先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
盗撮の疑いで公務員を逮捕 勤務先シャワー室で女性使用中にスマホを差し向ける
盗撮の疑いで公務員が逮捕です。勤務先のシャワー室で、同僚の女性が使用中にスマートフォンを差し向けたとして、山梨県北杜市の男性職員が逮捕されました。
県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されたのは、北杜市の介護老人保健施設、「しおかわ福寿の里」に勤務する北杜市職員(26)です。
北杜署によりますと、容疑者は11月25日に勤務先で、同僚の女性が使っていたシャワー室のカーテンの隙間から、盗撮目的でスマートフォンを差し向けた疑いが持たれています。容疑者は、容疑を認めていて、警察は、余罪についても調べています。
職員の逮捕を受けて、北杜市は会見で謝罪しました。
市によりますと、容疑者の勤務態度は、真面目だったということです。事件があった当日は、容疑者と被害女性が入所者の入浴介助をしていて、作業が終わった後に被害女性がシャワー室を使っていたということです。シャワー室に鍵はついていませんでした。
市は、容疑者の処分について警察の捜査状況を見ながら、厳正に対応するとしています。
引用元 : UTYテレビ山梨 2021年11月30日 19時57分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
介護施設に勤める公務員によるシャワー室の盗撮事件です。逮捕容疑は盗撮目的でスマホを差し向けた疑いとの事ですので盗撮準備行為に留まっていると見られます。
逮捕までの経緯について触れられていませんが、恐らく現場で被害者に気付かれて発覚したのではと思われます。事件が11月25日なので逮捕されるまでに少し日が空いているように見られますが、これは当日逮捕されていたものの発表が遅くなっていただけか、或いは市の施設ですので警察への通報がすぐに行われなかったのかもしれません。
現場となったシャワー室には鍵が付いていなかったとの事ですが、作業後にシャワーを浴びる事は勤めている被疑者自身が知っていた事でしょうから鍵が付いていないシャワー室で盗撮できる機会を窺っていたのではないでしょうか。
山梨県の迷惑防止条例では浴場や更衣室など人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所における盗撮行為は勿論、盗撮目的でカメラなどを向けたり設置したりする盗撮準備行為も処罰の対象となっています。
山梨県 迷惑行為防止条例 第4条
- 公共の場所又は公共の乗物において、直接に又は衣服その他の身に着ける物(次号及び次項において「衣服等」という。)の上から、人の身体に触れること。
- 公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人の衣服等で覆われている下着又は身体(次項及び第三項において「下着等」という。)をのぞき見し、若しくは撮影し、又は撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他の撮影する機能を有する機器(第三項及び第四項において「写真機等」という。)を向け、若しくは設置すること。
- 前二号に掲げるもののほか、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。
何人も、正当な理由がないのに、人の衣服等を透かして下着等の映像を表示する機能を有する機器を使用して、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人の下着等の映像を見、又は撮影してはならない。
何人も、正当な理由がないのに、人の性的羞恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような方法で、学校、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所にいる人又は乗物に乗つている人の下着等をのぞき見し、若しくは撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
何人も、正当な理由がないのに、人の性的羞恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような方法で、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所における当該状態にある人の姿態をのぞき見し、若しくは撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
この事件では現場がシャワー室ですので第4項に該当していると考えられます。
余罪についても調べられているようですが、この事件のみであれば盗撮準備行為に留まっていますので被害者と示談ができれば不起訴、示談ができなくても30万円までの罰金といったところではないでしょうか。
富山市職員逮捕 盗撮目的で女子トイレ侵入
11月30日午後、富山市の職員が、市役所内の女子トイレに盗撮の目的で侵入したとして逮捕されました。
建造物侵入の疑いで逮捕されたのは、富山市の資産税課に勤務する容疑者(24)です。
警察によりますと11月30日午後、市役所内のトイレを利用した人から、「女子トイレにスマートフォンが置いてあり、盗撮している形跡がある」と通報があり、駆けつけた警察官がスマートフォンを調べたところ、容疑者のものと判明。
容疑者は警察の調べに対し、「盗撮をするために女子トイレに入ったことは間違いない」と、容疑を認めているということです。現場は西棟2階の女子トイレで一般の人も利用していました。警察は余罪についても調べを進めています。
職員の不祥事を受け、富山市の藤井市長は事実関係を把握したうえで厳正に対処するとしています。
引用元 : チューリップテレビ 2021年12月1日 19時47分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
市役所に勤める公務員による女子トイレ侵入事件ですが、こちらも今のところは盗撮の疑いで逮捕された訳ではなく盗撮目的で女子トイレへ侵入した疑いに留まっています。
自らが勤務する市役所内のトイレにスマホを仕掛けて盗撮を企てていたようです。隠し方が甘かったのでしょうか、トイレへ入った人にバレてしまって通報され、仕掛けられていたスマホを調べられたところすぐに被疑者が特定されたものと見られます。実際に盗撮できていたのかどうかは現時点で明らかにされておらず、まずは盗撮目的で女子トイレへ侵入した建造物侵入の疑いで逮捕したのでしょうか。
富山県の迷惑防止条例ではトイレでの盗撮行為に加えて盗撮目的でカメラやスマホなどを設置する盗撮準備行為が処罰の対象となる規定がありますので迷惑防止条例違反でもアウトになると思われます。
富山県 迷惑行為防止条例 第3条
- 人の身体に、直接又は衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から触れること。
- 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見すること。
- 衣服等で覆われている人の身体又は下着を撮影し、又は撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他撮影する機能を有する機器(以下「写真機等」という。)を向け、若しくは設置すること。
- 前3号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がなく、衣服等を透かして見ることができる写真機等を使用して、衣服等で覆われている人の身体又は下着の映像を見、又はこれらを撮影してはならない。
何人も、正当な理由がなく、公衆又は特定若しくは多数の者が利用することができる浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人の姿態を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
何人も、集会場、事務所、教室、タクシーその他の特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、人に対し、正当な理由がなく、第1項第3号に掲げる行為をしてはならない。
現場は市役所内のトイレですので「公衆又は特定若しくは多数の者が利用することができる便所」に当たると解釈され、第3項に該当していると考えられます。この場合、被疑者が盗撮するためだったと認めていますので盗撮に至っていなくてもスマホを仕掛けていた事でアウトになると思われます。
恐らく今後迷惑防止条例違反も追加される可能性がありますが、更にその後は盗撮に至っていたかどうかによって多少違ってくるかもしれません。盗撮準備行為に留まるようであれば30万円までの罰金、盗撮にまで至っているようであれば50万円以上になってくるのではないでしょうか。
「盗撮のカリスマ」ら3人、望遠レンズで露天風呂のぞく…100m超離れて撮影・動画を売買
組織的に露天風呂を盗撮したとして、静岡県警は3日、茨城県行方市、無職の男(49)、鹿児島県鹿屋市、同県職員の男(40)、岡山市北区、無職の男(32)の3容疑者を兵庫県迷惑防止条例違反容疑で逮捕したと発表した。
発表によると、3人は共謀して9月下旬頃、兵庫県内で露天風呂に入浴中の女性を望遠レンズ付きのビデオカメラで盗撮した疑い。認否は明らかにしていない。茨城県の男は、インターネット上などで「盗撮のカリスマ」として知られ、盗撮グループのリーダーを務めていたという。
岡山市の男が10月、静岡県藤枝市内の駐車場で職務質問を受けた際、車内にあったのこぎりについて、「盗撮に邪魔な木を切っていた」と説明。所持していたビデオカメラから盗撮とみられる動画が見つかり、県警が捜査していた。
動画は100メートル以上離れて撮影されたものもあり、仲間同士で売買していたという。県警は他にもグループのメンバーがおり、全国で盗撮を繰り返していたとみて調べている。
引用元 : 読売新聞 2021年12月3日 11時37分配信
望遠レンズを使った露天風呂での盗撮事件です。グループで盗撮に及んでいたようでそれぞれ住まいが離れた3人の被疑者が逮捕されました。他にもグループのメンバーがいると見られているようなので今後も逮捕が続く可能性があります。
発覚のきっかけは逮捕された被疑者の内の1人が職務質問を受け、その際に車内からのこぎりが出てきて不審と見られた事のようです。車に乗っている時の職務質問で車内から刃物などが出てきたりするとそれが仕事で使うなどの正当な理由があって持ち歩いている物でなかったりすると銃刀法違反などの疑いを持たれる場合があり、職務質問が厳しくなったりする事があります。
恐らくそこから更に所持していたカメラも調べられる事になって盗撮動画が見つかり発覚したものと思われます。職務質問を受けた事自体がアンラッキーと言えなくもありませんが、もしかすると車内にのこぎりを置いたままにしておかなければカメラのデータまで見られる事も無く職務質問をやり過ごす事ができていた可能性はあります。
10月にこれが発覚してから1,2か月程経って今回の逮捕に至っており、更に前の9月に行っていた盗撮行為からグループで盗撮に及んでいた事、全国で盗撮を繰り返していた事など粗方裏付けができた上で逮捕していると見られます。こうなってくると他にもいると見られている他のメンバーについても今後逮捕が続いていくのではないでしょうか。
尚、今回逮捕された事件の舞台となった露天風呂がある兵庫県の迷惑防止条例では公共の場所であってもプライベートな場所であっても風呂の盗撮は処罰の対象になっています。この事件では以下の第3項に該当していると考えられます。
兵庫県 迷惑防止条例 第3条の2
- 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
- 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
- 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
- 前項第2号に掲げる行為
何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。
今回逮捕された内の1人はネット上で「盗撮のカリスマ」として知られているとの事で、愛好家の間ではそれなりに有名な人物なのでしょうか。仲間同士で売買していたとされていますが、仲間内だけではカリスマなどと呼ばれる事は考えにくいので仲間内以外でも売買していたり公開していたりする可能性はあるかもしれません。
盗撮についてはグループで組織的に行っていたとしてもその事で罪が重くなる規定はありませんが、盗撮データを売買していた事も含めて非常に悪質と見られる事は間違い無いかと思われます。50万円以上であっても罰金で済まされるならまだ寛大な方で、今後他の余罪も出てきたり常習と判断されたりすると公判請求される可能性もあるのではないでしょうか。