカメラを設置して盗撮したとのことで、自身の店舗であってもやはりトイレ盗撮では弁解も通用しないと見られます。
ただ、塾やレストラン等ではなくコンビニだとどうなのでしょうか。トイレ内に未会計の商品を持ち込まないようにとの注意書きがあることも珍しくなく、撮られていたと知った場合に感じる気持ち悪さはともかく万引き対策としての隠し撮りには一定の説得力があるように感じてしまいます。
そういった事例はないだろうかと考えましたが、事件になっていないと報道もされないでしょう。コンビニ経営者は誰もそういったことをしていないのか、まだ事件化していないだけなのか、あるいはその理屈で事件になることを回避できているのか…。
コンビニの店舗数は塾やレストラン等よりはるかに多いので同様の事例が出てきてもおかしくはないと思いますが、ざっと確認してみたところ従業員などが逮捕されている事件はあったものの経営者のものは見当たりませんでした。
「女性の下着が見たかった」京都・城陽市職員がスカート内盗撮 迷惑防止条例違反容疑で逮捕
電車内で女子高校生のスカート内にスマートフォンを差し入れたとして、奈良県警は14日、県迷惑防止条例違反容疑で京都府城陽市都市政策課主任の男(34)=奈良県大和郡山市=を現行犯逮捕した。「女性の下着が見たかった」などと容疑を認めているという。
逮捕容疑は14日午前7時50分ごろ、奈良市内を走行中の電車内で、盗撮目的で女子高生徒の背後からスカート内にスマホを差し入れたとしている。県警によると10月末ごろ、京都府警鉄道警察隊に「おかしな動きをする男がいる」との情報提供があり、府警と県警で警戒していた。男は通勤中だった。
引用元 : 産経新聞 2016年12月14日 14時36分配信
この事件は内容としてはそれほど珍しくもないので被疑者が市の公務員だったという点が重視されて報道されたのでしょうか。
ところで、この事件では鉄道警察隊に情報提供があったとされていますが、こういった第三者からの通報は案外聞き入れられるもので、通報時期の10月末から約1か月半ほど警戒を続けていたことからもわかります。
盗撮に限りませんが善意の第三者がこうした通報をするにも警察から根掘り葉掘り聞かれるのが当たり前なのでそうした煩わしさを避けて何もしない人も多いですが、今回は粘り強く警戒を続けるほど具体的な通報だったように思われます。
被疑者は通勤中だったということなので、通報した人も一度見ただけで通報したわけではなく、おそらく同じ電車に乗っていて何回か怪しい動きを見た上で通報していたのではないでしょうか。通勤経路上で日常的に盗撮を繰り返すのはよく聞く話ですが、通報されていることに本人は気づかないので頻度が少なくても警察にマークされてしまえばこのように捕まってしまうことでしょう。
池田野球部員 銭湯で盗撮 甲子園春夏3度優勝の名門
池田高校の野球部員の男子生徒が三好市内の銭湯で、同校女子生徒が着替える姿を盗撮していたとして、学校から謹慎処分を受けていたことが14日、分かった。
学校関係者らによると、男子生徒は12月初めごろ、男女の脱衣場を隔てるロッカーの上から手を伸ばし、スマートフォンで撮影したという。これを受け、野球部は練習を自粛していたとみられる。
同校は県高野連と県教委に報告したが、全校集会や保護者会は開いていない。結城孝典校長は、徳島新聞の取材に対し「個人情報保護と生徒指導に関わることなので、野球部員が女子生徒を盗撮したこと以外は何も話せない」と話した。
野球部は甲子園で春夏合わせ、3度優勝している名門。
引用元 : 徳島新聞 2016年12月15日 23時24分配信
野球部員の高校生とのことなので、スポーツマンガやアニメであればおそらくギャグパートとして女子生徒が「キャー!」と叫んで終わるところでしょうが、現実ではそうはいきません。
被害者が同校の女子生徒でその着替える姿を盗撮したとなると児童ポルノの製造として児童ポルノ禁止法違反に該当する可能性がありますが、今のところ撮影した男子生徒は謹慎処分、野球部は練習自粛というまでに留まっているようです。
校長の対応として部外者に何も話せないというのは仕方ないかなとも感じますが、警察が入ってくるとそうも言っていられないでしょう。児童ポルノ禁止法では親告罪となっていないので女子生徒からの被害届や告訴がなくても捜査は可能ですが、これ以上の大ごとにならないように学校が女子生徒の親御さんや警察などと交渉しているのかもしれません。
児童ポルノ禁止法
- 第四条から第八条までの罪に係る事件の捜査及び公判に職務上関係のある者(次項において「職務関係者」という。)は、その職務を行うに当たり、児童の人権及び特性に配慮するとともに、その名誉及び尊厳を害しないよう注意しなければならない。
- 国及び地方公共団体は、職務関係者に対し、児童の人権、特性等に関する理解を深めるための訓練及び啓発を行うよう努めるものとする。
第四条から第八条までの罪に係る事件に係る児童については、その氏名、年齢、職業、就学する学校の名称、住居、容貌等により当該児童が当該事件に係る者であることを推知することができるような記事若しくは写真又は放送番組を、新聞紙その他の出版物に掲載し、又は放送してはならない。
野球部員とともに市内の銭湯に行っていたということはもしかすると野球部の女子マネージャー等なのかもしれません。ただ、女子マネージャーと報道してしまうと被害者が特定されかねないので報道でも校長の対応でも女子生徒とだけ発表している可能性はあります。
もしそうだとすると学校も野球部も、いわば身内同士として被害者の女子生徒と親御さんの抱き込みに躍起になっている最中なのかもしれません。