先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
小5女児のスカート内盗撮か 尼崎の保育士を逮捕
女児のスカートにスマートフォンを差し入れたとして、兵庫県警生活安全特捜隊と灘署は6日、県迷惑防止条例違反の疑いで、尼崎市の保育士の男(27)を逮捕した。
逮捕容疑は5月3日午後7時ごろ、神戸市灘区内の書店で、小学5年女児(11)のスカートの裾下にスマートフォンを差し入れて撮影した疑い。
同署によると、容疑を認めているという。カメラのシャッター音に女児が気付き、母親が警察に相談。防犯カメラの映像などから男を特定したという。
引用元 : 神戸新聞 2017年6月6日 12時35分配信
書店というのも盗撮被害が割と発生しやすい場所です。立ち読みなどしていると比較的長時間その場から動かなくなり、目の前の本に集中していることから周囲への注意が散漫になりがちなので盗撮する側からは隙だらけに見えることでしょう。
一方、書店が万引き等への対策として多数の防犯カメラを設置していることはもはや当たり前で、何か事件が起きなければ記録を見直されることもないのでしょうが、ひとたび事件になれば入店から退店までの一部始終を捉えた記録が動かぬ証拠となる場合も多くあります。
鞄や靴などに小型カメラを仕込んで盗撮する場合では傍目で見て盗撮しているようには見えないことも多く、防犯カメラの記録では盗撮を裏付ける決定的な証拠にならないこともありますが、この事件のようにスカート内にスマホを差し入れる姿は誰が見ても盗撮と判断できるでしょう。
もっとも、そうした姿を捉えた記録から足が付いたことには変わりないのでしょうが、気付かれたきっかけがカメラのシャッター音というのはいくらなんでもお粗末です。スマホで盗撮するにしても消音できるアプリ等を使用していたり動画で録画状態にしていたりなどするものですが…。
盗撮に手を出したのが初めてだったのでしょうか。現行犯逮捕であれば所轄署による捜査で終わっていたでしょうが、県警の生活安全特捜隊まで出張る捜査で約1か月後の後日逮捕と話が大きくなってしまいました。
女子トイレ盗撮容疑で佐世保市職員逮捕 長崎県警
長崎県警佐世保署は8日、勤務先の市役所内の女子トイレを盗撮したとして、建造物侵入と県迷惑行為等防止条例違反の疑いで佐世保市基地政策局主査(40)=佐々町口石免=を逮捕した。「盗撮はしていない」と否認している。
逮捕容疑は、平成26年7月10日ごろ、佐世保市役所内の女子トイレの個室に小型カメラを設置し、会社員の女性=当時(56)=の姿を隠し撮ったとしている。
別の女性がカメラに気付いて市の職員に連絡。通報を受けた署が、写り込んだ映像などから容疑者を割り出した。
引用元 : 産経新聞 2017年6月8日 17時45分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
被疑者が盗撮はしていないと否認しており、詳しい経緯も出ていないので一概に嘘とは言えませんが、女子トイレに仕掛けられた盗撮カメラの映像に本人が映り込んでいたという状況で言い逃れるのは厳しいように感じます。
または、建造物侵入と迷惑防止条例違反で逮捕されているので「建造物侵入は認める(女子トイレには立ち入った)が、迷惑防止条例違反(盗撮)はしていない」という一部否認なのでしょうか。アングル調整等でカメラに手を伸ばす様子など、被疑者がカメラを仕掛けたことを窺わせる映り込みだとするなら厳しいですが、そうでないのであれば盗撮の方は不起訴等にする余地があるのかもしれません。
また、逮捕容疑とされている行為が約3年前に行われていることなのもやや気になります。特別な事情が無ければあと1か月ほどで建造物侵入でも迷惑防止条例違反でも公訴時効を迎えていたと見られますが、どういう経緯で3年も前の行為に焦点が当てられたのでしょうか。
単なる誤植かとも思いましたが他の報道では2014年という表記もあり、3年前の盗撮行為で逮捕されたことは間違いないようです。回収されたカメラの記録媒体に3年前の映像が残っていたのでしょうか。
「仕事のストレスで…」スカート内盗撮で逮捕された県職員を減給処分
兵庫県は8日、スマートフォンのカメラで女性のスカート内を盗撮したとして、農政環境部の男性職員(30)を減給10分の1(3カ月)の懲戒処分にしたと発表した。
県によると、職員は2月3日午後7時半ごろ、神戸市中央区の書店で女性客のスカートの中を盗撮したところを警備員に取り押さえられ、県迷惑防止条例違反容疑で県警生田署に逮捕された。県の調査に「仕事のストレスでやってしまった」と説明したという。神戸地検は3月28日、男性職員を不起訴処分とした。
引用元 : 産経新聞 2017年6月9日 8時25分配信
この事件も冒頭のものと同様、書店での盗撮事件のようです。被害者との示談が成立したのでしょうか、地検は不起訴処分としており、公務員の不祥事ではありがちな依願退職という文字も無いので減給処分を受け入れてこのまま勤務は続けるのかもしれません。
そして、前回の記事でも触れていますが、この事件でも「仕事のストレス」という言い訳の常套句が出てきています。県の調査程度であれば形の上では納得されるかもしれませんが、取り調べにあたる刑事は当然として、一般の人であっても動機がこれではもはや誰も納得しないでしょう。
この記事の引用元に付けられたコメントからもそうしたことは窺えます。「仕事のストレス」が言い訳として成立する時代ではなく、違法行為につながる恐れのある性欲が抑えきれなかったことを強調してしまうだけなので使うのは止めた方が良いのではないでしょうか。
痴漢・盗撮の被害撲滅を、池袋駅でイベント
痴漢や盗撮の被害をなくそうと、東京・池袋駅で痴漢撲滅のイベントが行われました。
9日、JR池袋駅で、電車内での痴漢やエスカレーターでの盗撮などを撲滅しようと、警視庁によるイベントが行われました。
このイベントには地元の大学生や鉄道会社の職員らおよそ70人が参加し、駅の利用者に対して痴漢の被害に遭った際にとるべき対応が書かれたチラシを配り、泣き寝入りしないよう呼びかけました。
警視庁によりますと、今年に入ってから都内での痴漢や盗撮の検挙数はおよそ670件に上っているということで、警視庁は「痴漢を野放しにすることなく、被害に遭った場合は訴え出てほしい」としています。
引用元 : TBS 2017年6月10日 6時45分配信
痴漢・盗撮の被害撲滅という見出しですが、内容としてはどちらかというと痴漢被害寄りになっています。気温が上がってきてこうした性犯罪が増えてくることからもこうしたイベントが実施されたのでしょうか。
本来は痴漢や盗撮を行う(割合が大きい)男性に対して、もしこうした行為で捕まったときにどうなるのかなどといったことを啓蒙していった方が良いのではないかと思いますが、そのようなチラシを配ったりすると「痴漢扱いするのか!」と騒ぎ立てる人もいますし、女性への注意喚起を促すスタンスになるのは仕方ないのかもしれません。残念なことです。
なお、今年に入ってからの都内での痴漢や盗撮の検挙数が約670件と具体的な数字が出てきていますが、さすが東京と言えるのでしょうか、夏本番はこれからなのにすでに多数の人が捕まっているようです。
仮にこのイベントが行われた6月9日までの件数だとすると、160日ありますので均したら1日あたり4件以上ということになります。東京都のどこかで痴漢か盗撮によって毎日4人は捕まっていると考えると結構なインパクトがあります。
一方でその大部分は報道されていませんし、事件になっていない潜在的な被害はこの何倍もあるとも考えられます。これにあたり、もし捕まって報道まで至るのは極めて低確率と捉えるか否かによって、実際に犯行に及んでいる人の今後が占えることもあるかもしれません。