先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
徳島市議、盗撮疑い 記者会見で騒動陳謝
徳島駅周辺で制服姿の女子生徒の下半身を盗撮した疑いを持たれ、県警から任意の事情聴取を受けている徳島市議(39)が26日午前、同市内の法律事務所で記者会見し「大きな騒ぎを引き起こしてしまい、申し訳ない」などと騒動について謝罪した。盗撮の事実については「故意ではなかった」などと釈明。議員辞職に関しては「支援者らと相談しながら、しかるべき時期に判断したい」と述べるにとどめた。
市議は弁護士を伴って午前11時前から会見。大勢の報道陣が見守る中、冒頭、「ご迷惑をお掛けした関係各位に、心よりおわび申し上げたい。本当に申し訳ありませんでした」などと述べ、深々と頭を下げた。
盗撮の疑いに関しては、5月18、19の両日に徳島駅周辺で撮影した多くの写真の中に、未成年の女性の下着が写った写真が2枚含まれていたと説明。その上で「市が徳島駅西側駐車場で計画する新ホールに関する調査をしていた。駅周辺のイメージ図を作るための調査活動の中で写真を撮影していた」と釈明した。
報道陣から、盗撮を認めるのかと問われると「故意ではなかった」と答えるにとどまった。
6月23日の市議会6月定例会最終日、本会議終了前に議場を抜け出し、行方が分からなくなっていたことについては「体調が悪く、早退した。それ以降は自宅以外の場所で療養していた」と話した。
関係者によると、市議は5月19日夕、徳島駅のエントランス付近で、座っていた制服姿の女子生徒のスカートの中を、少し離れた位置からスマートフォンで撮影した疑いが持たれている。県警は県迷惑行為防止条例違反での立件も視野に、捜査を進めている。
市議は2011年に初当選し、現在2期目。
引用元 : 徳島新聞 2017年6月26日 14時9分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
警察や検察庁、裁判所などの職員でも盗撮で捕まる事件を起こしていますので市議会議員とて例外ではないと感じるところです。高齢化しがちな議員にある中では比較的若い30代、40代ともなれば中にはこういった人がいてもおかしくないのではないでしょうか。
故意の盗撮ではなくたまたまスカートの中が写り込んだという釈明のようで実際の写真も見られないので断定はできませんが、たまたま写り込んだ画と意図的に撮った画というのは多かれ少なかれ違いがあるものです。これは偶然写り込んだものだということが明らかにわかるケースでは事件性が無いと判断されるでしょう。
そんな中で県警がわざわざ「迷惑防止条例違反での立件を視野に捜査を進めている」と発表しているのはそれなりに疑いのある、一目でシロとは判断できない画だったことが窺えます。
しかし「駅周辺のイメージ図を作るための調査活動の中で写真を撮影していた」という釈明が事実で、それに沿う写真の方が多いといった状況であれば故意ではなかったと強弁することも可能でしょう。風景等の撮影を装いつつ最初から盗撮目的で観光地などへ繰り出したようなケースとはこの点で違いが出てきます。
多くの写真の中で疑いのある写真が2枚だけで、それらがピントやアングル等を見ても故意と判断しづらいようなものであれば嫌疑不十分等でお咎めなしということになるのではないでしょうか。
なお、当初は以下のように報道されていましたが、議員辞職については上記の通りその後トーンが下がっているようです。
市議は警察から複数回任意で事情聴取を受けていて、所属する会派には「盗撮する気持ちはなかったが、たまたま映り込んでいた」と説明しているということです。
市議は会派に対し「迷惑をかけたので責任をとりたい」と話していて、議員を辞職する意向を示しているということです。
引用元 : 関西テレビ 2017年6月24日 12時29分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
会見場所も法律事務所ですし、当初は議員辞職の意向もあったところ党や弁護士などと相談した結果、シロの可能性を見越して辞職を明言しない形にしたというところでしょうか。社民党の県連常任幹事も務めているとのことですが、捜査の結果はどうあれ議員が盗撮の疑いを持たれたことについて、福島みずほ氏はどう感じるのでしょうか。
女児のスカート内を盗撮した疑い 母親に気付かれ逃走 41歳男逮捕
沖縄県警浦添署は29日、女児のスカート内を盗撮したとして、浦添市の会社員の男(41)を県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕した。調べに対し容疑を認めているという。
逮捕容疑は11日正午ごろ、浦添市内の公共施設敷地内で、母親と一緒にいた女児(6)に背後から近づき、スカート内をビデオカメラで盗撮した疑い。
同署によると、不審に思った母親が容疑者に声を掛けると現場から逃走。聞き込みなどで捜査し、逮捕したという。
引用元 : 沖縄タイムス 2017年6月30日 9時0分配信
今月11日の事件で29日に逮捕されている盗撮の後日逮捕の事案のようです。被害者の年齢等も含めて状況としては前回の記事で取り上げている事件と似通っています。
聞き込みなどによる捜査とされており、防犯カメラの記録の確認なども行われていると見られますが、浦添市自体それほど大きな街ではないようなので地元の人間ともなればたやすく尻尾をつかまれるのかもしれません。
なお、沖縄県の迷惑防止条例においては盗撮目的でカメラを差し向けたり設置したりといった行為を処罰できる規定が無いので、何を証拠として後日逮捕に至ったのか気になるところです。
沖縄県 迷惑防止条例 第3条
盗撮事件に関わる規定としてはこれだけなのですが、他の都道府県の条例では盗撮に関する行為をそれなりに明確にしているのに対してここでは曖昧なままなので、被疑者にとってはその曖昧さが逆に仇となったのかもしれません。
親御さんなど目撃者の証言や防犯カメラの記録からスカート内にカメラを入れていたことが確認できれば「公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しくしゅう恥させ、又は他人に不安を覚えさせるような卑わいな言動」をしたことになるので、盗撮した画像または映像という現に盗撮を行ったことを裏付ける証拠が押さえられていなくても逮捕は可能と思われます。
盗撮の準備行為や前段行為が条例に明記されて厳しく改正している都道府県が増えている中、このように曖昧で解釈の幅が大きいケースもまだ残っているようです。
盗撮容疑の巡査部長が起訴猶予、辞職 神奈川県警
女性のスカート内を盗撮しようと小型カメラを向けたとして6月、神奈川県迷惑行為防止条例違反の疑いで現行犯逮捕された同県警青葉署刑事課の男性巡査部長(42)について、横浜地検は30日、不起訴(起訴猶予)処分とし、発表した。県警は同日付で減給(100分の10)6カ月の懲戒処分とし、巡査部長は辞職した。
県警監察官室によると、この女性を含めスカート内が映った動画が計230点見つかり、巡査部長はすべて小型カメラで盗撮したと認めた。今年4月ごろ、「盗撮動画をインターネットで見ていて、自分でもできる」とスマートフォンで試みたが、うまくいかなかったため5月上旬、東京・秋葉原で小型カメラを5万円程度で購入したという。
巡査部長は6月11日夜、海老名駅(同県海老名市)の上りエスカレーターで、ショルダーバッグのポケットに仕込んだ小型カメラを同県伊勢原市の20代の看護師女性のスカートの中に向けたとして現行犯逮捕された。
引用元 : 朝日新聞 2017年6月30日 17時14分配信
前々回の記事で取り上げていた事件の続報で、地検での処分としては起訴猶予でしたが例によってその後辞職となったようです。刑事課の刑事が手の込んだ盗撮事件を起こしたのではさすがに仕事を続けられないでしょうから仕方ありません。
きっかけとしてはインターネットで見た盗撮動画に触発された形となっています。スマホでやってみたところうまくいかなかったので小型カメラを購入してバッグに仕込んだというところまでは、リスクを小さくするといった観点では悪い選択ではなかったのですが、バッグを地面すれすれの位置に提げていたというのがいかんせん不審すぎました。
以前からやっていたとの供述でしたが小型カメラの購入が今年5月上旬とのことなのでバッグに仕込んで盗撮をやり始めてから逮捕されるまで1か月程度といったところでしょうか、付け焼き刃だったので自らの挙動までは思いが至らなかったのかもしれません。
一方、職を失ったことで今後どうなるのかがやや気になっています。もともとがインターネット上の盗撮動画に触発されたものであり、いち早くスマホを見限って小型カメラに切り替える行動力と今回の事件で得た教訓等から、開き直ってプロ盗撮者となるようなことがないか心配です。