盗撮などの性犯罪での逮捕やその前後に関する情報を配信してまいります。

盗撮で逮捕される日

ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(6月12日~6月18日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

バッグに小型カメラ、巡査部長が盗撮容疑 神奈川

女性のスカート内を盗撮しようと小型カメラを向けたとして、神奈川県警は同県警青葉署刑事課盗犯係の巡査部長(42)を県迷惑行為防止条例違反の疑いで現行犯逮捕し、12日発表した。容疑者は調べに「下着に興味があった」と供述し、容疑を認めているという。

県警監察官室によると、容疑者は11日午後8時15分ごろ、海老名駅(同県海老名市)の上りエスカレーターで、ショルダーバッグのポケットに仕込んだ小型カメラを同県伊勢原市の看護師女性(23)のスカートの中に向けた疑いがある。この女性の下着が映った約20秒の動画が、容疑者のスマートフォンから見つかった。

カメラで撮影した動画などはスマホに転送されるようになっており、ほかに約200点が保存されていたという。容疑者は「以前からやっていた」との趣旨の供述をしており、県警は関連を調べる方針。

容疑者は事件直後、警戒していた鉄道警察隊員に声をかけられて逃走したが、5メートルほど走ったところで取り押さえられた。この日は当直明けでいったん帰宅後、午後3時ごろから外出。「同駅周辺を歩いていた」と話しているという。
引用元 : 朝日新聞 2017年6月12日 10時29分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

警察官による盗撮事件という点でも耳目を集めるところですが、撮影した動画がバッグに仕込んだカメラ本体ではなくスマホに転送される仕組みになっていたという手口も巧妙で、事件として目立つ要因になっています。

刑事課の盗犯係とのことなので普段盗撮事件を扱っているわけではないのでしょうが、生活安全課などの担当部署から盗撮に関する話を聞くこともあったかもしれませんし、そうした中でこのような手口を知ったか、または思いついたといったこともあるのかもしれません。実際にこういった仕込みをした上で行動に移すのは一朝一夕ではなかなか難しいので、「以前からやっていた」という供述にも信憑性が感じられます。

カメラ本体ではなく物理的に離れた別の媒体に盗撮データが記録される仕組みについては、万が一被害者本人または第三者に盗撮が見つかった場合にカメラを調べられても撮影した証拠となるデータが出てこない、そのことからお咎めなし、となることが期待されます。

しかしながら、この事件でスマホに転送される仕組みになっていたことが発覚する経緯には触れられていませんが、盗撮事件として調べられればカメラにデータが無くてもそれとは別にスマホも確認しておくということは当たり前に考えられますし、そもそも神奈川県の迷惑防止条例では盗撮目的でスカート内にカメラを向けること自体が処罰の対象になりますのでカメラからデータが出てこないから安心、とはとても言えません。

神奈川県 迷惑行為防止条例 第3条

何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接に人の身体に触れること。
  2. 人の下着若しくは身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)を見、又は人の下着等を見、若しくはその映像を記録する目的で写真機その他これに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、若しくは人に向けること。
  3. 前各号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
第2項
何人も、人を著しく羞恥させ、若しくは人に不安を覚えさせるような方法で住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服等の全部若しくは一部を着けないでいるような場所にいる人の姿態を見、又は、正当な理由がないのに、衣服等の全部若しくは一部を着けないで当該場所にいる人の姿態を見、若しくはその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、若しくは人に向けてはならない。

バッグに小型カメラを仕込んでスカート内に向けておきながら「盗撮目的ではない」と抗弁しても無駄ですので手口の巧妙さはともかく、あまり意味の無い仕組みだったということになりました。

また、別の報道では以下のように、取り押さえた鉄道警察隊員が不審に感じた経緯にも触れられています。

同室によると、同容疑者がバッグを地面すれすれの位置に提げていたため、警戒中の鉄道警察隊員が不審に感じて追跡。声を掛けた際に約5メートル走り去ったところで取り押さえた。
引用元 : 神奈川新聞 2017年6月13日 7時3分配信

ひと昔前は通用したかもしれませんが、今どきこんなバッグの持ち方をして歩いていれば怪しまれて当然です。テクノロジーが進歩しても結局挙動がおかしければ見破られるという良い例でしょう。

スカート内に携帯電話 小学校教師逮捕

駅のエスカレーターで女性のスカートの中に携帯電話を差し入れたとして、小学校教師の男が逮捕されました。

小学校教師の容疑者(24)は、11日午後5時過ぎ、JR三ノ宮駅のエスカレーターで、手提げ紙袋の上に乗せた携帯電話を女性(27)のスカートの中に差し入れた疑いが持たれています。現場付近を巡回していた警察官が不審な動きをする容疑者を発見し、声をかけたところ、携帯電話を持って逃げたということです。警察に対し、「スカートの中に携帯電話を差し入れたことは間違いないが、撮影はしていない」と供述しています。
引用元 : 朝日新聞 2017年6月12日 13時13分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

この事件では被疑者がスカート内に携帯電話を向けたことは認めているものの、盗撮行為については否認しています。しかし、上記の神奈川県の事件と同様、兵庫県の迷惑防止条例でもスカート内に携帯電話を差し入れた時点でアウトになりますので無駄なあがきです。

兵庫県 迷惑防止条例 第3条の2

何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
  2. 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
第2項
何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
  2. 前項第2号に掲げる行為
第3項
何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。

手提げ紙袋の上に携帯電話(被疑者が比較的若いので実際は携帯電話ではなくスマホなのかもしれません)を乗せるといった方法が稚拙と言えば稚拙ですが、警察官に声をかけられ携帯電話を持って逃げておきながら「撮影はしていない」では行動と供述がチグハグです。

盗撮目的でカメラを向けただけでアウトという事情はさておき、撮影していないなら携帯電話を持って逃げる必要は無い、携帯電話を見せて撮影していないことを疎明すればいいと考えるのが普通ですので、逃げてしまった時点でその後何を言ってももうダメでしょう。〇〇した時点で、という観点ではスカート内に携帯電話を差し入れたのを警察官に現認された時点でもうダメですが…。

浴室脱衣所で少女を盗撮 県立研修施設の元臨時職員逮捕/岩手・金ケ崎町

岩手県金ケ崎町にある宿泊型の研修施設「県立県南青少年の家」で少女の姿を盗撮していたとして、施設を運営する財団法人の元臨時職員の男が逮捕されました。

建造物侵入と児童ポルノ法違反の疑いで逮捕されたのは県スポーツ振興事業団の元臨時職員32歳です。

警察によりますと容疑者は、事業団が運営する金ケ崎町の「県立県南青少年の家」に勤務していた去年9月上旬、女性用の浴室の脱衣所に侵入してデジタルカメラを設置し、利用した18歳未満の少女数人の姿を盗撮した疑いがもたれています。

「県南青少年の家」では今年3月、職員用の女子トイレでデジタルカメラが見つかり、容疑者が「自分が設置した」と認めました。その後、警察が押収した資料を調べていたところ、脱衣所での盗撮映像が見つかり今回の逮捕となりました。
引用元 : IBC岩手放送 2017年6月13日 19時58分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

前々回の記事では児童ポルノの製造に絡む盗撮事件が目立っていましたが、この事件でも児童の裸や下着姿を盗撮したことで児童ポルノを製造したとして逮捕されています。こちらでも触れているように、やはり浴場や更衣室、トイレなどで児童を盗撮した事件が目立っています。

この事件では女子トイレにカメラを設置していた事案が先にあり、その捜査の過程で脱衣所へのカメラ設置も発覚して逮捕に至っています。トイレから脱衣所まで、服を脱ぐと思われる場所にはカメラを設置していたと見られ、そもそもそういった目的があってこの臨時職員を志望したのではないかとも疑われかねません。

カメラを設置するタイプの盗撮では通常、カメラが見つかるかもしれないという不安とプレッシャーを抱えつつ、しかし誰か人がいる限りは確認も回収もできない状況を過ごすことになりますが、そうした中で複数の場所にカメラを設置するというのは盗撮に絡む性的な欲求が相当根深いと感じてしまいます(複数を同時に仕掛けていたのではないのかもしれませんが…)。

おそらくそうした点についても取り調べで突かれるでしょうし、思い付きや出来心の範囲から逸脱していて犯情が比較的悪いと思われますので初犯であっても罰金では済まないのではないでしょうか。

法廷で警官2人切りつけ 盗撮被告が刃物を隠し持つ

被告として出廷した法廷内で、傍聴席の警察官2人に刃物で切りつけたとして、宮城県警捜査1課は16日、職業不詳容疑者(30)を殺人未遂の疑いで現行犯逮捕した。黙秘しているという。起訴時の住所は山形市鉄砲町。

逮捕容疑は16日午前10時15分ごろ、仙台地裁法廷内で、傍聴中の刑事総務課の男性警部補(44)と県民安全対策課の男性警部補(42)の腹部や顔面などを両手に持ったカッターと果物ナイフで切りつけ、殺害しようとした疑い。切られた警部補2人と、別の警察官1人が鎮圧。約15人の一般傍聴者にけがはなかった。

容疑者は今年1月20日、仙台市内の駅で女子高生のスカート内を盗撮したとして県迷惑行為防止条例違反罪に問われていた。懲役1年の実刑判決を言い渡され、裁判官が判決理由を朗読中、検察官が刃物に気付き「凶器を持っています」と声を上げた。容疑者は突然立ち上がって、刃物を振り回し、「この腐った司法制度がぁ」「こういう裁判は偽善だ」などと絶叫。傍聴席との間の柵を跳び越えたという。

20席の傍聴席には一般傍聴者約15人がいたため、傍聴していた警察官3人が丸腰で取り押さえた。容疑者は保釈中で、果物ナイフを3本とカッター2本を隠し持っていた。
引用元 : 日刊スポーツ 2017年6月17日 9時50分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

盗撮事件そのものの報道ではなく、盗撮して迷惑防止条例違反で起訴された被告人が法廷内で暴れたという内容です。保釈されていて、事件の舞台となった仙台地裁では手荷物検査などが行われていなかったことで法廷内に刃物を持ち込むことができたようです。

この日の判決では迷惑防止条例違反で懲役1年の実刑判決という、盗撮の処罰としては比較的重い刑を言い渡されていたようなのでおそらく元々実刑が見込まれていたと見られますが、保釈は許可されていたようです。

使用したカメラやデータなどの動かぬ証拠が押さえられており、一連の捜査が終わって起訴した後ではその事件について罪証隠滅を行う余地が小さくなることからも、盗撮事件では実刑が見込まれる事件でも否認などしていなければ保釈の許可は比較的得やすい方になっています。

こちらの記事でも触れているように盗撮で懲役1年の実刑判決となると当然今回が初めてではなく過去に少なくとも2,3回は捕まっているか、または服役した経験があるのかもしれません。検察官の論告では懲役1年4~6月の求刑、といったところだったのでしょうか。

宮城県 迷惑行為防止条例 第16条

次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
  1. 第三条の二第一項(第三号に係る部分に限る。)、第二項又は第三項の規定に違反して撮影した者
  2. 第三条の二第四項の規定に違反した者
第2項
常習として前項の違反行為をした者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

上記のように、宮城県の迷惑防止条例では盗撮の罰則が東京都や神奈川県などと同様に厳しく規定されています。判決で懲役1年となると論告ではそれより若干重く求刑されていたはずですが、そうなると法定刑を超えてしまっているので常習として起訴されていたのではないかと思われます。

何をもって常習と判断したかについては今回の盗撮事件や過去の記録を見てみないとわかりませんが、過去に何度も盗撮で捕まっているか、立件されなかった分も含めて今回の事件の余罪が大量にあったかのいずれかではないでしょうか。

懲役1年の実刑なので仮釈放が得られれば10か月ほどの服役だっただろうと思われますが、殺人未遂で逮捕されたことでさらに刑が長くなるでしょう。しかも殺人未遂の被害者が警察官で、事件を起こした場所が裁判所の法廷内となるとより厳しくなることが見込まれます。

どこで何を吹き込まれてこうした行動に出たのか不思議ですが、刑務所まで行くと一定数はこういったタイプの人(「この腐った司法制度がぁ」「こういう裁判は偽善だ」などと言ってしまう人)がいるのも事実です。

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