先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
自宅に誘いこんだ知人女性を7台もの隠しカメラで盗撮 換気扇や便座のふたに 大学2年の男、容疑で逮捕
自宅トイレに小型カメラ7台を仕掛けて女性を盗撮したとして、兵庫県警生活安全特別捜査隊と神戸西署は11日、県迷惑防止条例違反の疑いで神戸市西区学園西町7の大学2年の男(27)を逮捕した。
逮捕容疑は昨年2月10日午後6時半から同9時半ごろまでと、同月18日午後4時から同7時半ごろまでの間、自宅のトイレに小型カメラ7台を設置し、知人の女性=当時(26)=を撮影した疑い。容疑を認めているという。
同署によると、小型カメラは天井の換気扇や便座のふたなどに設置されていたという。同署などは今年9月、同区の地下鉄の駅で女子高校生につきまとい行為をした疑いで、男の自宅を捜索。スマートフォンやタブレット端末などから、女性を隠し撮りしたとみられる多数の画像や動画が見つかり、容疑が発覚した。
引用元 : 神戸新聞 2021年10月11日 16時11分配信
自宅でのトイレ盗撮事件ですが、被害者は知人女性との事なので自宅へ遊びに来ていたところを狙ったという事でしょうか。7台もの小型カメラを仕掛けていたようなのであらゆる角度から盗撮すべく計画と準備を進めていたのでしょう。
それだけの台数を仕掛けていたという事でどれかが見つかって発覚したのだろうかと思いましたが、別件のつきまとい行為の疑いに係る家宅捜索で盗撮データが見つかった事から発覚したようです。とすると自宅に仕掛けていた分については被害者に気付かれていなかった可能性もあり、それなりに巧く仕掛ける事ができていたのかもしれません。
であるなら他にも同様の被害者がいる事も考えられますし、自宅以外での盗撮も考えられます。更に、発覚のきっかけが女子高生に対するつきまとい行為との事ですので盗撮以外の余罪が見つかってくる可能性もあります。自宅でのトイレ盗撮に7台ものカメラを仕掛けるくらいですので性犯罪への執着は相当に強そうな印象があります。
自宅のトイレだからと許されるはずも無く、兵庫県の迷惑防止条例ではトイレにおける盗撮行為は処罰の対象ですのでこの事件も当然アウトです。
兵庫県 迷惑防止条例 第3条の2
- 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
- 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
- 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
- 前項第2号に掲げる行為
何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。
この事件では現場がトイレですので第3項に該当していると考えられます。因みに、盗撮準備行為に関する規定もありますので仮に盗撮できていなかったとしても7台もカメラを仕掛けていては言い逃れのしようも無くアウトとなるでしょう。
最終的には今後の捜査で余罪が出てくるかどうかにもよりますが、今回逮捕された事件のみであれば初犯なら罰金50万円といったところではないでしょうか。
盗撮された女性が機転をきかせ「盗撮返し」 JR西日本の系列会社社員(22)逮捕
女性のスカートの中をスマートフォンで盗撮したとして、JR西日本の系列会社の社員の男が逮捕されました。盗撮に気付いた女性が自分のスマートフォンで盗撮仕返した機転が逮捕に繋がりました。
兵庫県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されたのは、JR西日本の系列会社の社員で明石市に住む22歳の男です。
警察の調べによりますと、容疑者の男は先月9日、明石市内の飲食店の店内で25歳の女性から対面で営業活動を受けていた際に、テーブルの下にスマートフォンを向けて女性のスカートの中を盗撮をしようとした疑いが持たれています。足に何かが当たり不審に思った女性が自らのスマートフォンをテーブルの下に入れて動画を撮影したところ、男のスマートフォンが映っていたということです。
警察の調べに対して、男は「女性のスカートの中を動画で撮影したことに間違いない」と容疑を認めているということです。女性がスマートフォンで盗撮返しするという機転が容疑者の逮捕に繋がりました。
引用元 : ABCテレビ 2021年10月14日 19時26分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
テーブルの下でスカート内の盗撮をしていたところ被害者に盗撮し返されてそれが証拠となり逮捕に至ったという事件です。
被害者は飲食店で被疑者から営業活動を受けていたとの事ですが、テーブルを挟んで正面に座っていた被害者のスカート内を、テーブルの下からスマホを向けて盗撮していたようです。その際に恐らく被害者の足にスマホが当たったと見られ、それで盗撮に気付いた被害者もテーブルの下からスマホで盗撮し返したところ被疑者のスマホが映っていたとされています。
記事で取り上げられているように盗撮に気付いた被害者が機転を利かせて盗撮し返した点もさることながら、足に何かが当たった事で盗撮を疑った点や逆に盗撮し返して証拠を押さえようとした点など相当に強かな面が窺えます。仕事もかなり出来る方なのではないでしょうか。
被疑者の方はまんまと盗撮の証拠を押さえられてしまい、事件から1か月程経った後に逮捕される事となりました。テーブルの下でスマホを向けているところが映っていて言い逃れもできなかったのではないでしょうか。
これだけ手際の良い被害者ですと示談に応じてもらえるものか微妙なように思われますが、示談ができれば不起訴も見込める一方でできなければ30万円程度の罰金は避けられないかもしれません。
詐欺疑いの”市役所元職員”の男…スマホから「盗撮動画5本」見つかる 同僚女性を事務所内で狙い再逮捕
うその文書を作り市民の口座から現金を引き出したとして逮捕された元市役所職員の男が、当時同僚だった女性のスカート内をスマートフォンで盗撮したとして、再逮捕されました。
北海道迷惑行為防止条例違反の疑いで再逮捕されたのは、北見市納税課の元職員(26)です。
容疑者は5月から7月ごろまでの間、5回にわたり当時勤務していた北見市役所でスマートフォンを使って30代の女性のスカート内を撮影した疑いが持たれています。容疑者は税金を滞納した市民の口座を差し押さえるうその文書を作り、現金約67万円をだましとった詐欺などの疑いで9月に逮捕されていて、警察がスマートフォンの捜査を進める中で女性の下着が映った動画が5本確認され、事件が発覚しました。
警察によりますと容疑者は事務所内の人目のつかない場所にスマートフォンを設置し、元同僚の女性のスカートの中を撮影したということです。警察は容疑者の認否を明らかにしていませんが、余罪も含め詳しく調べています。
引用元 : 北海道文化放送 2021年10月17日 9時15分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
詐欺の疑いで逮捕されていた市役所の元職員が同僚女性に対するスカート内盗撮もしていた事が発覚して再逮捕されたというニュースです。別件で捕まっていたところスマホを調べたら盗撮データが出てきて発覚というパターンのようです。
先に逮捕されていた詐欺行為については納税課の職員という立場を悪用して市民から現金を騙し取った事件のようですが、盗撮については当時勤務していた市役所内にスマホを仕掛けて同僚女性のスカート内を繰り返し盗撮していたというものです。少なくとも5回は気付かれずに盗撮行為に及んでいたようなのでスマホの隠し方はそれなりに巧かったのかもしれません。
ただ、盗撮の疑いで再逮捕されたとはいえ詐欺の方が圧倒的に重い罪なので、今後詐欺で起訴されるとしたらそれに盗撮が加わっても判決に与える影響はそれ程大きくないように思われます。
尚、盗撮の現場は市役所内と見られますが、具体的に市役所内のどういう場所なのか定かではないので公共の場所と言えるのかどうか判断しづらいところ、北海道の迷惑防止条例では公共の場所ではない事務所内での盗撮行為や盗撮準備行為を処罰する規定がありますので、公共の場所ではないと判断されても迷惑防止条例違反は免れないと思われます。
北海道 迷惑行為防止条例 第2条の2
公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
- 衣服等の上から、又は直接身体に触れること。
- 衣服等で覆われている身体若しくは下着をのぞき見し、又は映像面に衣服等を透かして身体若しくは下着の映像を表示する機能を有する機器を使用して当該映像を見ること。
- ア及びイに掲げるもののほか、卑わいな言動をすること(次号に掲げる行為を除く。)。
公共の場所若しくは公共の乗物又は集会場等(集会場、事務所、教室、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所及び乗物をいい、公共の場所及び公共の乗物を除く。第4号において同じ。)にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
- 衣服等で覆われている身体又は下着を撮影すること(次号に規定する状態の他人に対して行う場合を除く。)。
- アに掲げる行為をするため、写真機、ビデオカメラその他の撮影する機能を有する機器(次号及び第4号において「写真機等」という。)を向けること。
住居、浴場、便所、更衣室その他の人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(以下この号及び次号において「住居等」という。)における当該状態の他人の姿態を撮影し、又はこれを撮影するため写真機等を住居等における当該状態の他人に向けること。
公共の場所若しくは公共の乗物若しくは集会場等にいる者の衣服等で覆われている身体若しくは下着又は住居等における前号に規定する状態の他人の姿態を撮影するため、写真機等を設置すること。
上記の通り、公共の場所ではないとされても事務所という事で第2号に該当すると考えられます。
詐欺と盗撮のいずれでも起訴されるとしたら罰金はありませんので懲役刑になるとして、後は執行猶予が付くかどうかの判断になるのではと思われます。詐欺事件としてはべらぼうな被害額ではないのでこれが初犯であれば執行猶予は付くのではないでしょうか。