先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
駅トイレに逃げ込むも現行犯逮捕…盗撮目的で女性のスカートの下に携帯電話差し入れた男「やっていません」
名古屋市南区の地下鉄・鶴里駅で7日午前、盗撮する目的でカメラ付きの携帯電話を17歳の女性のスカートの下に差し入れた、愛知県あま市に住む55歳の無職の男が現行犯逮捕されました。
7日午前7時半ごろ、名古屋市南区の地下鉄・鶴里駅のエスカレーターで、男が女性(17)のスカートの下に携帯電話を差し入れているのを、一緒にいた知人の男性が目撃しました。男性が声をかけると男は駅のトイレに逃げ込みましたが、駅員に説得されて出てきたところを男性に取り押さえられ、愛知県迷惑防止条例違反の現行犯で逮捕されました。
逮捕されたのは愛知県あま市篠田の55歳の無職の男で、警察の調べに対し、「一切そのようなことはやっていません」と否認しています。警察は携帯電話を解析するなどして男に余罪がないか調べることにしています。
引用元 : 東海テレビ 2021年6月8日 16時22分配信
エスカレーターで女性のスカート内に携帯電話を差し入れたという事件ですが、被疑者が否認しているようです。逮捕容疑は盗撮目的でスカート内に携帯電話を差し入れた疑いに留まっており、これは取り押さえられるまでの経緯を見た感じではデータ等の実際に撮影していた証拠を押さえる事ができていないためと思われます。
被疑者が駅のエスカレーターで被害者のスカート内に携帯電話を差し入れていたという盗撮事件としてはありがちな状況ですが、それを目撃して男性が声をかけたところ被疑者が逃げてトイレに立てこもったとの事です。その後駅員に説得されて出てきたところを取り押さえられたようですが、実際に盗撮していたとしてもトイレに立てこもっている間にデータを消去していた可能性はあるのではないでしょうか。
否認しているのがシラを切っているのだとすると、逃げている間にデータを消去した事で証拠を隠滅できたと考えて「そのようなことはやっていません」と全面否認しているという事は考えられます。ただし、その場合でも警察は当然データの復元は試みるでしょうから実際に撮っていてデータを消去したのか、そもそも撮れていなかったのかでは事情がやや異なってきます。
しかし、愛知県の迷惑防止条例では盗撮目的でカメラ等をスカート内に差し入れる盗撮準備行為が処罰の対象になっていますので、今回の事件で目撃者が発見した行為だけでアウトにはなり得ます。
愛知県 迷惑行為防止条例 第2条の2
- 人の身体に、直接又は衣服その他の身に付ける物(以下「衣服等」という。)の上から触れること。
- 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
- 前号に掲げる行為をする目的で、写真機、ビデオカメラその他の機器(以下「写真機等」という。)を設置し、又は衣服等で覆われている人の身体若しくは下着に向けること。
- 前三号に掲げるもののほか、人に対し、卑わいな言動をすること。
何人も、学校、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用することができる場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物に該当するもの及び次項に定めるものを除く。)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
- 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
- 前号に掲げる行為をする目的で、写真機等を設置し、又は衣服等で覆われている人の身体若しくは下着に向けること。
何人も、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
- 人の姿態をのぞき見し、又は撮影すること。
- 前号に掲げる行為をする目的で、写真機等を設置し、又は人の姿態に向けること。
この事件では現場が駅ですので公共の場所という事で第1項第3号に該当していると考えられます。男性の目撃証言以外に証拠が無いという事もあり得ますが、現場から逃げてトイレに立てこもっていたという普通ではない事実もありますので被疑者がシラを切っているとしても否認し続けるのは厳しいように思えます。
携帯番号の解析やデータの復元により実際に撮っていた事が裏付けられれば否認していても無駄になるでしょう。また、スカート内に携帯番号を差し入れていた行為が駅の防犯カメラなどに捉えられていれば目撃証言以外の証拠となって盗撮準備行為の裏付けとなります。
そうした証拠が一切無く、否認の姿勢が変わらなければ場合によっては不起訴という事もあり得ますが、盗撮行為或いは盗撮準備行為を裏付ける証拠が出てくれば30万円程度までの罰金は避けられないのではないでしょうか。
勤務先のトイレで女児盗撮…小学校教諭逮捕
勤務先の小学校で、トイレに小型カメラを設置し、女子児童を盗撮したとして33歳の教諭の男が警視庁に逮捕されました。
児童ポルノ禁止法違反などの疑いで逮捕されたのは、足立区の区立小学校の教諭です。警視庁によりますと、容疑者はことし3月、勤務先の小学校で女子トイレに小型カメラを設置し、複数の女子児童の動画を撮影した疑いがもたれています。
容疑者は、小型カメラをトイレの個室にあるゴミ箱の裏に隠すように設置しましたが、女子児童がカメラを発見し事件が発覚しました。
校内に設置されている防犯カメラの捜査などで関与が浮上したもので、調べに対し、容疑者は「自分の性的欲求を満たすために小型カメラを設置しました」と容疑を認めているということです。
引用元 : 日本テレビ 2021年6月9日 16時44分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
小学校の教員によるトイレ盗撮事件です。小学生の女子児童が被害者のトイレ盗撮なので逮捕容疑は児童ポルノ禁止法違反となっています。本人も認めているようなので事実関係の争いは無さそうです。
女子トイレ個室内のゴミ箱に小型カメラを仕込んで盗撮していたとの事で、トイレ盗撮としてはよく見る手口ではあります。女子児童がそのカメラを見つけて発覚したというのもありがちな経緯ですが、その後は校内の防犯カメラを調べるなどして被疑者を特定したとの事で、事件自体は今年3月の事なので今回逮捕されるまでに3か月程かかっていたようです。
勤務先の小学校で女子児童を狙ってトイレ盗撮していたというのは悪質と判断されるでしょうし、盗撮された被害者も複数いるようですのでその全員と示談をするのは困難と思われますので寛大な処分で済まされる見通しは暗いと言えます。おそらく初犯とは思われますので公判請求にまでは至らないかもしれませんが、少なくとも50万円程度の罰金は堅いのではないでしょうか。
更に懲戒処分も待っているでしょうが、校内で児童を狙った犯罪となると流石に免職が避けられないと思われます。余罪が出てきて被害者が増えてくるようだと罰金では済まされない事になる可能性もありますので、今後被疑者にとってはその辺りが焦点になるでしょうか。
パチンコ店で盗撮疑い、福井県福井市の小学校教諭を再逮捕 女性店員のスカート内を繰り返し盗撮か
パチンコ店で女性のスカート内を盗撮したとして、福井県警福井署と県警少年女性安全課は6月9日、県迷惑防止条例違反(ひわいな行為)の疑いで、福井市の同市立小学校教諭の男(28)を再逮捕した。同署によると、「パチンコ店に行ったかもしれない」と供述しているが、容疑については黙秘している。
再逮捕容疑は4月23日と同30日の午後7時台に、福井県内のパチンコ店で、それぞれ別の女性従業員のスカート下にカメラ機能付き電子機器を差し入れ盗撮した疑い。
同署によると、教諭は5月3日、同じパチンコ店で、盗撮目的で女性従業員のスカート下にカメラ機能付き電子機器を差し入れたとして現行犯逮捕され、「覚えがない」と容疑を否認していた。逮捕後の捜査で、電子機器にスカート内の画像が見つかったことなどから今回の容疑が分かった。
逮捕を受け、福井市の吉川雄二教育長は「市立小教諭が再逮捕されたという事実を重く受け止めている。状況をしっかり確認した上で、(逮捕容疑が)事実であれば厳正に対処していく」と話した。
引用元 : 福井新聞 2021年6月10日 20時6分配信
先月の記事で取り上げていた小学校の教員によるスカート内盗撮事件の続報のようです。パチンコ店で女性従業員のスカート内を盗撮しようとしたとして捕まり、その後否認していましたが、盗撮に使用していた音楽プレーヤーから見つかったデータにより他の盗撮行為も発覚して今回の再逮捕に至ったようです。
被疑者は今回の再逮捕に際しても黙秘していて依然として認めていないようですが、得物の音楽プレーヤーから盗撮データが見つかっていてそれらの内の複数の盗撮について逮捕されている状況では認めないままでいるのも厳しいように思われます。覚えが無いという否認から黙秘に変わっている事からも苦しい状況に追い込まれている事が窺えます。
当初から認めていれば音楽プレーヤーから見つかったデータで他の盗撮でも再逮捕するという事にまではならなかったかもしれませんが、証拠が明らかな中で惚けた事を言っていたのが警察のお怒りを買って徹底的にやられる羽目になってしまったのではないでしょうか。
こうなってしまうと今更認めても全ての被害者と示談をするのは困難になりますし不起訴を狙うのは相当に厳しいように感じます。勿論黙秘し続けていても無駄に思える程度には証拠が揃っているように見えますので少なくとも30万円、厳しければ複数の盗撮事件で起訴されて50万円といった額の罰金は覚悟しておいた方が良いのではないでしょうか。