先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
市体育館シャワー室にカメラ設置し女性盗撮した疑い、私立大生の男逮捕 竜ケ崎署
竜ケ崎署は22日、県迷惑防止条例違反(卑わいな行為)の疑いで、龍ケ崎市、私立大の男子学生(20)を逮捕した。逮捕容疑は9日午後1時ごろ、市総合体育館のシャワー室内に小型のビデオカメラを設置し、利用していた30代女性の姿を盗撮した疑い。
同署によると、容疑を認めている。不審な機器が置いてあるのに女性が気付き、犯行が発覚。女性は12日、同署に被害届を提出していた。
引用元 : 茨城新聞 2020年10月22日 12時35分配信
市の体育館のシャワー室における盗撮事件です。条例の規定にシャワー室と明記している県は無いと思いますが、浴槽が無いだけで風呂に準じる扱いになるのでしょうか。
事件が起きたのが9日、盗撮に気付いた被害者が被害届を出したのが12日、被疑者の逮捕が22日という流れの後日逮捕となっています。尤も、風呂やトイレにカメラを仕掛けて盗撮する事件では被疑者は普通その場にいませんので殆どが後日逮捕でしょうが、被害届が出てから2週間足らずで逮捕に至っていますので最初からある程度絞り込みが可能だったのかもしれません。
被疑者が仕掛けられていたカメラに映り込んでいたり施設の防犯カメラに捉えられたりしていてもどこの誰だかわからない状況だと特定して逮捕するまでもう少し時間がかかるものですが、市の体育館ですので利用者名簿などがあって被疑者の絞り込みができていたのではとも思えます。
逮捕容疑について「シャワー室内に小型のビデオカメラを設置し」と丁寧に書かれている事からも窺えるように茨城県の迷惑防止条例では盗撮目的でカメラを設置する盗撮準備行為も処罰の対象です。ただし、この事件では盗撮するに至っているようですので盗撮準備行為には留まっていないでしょう。
茨城県 迷惑行為防止条例 第2条
- 人を著しく羞恥させ,又は人に著しく嫌悪の情を催させるような方法で,衣服その他の身に着ける物(以下この項において「衣服等」という。)の上から,又は直接身体に接触すること。
- 人を著しく羞恥させ,又は人に著しく嫌悪の情を催させるような方法で,身体又は下着(衣服等で覆われている部分に限る。以下「身体等」という。)をのぞき見,又はのぞき見ようとすること。
- 人を著しく羞恥させ,又は人に著しく嫌悪の情を催させるような方法で,写真機,ビデオカメラその他これらに類する機器(以下この条において「写真機等」という。)を使用して身体等を撮影し,又は撮影しようとすること。
- 衣服等を透かして身体等を見ることができる機器(以下「透視機器」という。)を使用して,他人の身体等の映像を見,若しくは見ようとし,又は他人の身体等を撮影し,若しくは撮影しようとすること。
- 前各号に掲げるもののほか,人を著しく羞恥させ,又は人に著しく嫌悪の情を催させるような卑わいな言動をすること。
何人も,学校,事務所その他の不特定の者若しくは多数の者が利用し,若しくは出入りすることができる場所(公共の場所又は次項に規定する場所に該当する場合を除く。)又はタクシーその他の不特定の者若しくは多数の者が利用し,若しくは出入りすることができる乗物(公共の乗物又は次項に規定する場所に該当する場合を除く。)にいる他人に対し,みだりに前項第2号から第4号までに掲げる行為をしてはならない。
何人も,住居,浴場,更衣場,便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けないでいるような場所にいる他人に対し,みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
- 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態(以下この項において「人の姿態」という。)をのぞき見,又はのぞき見ようとすること。
- 写真機等を使用して,人の姿態を撮影し,又は撮影しようとすること。
- 透視機器を使用して,他人の身体等若しくは人の姿態の映像を見,若しくは見ようとし,又は他人の身体等若しくは人の姿態を撮影し,若しくは撮影しようとすること。
何人も,前3項に規定する行為(写真機等又は透視機器を使用して行う行為に限る。)をする目的で,写真機等又は透視機器を設置してはならない。
この事件ではシャワー室が浴場や更衣場に準じると思われますので第3項第2号に該当していると考えられます。もし盗撮する前に気付かれて盗撮はできていなかったとしても盗撮準備行為として第4項に該当します。
被疑者が19歳なら少年事件でしたが残念ながら20歳になっていますので成人として処分を受ける事になります。それでも成人したてなら更生に期待して忖度してもらえそうな気もしますので親御さんが示談等を頑張るかもしれませんが、30万円程度の罰金は覚悟しておいた方が良いのかもしれません。
女子トイレで背後に気配…見上げた個室の仕切りの上からスマホ 盗撮容疑で男逮捕 船橋署
千葉県警船橋署は22日、建造物侵入と県迷惑防止条例違反(盗撮)の疑いで、習志野市藤崎2、会社員の男(34)を逮捕した。
逮捕容疑は7日午後8時10分ごろ、船橋市内の大型商業施設内の女子トイレに侵入し、個室内にいた県内在住の女性会社員(49)をスマートフォンで盗撮した疑い。
同署によると、女性が背後に気配を感じて個室の仕切りの上を見たところ、差し向けられていたスマホに気付き声を上げた。男はトイレから逃げようとしたが、外にいた女性の家族らに取り押さえられた。
男は「女性がトイレに入ったところを撮りたかった。盗撮したことに間違いない」などと容疑を認めている。
引用元 : 千葉日報 2020年10月23日 12時39分配信
商業施設におけるトイレ盗撮です。トイレ個室の仕切りの上からスマホを入れて盗撮するというスタイルでしたが被害者に気付かれて逃げようとしたところをトイレの外で取り押さえられてあえなくお縄を頂戴したようです。
「女性が背後に気配を感じて」とされていますが、隣の個室に誰か入っているなと感じる事はあってもそれで仕切りの上を見ておこうとはなかなか考えないと思いますので、気付かれたのは余程不審な物音を立てていたのかバレても不思議ではないような雑なやり方だったのではないでしょうか。
トイレで自らが直接盗撮するスタイルではもしバレると逃げ場が無いか限られているというのが常であってこの事件でもおそらく1つしかないトイレの出入口の外で取り押さえられているようです。女子トイレから声が上がって男が飛び出してきたら家族じゃなくても捕まえるでしょうしバレたら逃げられないような場所でよくそんな事をやれるものだと思ってしまいます。
前回の記事でも取り上げているように千葉県では盗撮に関する規制が強化された改正条例が7月から施行されておりトイレも規制を受ける場所に含まれています。
千葉県 迷惑防止条例 第3条の2
次のいずれかに掲げる場所又は乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器(衣服を透かした状態を撮影することができるものを含む。以下「写真機等」という。)を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を差し向け、若しくは設置すること。
- 浴場、更衣室、便所その他の人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所及び住居
- 公共の場所(イの場所を除く。)又は公共の乗物
- 学校、事務所その他の不特定若しくは多数の者が利用し、若しくは出入りすることができる場所(イ及びロの場所を除く。)又はタクシーその他の不特定若しくは多数の者が利用することができる乗物(ロの乗物を除く。)
公共の場所又は公共の乗物において、人の胸部、臀部、陰部、大腿部その他の身体の一部に直接又は衣服その他の身に着ける物の上から触れること。
前各号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。
この事件では第1号(ア)に該当していると考えられ、盗撮に至っていても、盗撮まではできず盗撮目的でカメラやスマホを向けるまでに留まっていてもアウトです。
今後は被害者との示談ができるかどうかが焦点になると思いますが、商業施設が被害者となる建造物侵入が含まれているのが気になる点で、商業施設側との示談はおそらく無理でしょうから不起訴を狙うのは難しいかもしれません。スカート内などではなくトイレ盗撮でもありますので罰金としても30万円から50万円程度になるのではないでしょうか。
「盗撮目的で入りました」"公園の女性用トイレ"に不審な男…管理人の男性が目撃し通報 45歳男逮捕
公園の女性用トイレに侵入したとして、45歳の男が逮捕されました。
建造物侵入の現行犯で逮捕されたのは、北海道札幌市西区に住む自称・会社員の45歳の男です。
警察によりますと男は10月24日午後0時40分ごろ、札幌市手稲区前田1条5丁目にある「手稲稲積公園」のテニスコート近くの女性用トイレに侵入。通報で駆け付けた警察官に逮捕されました。逮捕前、公園管理者の男性が不審な男を見つけ女性用トイレを確認したところ、男がトイレ内にいるのを見つけ、警察に通報したということです。
調べに男は「盗撮目的で入りました」と話しているということで、警察は男のスマートフォンなどを解析して捜査するとともに、余罪なども調べることにしています。
引用元 : UHB北海道文化放送 2020年10月25日 11時45分配信
盗撮目的での女子トイレ侵入事件ですが、盗撮された被害者がいたとか正に盗撮しようとしていたとかそういう事ではなく公園管理者が挙動不審な男を女子トイレで見つけたという事のようです。
勿論見つかるより前に盗撮に及んでいた可能性もありますが、何となく何かする前に見つかったという印象があって既に逮捕はされているもののこれ以上大ごとにはならないようにも思えます。盗撮目的で入ったのであれば確かに建造物侵入という事になりますが、盗撮準備行為も無い内にただ立ち入っただけに留まるのであればそれなりの処分になるのではないでしょうか。
現行犯ですので逮捕せざるを得ない場面ではあるものの既に釈放されているかもしれませんし、スマホ等から盗撮データが見つかるなどの余罪の証拠が出てこないようなら厳重注意の上で不起訴という事もあるかもしれません。
建造物侵入は懲役刑が選択されると3年以下となりますが、罰金刑としては10万円が上限なので前科等が無ければどれ程厳しくても10万円を超える罰金にはならないでしょう。